昭和20年5月29日写と署名のある青閑のスケッチ
国立博物館の東洋古陶展に出品された、群馬県吾妻郡原町岩櫃出土の弥生式土器を模写したものです
青閑は、神社仏閣を訪ねたり、諸方の展示会を見学したりしてそのつどスケッチを残しています
聞くところによると中年になってから本格的に絵を学んだそうです
ところで昭和の20年の5月という時に展示会で観た弥生式土器を一心不乱に模写する彼
世間の人たちの目にはどのような人間として映ったいたのでしょうか
今ではそれらを詳しく知るよすがはありませんが
とにかく凝り性で、関心を持った事柄にはトコトンのめりこんでいく性質であったそうです
小鉢の模写
下に掲載の青閑の自作鉢と比較してみてください
青閑の鉢に漂う平明なイメージ
とくに縁や胴の素朴な線と面の素朴なあっさり感は彼独特のものです
たまたまくどい装飾を施してさえも、青閑の作品はどこまでもこの素朴なあっさり感は付きまとい
いとおしいくらいです
私はこの一枚のスケッチに出会ったときに青閑鉢のルーツに行き着き
その個性の根源を見極めたような気がしました
きっと、このスケッチに描かれている弥生式の土器のイメージこそが
かれの一生涯求めてやまなかった究極の小鉢の姿だったのです
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