2010年5月26日水曜日

スクール速報・杜松

スクール常連のクロちゃんは愛知県渥美半島の出身
年はなんぼかな?、そう高校生の息子さんがいるといっているから、ざっと40代の半ばくらいだろう

田舎へ帰郷のおりに山取りし20年も培養しているという黒松などもを持っているので
盆栽歴はかなり古く、20代からやっているに違いない

そのクロちゃんの杜松
樹髙はやっと10㎝ほどで腰の据わった堂々たる模様木です

これも自身の山取りなのかな、そう思っていたんですが
聞いてみると、かなり以前に私から買ったそうで

失礼ながら私はどうしても思い出せないです(笑)
「いい杜松だねー、ますますよくなってきたよ」って、この杜松を褒めたのは決してお世辞じゃないですよ

自分の扱った盆栽類は、売買したときの値段や姿をたいがい覚えているのですが
この杜松については記憶がまるっきり抜け落ちちゃってるんです

まあ、それはともかく、伊勢杜松の山取り素材が市場からすっかっり姿を消した昨今(乱獲のためらしい)
このような持ち込みものはまことに貴重な存在となりました

さて、杜松の植替えは4月下旬から始めて5月いっぱいが適期です
植替え時期が来たのと鉢の映りがイマイチだったのでクロちゃんは5月9日に植替えました


太みもあって力があるので、奥行きのあるオーソドックスな外縁が似合いました
ちなみに、この鉢は陶翠窯で戦後の量産品ですが、さすがに土目もいいし形状も垢抜けています

クロちゃんには、なるべく安定感が出るように低く植付けるようにアドバイスしましたが
さすがベテラン、位置や角度にスンプの狂いもなく、正確な植付けです

植替えといっても、培養本位の仕立て鉢に植付けるのではなく
このように鑑賞段階に達した盆栽の植え付けは、前後左右や傾けの角度などがかなり微妙で

気に入るまで何度もやり直すことがしばしばですが
きょうは一発でうまく決まりましたね


正面の拡大図

植替えに際しては、事前に新芽をほとんど摘みました
これは新芽が伸び始めているので、根付くまでの木の負担を軽減するために必要な処置ですから

読者のみんさんもしっかり覚えておきましょう


鉢も決まったことだし、一ヶ月ほどの休養のあと
樹冠部を中心に輪郭をしっかり整えましょう

それにより、木の相はさらにスケールが大きく見えるようになるはずです
また、樹冠部がぴりっとすれば、足元の力強さもさらに目立ってくるはずです

今年の秋の姿が楽しみです

2010年5月20日木曜日

フリースクール速報・山ずみ

昨年の秋にご紹介したターさんの山ずみ
冬の間はターさんの休みが多かったので,元気かどうか気にかかっていました

というのも、昨年のターさんは、夏から秋にかけやや水を切らせ
秋の落葉期のかなり前から、わずかの葉を残している状態だったからです

そのときの状態は、すでにみなさんにはお知らせしたとおり
診断したところは心配なしとの私の結論でしたが、やはりその後の長い冬越しのあとですから・・・

さて、半年ぶりにお目にかかるずみ、状態はどうでしょうか?



ご覧のように、あれほどの気のもみようは、さいわいにも杞憂でありました
ターさんもかなり心配したらしく、仕立て鉢に移し用心深く冬越しの管理をしたそうです

さらに樹勢が回復しただけでなく実もしっかり成りました
やや樹勢を落としたことがかえって適度な制御となり、このような実成りにつながったのでしょう

ご存じのように、あまりにツンツンと勢いよく伸びる若い枝には花芽がつきません
花芽は適度に制御された中くらいの勢いの枝にくるのがふつうですね



葉がすっかり繁ってしまったので、不要枝の剪定はもう出来ませんから
芯の部分(カットパスターを貼った箇所)を一節つめて、もうしばらく様子を見ることにします

もちろん、実成り樹種でも楓やもみじの雑木類とおなじく
あまりに徒長した枝先や繁りすぎた葉は透かしたり葉切りをして、日光と風の通しをよくする作業は必要です

その作業はもう一ヶ月ほど先のことになりそうです

ターさん、ご無事でよかったね!

