2004年8月4日水曜日

青閑の趣味三昧

この絵も終戦直後の青閑の精神生活を如実に表しています

スケッチが描かれた昭和二十二年といえば、終戦からわずか二年
日本は連合軍の占領下にあり、マッカーサー、進駐軍、闇市、配給等々の言葉が思い出されますね
混乱した社会の中で青閑の精神生活はどのようなものであったのか
このスケッチから推測してみましょう
まず描かれた鉢の周りに書かれた文字の解読してみます
よの中の 美しきもの 手さぐりに つかまらねとも 追うな○○  新五郎

「○○」の二文字はくずし方が変則的で判読しにくいのですが
無理をすれば雨鳥(あまどり・ツバメの類)と読め、一応全体の解釈はつくようです
鉢の表面には、目隠しをされた女性が両手を中に浮かせて
ものを探している様が描かれています
脇には「手のなるほうに」という文字が書かれていて
まさしく目隠しの鬼ごっこの場面です
この女性は青閑自らの姿であり
追っかけているのは、もちろん大好きな名鉢にちがいありません
「つかまらぬとも 追うな」というフレーズや鬼ごっこの場面などから
収集家と知られた青閑が、思うように名鉢を集めることができない現実への焦燥感や苛立ちの表現とも受け取れますし
また自らを慰撫して、焦るな焦るなと言い聞かせているようにも受け取れます
いずれにしても、青閑はこの昭和二十二年という敗戦直後の混乱した世の中に生きながら
盆栽趣味に一心不乱になっていたことは間違いありません
まさしく、浮世離れした超変人!
純真無垢な青閑の行動は、世の中の動きにも無関係、首尾一貫していたのです

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