2010年5月19日水曜日

スクール速報・山もみじ

去年の夏にこの山もみじを手に入れたイーさんは、半年以上辛抱強く待ちました
芽摘みも葉刈りもせず、しっかり肥料をやりどんどんと樹勢をつけたのです

昨年の姿はここをクリック

おかげで元気いっぱいになった山もみじ
改造計画に沿ってばっさり切り込む適期となりました

もちろん、今春の彼岸前にやや大きめの現在の仕立て鉢に
水はけよく植替えておいたことも申し上げておきます

また余談ですが、この山もみじはイーさんが手に入れたあとに何人ものスクールの先輩たちに目をつけれられ
すでにイーさんの所有だとわかると、みなさんが残念がっていたんです

「これ、イーさんのだって、よくなるぞー」
「イーさん、枯れないうちに、おれに譲っちゃったほうがいいぞ」

こんな先輩達の励ましや脅迫(笑)を受けながら
イーさんはこの山もみじを手に入れたことにますます喜びを強くしているようです

さて、これからが大切な時期となります
みなさんの期待を裏切らないようにがんばりましょう、イーさん


2010/05/09 作業

イーさんの先輩のクロちゃんと私の意見も一致したので、ばっさりといきました
しょうじき、イーさんにはまだまだこの山もみじの将来図が描けてはいないようですが

いいんですよ、わからなくとも、論より証拠といいます
自分の持ち物が少しずつ出世するのを目にしながら、自分の目筋も向上していくんですから


赤点で示したところは胴吹き芽が吹きやすい箇所
青点は是非とも芽が欲しいのですが、芽が吹きにくい?の箇所です

その場合は呼接ぎという手段がありますから心配要りません

ちなみに、この山もみじの切り込みに際して、丸裸にするのが定石ですが
水揚げ用に主幹と副幹の頭の葉をわずかに残しました


現段階での将来予想図
ただし芽の吹く位置などにより途中での微修正は十分にありえます

イーさん、がんばりましょう!

2010年5月10日月曜日

昭和年代の後期に雑木盆栽の人気を独り占めしたことのある紅千鳥
その人気はものすごく、価格も現在と比べると想像も出来ないほどに高かったですね

そうなれば、ヒッパリダコの人気者にはまがい物が登場するのは世の常で
業界のあちらこちらで悲劇やもめごとが絶えませんでした

私は当時から、うさんくさいと感じたら手を出さすにかなり気をつけていましたし
もみじの品種に詳しい同業者に恵まれてたので、さいわいにも大きなトラブルに巻き込まれたことはありませんでした

それはともかく、ブームの最中はうわすべりな人気ばかりが先行し
盆栽樹種としての長所や美点を見る目は、脇に追いやられてしまっていたようです

しかし優れたものはやはり忘れられません、ブームが沈静化してしばらく経った今、改めてその長所が冷静に再認識され
真性の紅千鳥を求める愛好家さんも増えつつあるようです

そこで、昔取ったきねずかで
まがい物に引っかからないための簡単な紅千鳥の識別法をご披露しましょう

紅千鳥の盆栽としての長所は、葉の美しさだけではなく
幹肌のきれいさ、枝先のやさしさなどたくさん具わっています

ぜひともまちがいない真性の素材を手に入れ
じっくりと楽しんでください


やや黄色みがかった淡い赤色が特徴ですが
当時、春の芽出しの色が同じでありながら、真性とは異なる品種と思われるまがい物が出回りました

その中間種ともいうべきまがい物は、色彩その他はほとんど同じながら
この画像のような五つ手の中に、裾の左右にもう一つずつ手がついた七つ手が多く混じるものでした

ちなみに、真性のものにも、樹勢が良すぎたりすると葉型が乱れて
一本の木の葉の中に七つ手の葉がごく希に混じることもありますが

ともかく、私はこの端正な五つ手の葉であることを、第一の識別法としていました

今も、取り木用に地植えにしてある庭木の紅千鳥の葉の中に
みなさんへの見本用にと七つ手の葉を見つけたのですが、すべて五つ手で七つ手の葉は一枚も見つかりませんでした


出芽の色彩は樹勢や置き場所などによって少々の差異があります

注意

赤系の出猩々や清玄などは特徴がはっきりしていますから
ぞれらとのではなく、あくまで真性の紅千鳥とまがい物(中間種)との識別法を申し上げています


もうひとつの特徴が葉脈の色です

出芽の時期には黄色みを帯びていますが
この時期葉が固まるにつれ緑色を帯び、渋味を帯びてきた葉色とともに、神秘的な美しさをたたえてきます

それでは、間違えないようにね!

ちなみに紅千鳥は取り木が容易です
取り木用の種木を一本お持ちになって素材をゲットすることをお勧めします

2010年5月8日土曜日

スクール速報・コマユミ

スクール速報で初めてのご紹介になるイシくん
1才半のかわいい娘さんのパパで、30代前半のまじめな青年です(私の息子より1才年下!)

5年ほどの海外赴任中に日本の伝統文化である盆栽に目覚めたそうで
2年前の帰国を機会にこの道に入りました


遠く離れたで外国での異文化に囲まれた生活が
故国のよき伝統文化を再認識するきっかけになったのでしょう

イシくんは将来ふたたび海外赴任の可能性があるそうで
そのときまでにはと、心中密かに期するものがあるのではないか、そう私は想像しています

イシくんは住まいの関係や将来の海外赴任の可能性もあって
盆栽はたくさんふやさない方針ですが、そのかわり持ち運びの容易な水石にも強い関心をもっています

東洋の禅にも通じた精神性をもった水石趣味は
BONSAとともにSUISAEKIも国際用語となっていますから、きっとイシくんはそれらを外国人に伝えることが出来ると思います

さて、そのイシくんのコマユミに今年異変が起きてしまいました
その治療の過程をご紹介いたしましょう



4月の中旬をすぎても冬芽がほころんできません
枝先が枯れてはいませんが、枝先に瑞々しさと生気がない

このような状態を盆栽人は、「風邪を引いた」といいます
冬の寒さと感想で衰弱し、春がきても起き上がる元気がない状態です

それで、こんなときに有効なのは仮設の集中治療室(ICU)
場所はスクール兼用のビニールハウスの棚下の日陰、ご覧のビニールドームです



大切な注意点は、鉢内の水はやや乾かし加減にしながら
ドーム内の湿度を保つために地べたに直接置くこと

鉢内の水を控えるのは、例えれば
人間が体力が弱ったときには消化のいい食べ物にして、内臓に余分な負担を与えないことに通じます

つまり人間の内臓は植物の根と同じことなんですね



集中治療室に入れて約10日ほどの4月25日撮影

効果てきめん、早くも回復の兆しあり、ところどころの芽が吹っ切れています
左や芯付近の赤っぽく変色した部分は、水の上がっていない小枝なので枯れ落ちる感じですね

しかし部分的には落ちても、木そのものの命は助かりそう
あーよかった!


5月7日撮影

急激に回復しつつありますね、集中治療室の効用は抜群です
戸外の元気な盆栽たちにはかないませんが、体力を回復したコマユミは驚異的な回復をみせています


撮影後の夕方に、にわか雨が降り出しました
集中治療室から出す一番のタイミングは、ムロ出しと同じで湿度の高い天候が最適

さっそく戸外の棚へ

半日陰程度の置き場所で数日間は目を離さないように気をつけてやりましょう
葉の乾燥には特に注意

このまま順調に芽先が伸びるようなら
入梅くらいまでには他の盆栽たちの生育に追いつくはずです

ビニールドームはホームセンターの農業用資材コーナーに売ってますよ
困ったときにはぜひお使いくださいー!

2010年4月21日水曜日

地元の盆栽会

私の住む松戸市に日本盆栽協会の支部が結成されて40年
今年の2月に40周年を祝して記念展示会と式典を行いました

その続編として、収益(売上げの10%)を記念事業費の足しにするため
会員の親睦も兼ねた盆栽交換会を4月4日に開催しました

アマチュア同士の交換会は、参加者がセリ方式に慣れていないため
えてして雰囲気が盛り上がらす、なんとなく低調になってしまうことも多いのですが

松戸支部の場合はその心配はご無用!
(その道のプロのプロである私がいるからです・エッヘン)

出品物(盆栽や鉢類)の評価鑑定力や、売り手と買手の折り合いをつける説得力やタイミングなど
会場の雰囲気作りはセリ人の腕にかかっています(プロ専門の交換会だっておなじです)

そういう訳で、参加者約35名ほどで盆栽を囲んでワイワイガヤガヤ
会員同士の親睦と資金補填の目的を十分に果たせた有意義な一日でした



終了後に役員会を行い、その後に主だったメンバーで記念撮影(宮本撮影)
前列中央が支部長(会長)の真嶋誠一さん、交換会場は真嶋支部長宅のトラックのガレージだから雨天でも心配なし

ところで、画像をご紹介するにあったってよくよく眺めていたら
あれれ、撮影者の私を含めて16名のうち、50代以下の会員はわずかに3名で、あとは全員60代から70代です

全員で40名ですが、残る会員の中にも50代以下は数えるほどだ
30代が1名いるけど、うーむ、ここでも高齢化がかなり進んでいます

才能はもちろんですが、経験がものをいう盆栽界だから、高齢化は問題外とする見方もありますが
それにしても若い層が少ないことは後継者がいないということで、心細い限りですね

創立当時、私を含む数名は20代だったし
30代から60代、70代まで、年齢層はまんべんなく揃っていたはずなのに、いつのまにか・・・・

こりゃいかん
これじゃあ10年先が思いやられてきました

今回のように、当たり前のことに気がついて改めて唖然とするのは
私が小品盆栽やミニ盆栽を通じて、普段から若い愛好家さんに接しているせいでしょう

私のところの盆栽フリースクールには
30代の方が5名もいるので

自分の年を忘れちゃってるんですね、ミニ盆栽のおかげです

そして、この平均年齢の差が、普通サイズの盆栽界と小品盆栽界の元気の差となり
それが盆栽価格などに反映されているのでしょうね

この数年、しょうじき普通サイズの盆栽は値下がり気味なのに
中品サイズ、小品サイズ、とくにミニサイズはずいぶんと値上りしてます

ということで、今日は少々湿っぽいお話でした
みなさんの周囲はいかがですか? 若者はいますか?

今日の一言

高齢化、高齢化と言われているけど
高齢者が長く盆栽を楽しみ経験を積み重ねてきたことを誇るべし

ただし、その伝統を受け継ぐべき若者がいないことには、後が続かない
そして、後継者を育ててこなかったのは、まさしく高齢者の責任ではある

盆栽界においては、特にその責任は業者にあることは一目瞭然で
私もその一員であるからには、なんらかの責任を果たしたいと考えています

2010年4月20日火曜日

記録的降雪

10日にムロ出しを完了し、15日にその報告記事の中で

3月下旬のあの強風のように、4月に都心に雪が降ることだって過去にありました
突然なにが起こるかわかりませーん!

といった時点では、まさかほんとうに雪が降るとは思ってもみませんでした
41年ぶりの遅い降雪記録だそうで、ほんとに驚きましたね


16日(金)の午後からの予報が、関東地方に雪が降りそうだと報じ始めましたが
大骨おってムロ出ししたばかりだし、この時期の雪は信じたくないし、まさかという気持ちも濃厚ですぐに動く気にはなれなせんでた

しかし、夕方になってどこのテレビ局の予報も雪が降るのは確実な感じになってくるし
加えて、17日(土)には延期できない仕入れの仕事があり、朝8時から出かければならないし・・・

恨めしい気持ちで仕方なしなし、数日前に出したばかりの盆栽の避難にかかりました
これが案外めんどうくさいし、寒いし、くたびれるんですね


すでにムロは片づけてしまっているので、スクールに使っているビニールハウスが緊急避難所
私が雨に濡れながらフウフウいってるのに、カミサンは夕食後のくつろぎ時間に入っちゃってまったくのシカトウです

約1時間半ばかりかかって雑木類は全員避難完了
寒ーいし、疲れた!

しかし、様子見をして横着していると、夜中に気になっておちおち寝付けないのが常のことです
雪が降ろうとなにが降ろうと、これで今夜は枕を高くしてして寝られます


翌朝6時、天気予報的中!
ごらんの通りの降雪です

昨夜の疲れは忘れて、あー、やっておいてよかった
そう思う瞬間です


戸外で夜を過ごした松柏類はご覧の通り
これが新芽の軟らかい雑木類だったら、かならず芽先が霜焼け状態に焼けてしまいます

盆栽たちは自分では歩けません
みなさんの愛情でしっかり守ってやりましょう

それでは

2010年4月16日金曜日

山もみじ枝作り

ある程度骨格の出来上がった盆栽になると、外見からは見えなくなってしまいますが
素材から盆栽の骨格を作り上げていく課程で、作者は幾度も勇気ある選択を迫られます

その試練は盆栽にとって一生背負い続けるものなので
若い成長過程での決断と適正な判断が求められることがあります

たとえば、今日の教材に選んだ山もみじの10㎝以下の素材ですが
大切な一と二の枝を処理を間違えると、先々の後悔は目に見えています


取り木で幹筋をゲットし、幹の切り返しで模様とコケ順もできました

ところが、一見いい位置に出ていると思われる一と二の枝が思うようではありません
そうです、胴吹きした芽に針金をかけて作ったのに、節間(せっかん)が長すぎるんですね

節間が長いとその途中には芽が吹きませんから、次の枝分かれを作ることが出来ず
樹髙を抑えても枝の長い間の抜けた樹形になってしいます


まずは右の一の枝から見てみましょう

1の枝が最初に作った枝ですが、節間が長くて使い物にはならないので
昨秋に途中から止めておきました

2の枝も節間が長すぎますね

今春、うまいことに1の枝元に芽が吹きました(3の芽)
このように後から胴吹きした芽はあまり徒長しませんから、この芽を一応新しい枝として作っていきます

さて、左側の二の枝です

やはり伸びすぎているので、もっと節間の短い枝に切替える必要がありますね
青点の箇所が芽の吹きそうな感じですから、やはり段階的に切り詰めることにしましょう


下の小さな芽に切替えるという決断をしたので、従来の枝は切り詰めます
この山もみじの将来がこの小さな胴吹き芽にかかっている、そういっても言い過ぎではないほど大切な一芽ですね


切り込んだ枝元は今すぐに削り込む必要はありません
新芽がもっとしっかりし木質化してからにしましょう


左側の二の枝も、新芽が期待できる位置の手前まで短く切り詰めました
枝の途中にうまく芽が吹いてくれれば幸いです

今日のポイント

素材から盆栽を仕立てていく課程で、節間の長すぎる枝は、思い切って追い込むか切替えるかしましょう
もったいながって早めの決断ができないと、先々後悔しますよ

2010年4月15日木曜日

ムロ出し一応完了

4月に入っても天候が定まらず気温が乱高下
春先の陽気の不順は毎年のことですが、今年は格別のようです

寒暖の差が10℃以上あると、暖かい日じゃ嬉しくなりながらもなんとなくかったるかったり
寒い日には真冬のように厚着で暖房したりと、けっこう自己防衛にも忙しい

だがとにかく、この季節の盆栽人にとっては
なんといってもムロ出しのことが頭から離れませんね

毎年3月中旬になるころから、習性として気にはなり始めるのですが
今年のように桜開花予報が大幅に外れるようだと、ムロ出しのタイミングが非常に難しい

暖冬のうえ早めとの桜開花予想が出て、今年は例年より早めのムロ出しかな、と思っていたら
桜の蕾が膨らみかけたころに思いがけない強風が2回も吹きました

そのあとは寒暖の差が激しい日々の繰り返し
これじゃたまらん!

とはいえ、盆栽たちの季節を計る時計は狂ってはいません
こんなめちゃめちゃな気候にもめげず、しっかりと時を刻んで春の爛漫を迎えつつあります

先週の土曜日(10日)にムロ出し完了
でも「一応」の但し書き付きは例年通りのことで、まだまだ油断はしていません

いつでも逃げ出す心の準備は怠ってはいけません

3月下旬のあの強風のように、4月に都心に雪が降ることだって過去にありました
突然なにが起こるかわかりませーん!


関東では最低気温が5℃くらいまで下がる日があるでしょうが
遅霜と強風が予想されない限り、このまま戸外でがんばるつもりです

ムロ出し直後でもっとも気をつけるのは、その遅霜と強風と乾燥です

強い風が吹いたら葉水をやってください
鉢の乾燥にも気をつけてくださいね

2010年4月14日水曜日

フリースクール速報・金雀花

盆栽としては珍し樹種に属する群れ雀(むれすずめ)をご紹介します
持ち主は、昨年の秋フリースクール速報に一番バッターで(真柏ミニ)登場したマユちゃんです

フリースクール速報一番バッターへ

この群れ雀はマユちゃんの主力の10㎝サイズのミニよりもちょっと大きめですが
毎年花を見るためには、やはりこれくらいの大きさが適当でしょう

群れ雀は一名金雀花(きんじゃっか)とも呼ばれ
盆栽界ではこちらを使う方が多いようですが、どちらもすばらしい命名ですね

水と肥料を好み丈夫な植物ですが、小枝が伸びやすい性質のため
盆栽としてこのような小品サイズの骨格にまとめ上げるのは、案外難しいのですが

いちど出来上がってしまうと後の管理は切り込みだけなので
樹形の維持がぐーんと楽になります

花後に昨年の枝まで深く追い込み
夏の水を切らさないように管理します

また、初夏から夏にかけてぐんぐん徒長しますが、まったくの無駄枝以外の剪定は我慢し
晩秋に浅く切り込みをして春の開花を待ちましょう

夏季に徒長枝の先端をちょこちょこ摘むと
来春の花芽は期待できませんよ


2010/04/11撮影 樹髙12×左右20㎝

とぐろを巻いた根のおもしろさを利用した懸崖式
持ち込みにより最初は黒っぽかった木肌も、やや灰褐色を帯びて古色感がにじんできました

小さめの鉢を選んだので夏の水やりがたいへんでしょうが
堀江美功鉢の水色と鶴丸の赤とが、鮮やかな花の黄色をさらに引き立てています


花弁が開くと蝶形の鮮やかな黄色です
背景となる葉の深い緑もいいですね


灰褐色を帯びつつある根
持ち込みの効果が徐々に現われてきましたよ


後ろ姿

それではまた!

2010年4月5日月曜日

真柏取り木発根

取り木の魅力は、なんといっても早ければ半年
遅くとも1~2年で優秀な素材をゲットできることです

価格的にも、うまくすればタダ
購入したとしても取り木完成後と比べれば、材料の時点では超格安ですね

ですからその経験者は、常日頃から好素質の取り木材料をさがしています
取り木が成功したときのお得感はとうてい忘れられませんからね

そういうことで、昨年の春に出会った真柏10㎝サイズの好材料も
先日ムロ出しのさいに改めて検証したところ、11本在庫がある中の10本に発根が認められました

やったー、こりゃー、いけるぜー!
たちまち元気が出て、勇躍みなさまにお知らせするしだいです

昨年春の取り木作業  

そのとき、こんごの培養管理として

1 日当たりのよい置き場を選び、多肥多水を心がける

2 夏までは枝葉を切らずに十分に徒長させ
  夏に軽く枝に針金をかけて枝の基本を作ります

  その場合、必要な枝の先端は切らずに
  伸ばしたままで枝を太らせます

3 来春に軽い剪定を行い、さらに夏から秋まで徒長させる

4 来秋に発根状態を確かめながら親木から切り離します

5 本格的な植付けは越冬したあとの春先に行います

と申し述べましたが、(2)の軽く針金をかけて枝の基本を作る、の作業については
樹勢を上げて早めの発根を促すことを優先させたため、省略しました

そのもくろみがみごとに的中し、早めの発根という結果につながったようです
さて、それでは点検してみましょう


昨年春に取り木作業終了時の画像


一作(いっさく)後の今春の画像

昨年取り木後は(1)のように、日当たりのいい置き場で
どんどん水と肥料をやって肥培しました

真柏の取り木(針金結束式)は、枝葉で作られ根に送られる養分を針金でせき止め
その溜まった養分がはけ口を求めて発根に至るわけです

ですから、とにかく肥培が肝心で
やせているようでは発根はおぼつきません

枝葉はできるだけ多く繁らせましょう


赤点の場所が新しい芯の予定(完成予定樹髙は10㎝)
矢印は皮を剥いてジンにする予定です


ビニール内部が乾いているとわかりにくいのですが、水をやって濡れると見えやすくなります
つやつやの新鮮なモヤシみなたい根が見えますね

ほんとに根なのかなー?


ビニールをソーットめくってみましょう
まちがいなく、根っ子でしたー!

感動ですね

ただしですよ
手でさわってはいけませんよ

とくに根の先端の成長点に触れると
繊細な細胞が壊れて生育に支障をきたします

ソーットもとへ戻しておきましょう

今年もがんがん肥培して根の成長を促進させ
(3)で予定の剪定は入梅頃に実行するつもりです

この真柏を次にご紹介するのは、切り離し予定の秋になるでしょうね
それでは

2010年3月30日火曜日

黒松の植替え2

さて、それでは植付けにかかりましょう


ゴロ土を一重半(ひとかさねはん)くらいの厚みに敷く
ゴロ土の粒の大きさは4ミリ~6ミリくらい


植え土をごく薄目に敷く(厚いと低い植付けが実現しません)
植え土の粒の大きさは2~4ミリくらい

ポイント1・みなさんは心配しますが、底に敷く土の量はごく少なくていいのですよ

なぜなら、盆栽は長い鉢内の生活に慣れていて、その上根(うわね)で生命を維持しています
底の根からは案外水を吸っていないんですよ


あれ、れ、れ、れッ、根っ子に打たれたこの釘はなんだ!?

先ほど植付けのシミレーションをしたときに、前後の針金を結ぶ位置が傾斜面のため
縛った針金がズレ落ちてしまうことが判明したので、ズレ防止用に急きょ打ち込まれた釘でした

ポイント2・初心者の植替え不成功の原因に、あんがいにこの根の結束が緩い場合が多く
その怖さを知っているベテラン愛好家は、さまざまな工夫をして独特の根の結束のテクニックを身につけています


盆栽の据え付け
一度据え付けたあとはグラグラ揺らしたり移動しないこと

ポイント3・もし移動する場合は、ゴロ土を敷く段階から再びやり直すこと
この段階の作業が今後数年間の、この黒松の生育に大きな影響があるのですから、そのくらいの慎重さは当たり前(重要)


ヤットコでしっかり固定
ペンチは先端が平たくごついので使いにくい

ポイント4・固定したあとでグラットもしないように結束する


こんな感じです


植え土を入れる

竹箸や竹棒での植え土の落ち着かせ方は
真柏の植替えの項1・2を参照してください


表面に化粧土を敷いて作業終了です

黒松植替え1

”水かけ三年”ということばがありますが
植替えだって完全にマスターするには三年、五年とかかる大切な作業ですね

実際にやってみると、樹種による植替え適期や間隔や用土など、一般論だけでは乗り切れない困難に遭遇します
それは、植替え作業はたんに盆栽の健康面からだけでなく、鑑賞面も考慮に入れなければならないからです

要するに基本をしっかり押さえながら経験を積み、いろんな場面を経験し
その場その場の工夫を重ねていくことでしょう

それでは、今日は黒松の小品を植替えてみましょう
みなさんはここでも新たな見聞を広める機会に出会うはずです

しっかりと勉強して自分の知識としてください


水色の釉薬がかかった楕円鉢に入った黒松

ポイント1・一般的に松柏類は焼締鉢を使います
その理由は、松柏には渋めの雰囲気が似合うから、それと、水はけの関係です

ポイント2・現在の植え方は少々高植えになっているので落ち着きがありません
もっと低植えにしてやりましょう


いきなりですが、作業後の姿です

ポイント3・約2センチほど低い植付けにしました
いかがですか、腰が低くなり雰囲気が落ち着いた感じになったですね

ポイント4・幹を思い切って右に傾けて植付けました
一の枝に力強さが出て姿が凜としました

さて、結論は出てしまいましたが、それまでの課程をじっくりと振り返ってみましょう
ポイントをしっかり押さえてくださいね


竹棒やナイフ、小鎌などを使って根を抜く


ポイント5・鉢内の土がやや湿っているときには、半日ばかり乾かそう

植替え予定の盆栽は作業前に水をやや切らせておくのが定石です
湿っていると土を落としにくいし、残す土も泥団子状になって水はけが悪くなります(重要)

余談ですが、盆栽歴30年からの市内の愛好者で、このポイントを知らない人がいました(驚)


鉢土が半乾きになりました、それでは作業再開
植付け角度や植付けの高さなどをあらかじめ検討しておきます


低い植付けが目的なので、まず底の部分から裁いていきましょう


竹棒とハサミを交互に使って根を裁いていきます


古い根の奥にさらに以前の赤玉土の塊が見えます
まだまだ攻めます


予定の高さまではもう一息のようです
この時点においてもまだ根の周囲の土はそのままです

ポイント6・根を裁く順序をしっかり守ること
今回は低植えが最大目的なので、底根を先に攻めて側面は後回しにすること

その理由は、順序よく根を裁かないと作業終了間近には
根がばらばらになってしまい、植付けやその後の生育に悪い影響を与えるから


鉢底に横に走った根がなくなるまでさらに攻める


最後に側面の根と古土を裁いて完成です


土を入れる前に植付け角度や高さをしっかりシミレーション

ポイント7・作業を急ぎすぎてはいけません
後で後悔してやり直すよりも、納得がいくまで事前に検討すること

つづく