2018年2月20日火曜日

フリースクール’(舞姫もみじ)

取木無経験の数人の生徒さんはどうも腕がムズムズするらしく、ご自分の名札のついた舞姫もみじを取り出しては眺めております(笑)。
盆栽屋.comとしては、2月はやらずに3月も我慢し、本番は入梅前の5月中旬が最適と思っているのですが、この雰囲気ではとてもそれまでは待てない雰囲気ですな。

スエちゃんの種木ですが、上部の枝がゴチャゴチャしたあたりは、取木をすれば一応立派なミニ盆栽の骨格がゲットできる予定。

でも足元の古くなった部分も捨てちゃうともったいない。素材のすべてを無駄にしないのが宮本流。夏ごろに足元から数cmのところに貫通式呼び接ぎを施して、将来の芯(幹)を作っておきました。

上部を取木したあとはこの呼び接ぎ芽が木のてっぺんになるわけです。ちなみに、この芽がなければ、この素材苗は根から吸い上げた水分を枝葉へ吸い上げることができないので、次第に活動が不活発になって最後には腐って枯れてしまうことになります。

根元から数cmの位置に芽が接がれましたから、素材は上部がなくなっても下部は下部で生きていけます。ですから、毎年盆栽の素材として成長しながら、一方では半永久的に種木として生産活動をし続けるのです。

たとえば舞姫の4年生苗。裾のほうに芽がないと上部を取木した場合に、下部は枯れてしまいます。そこで上部に何本かの徒長枝を水揚げ用に残しておく。

その徒長枝を円状にグルット廻して足元から数cmの場所に呼び接ぎしておくとよい。なに?呼接ぎのやり方がわからない?

そうですね、時間のあるときにゆっくりご紹介しましょうね。チョーやさしいですよ。

2018年2月18日日曜日

水石旧友

今年もまたイギリスの水石愛好家・デイヴィット・サンプソンさんがやってきました。盆栽界最大の催しものである国風展と同時開催される日本の水石展の観覧のためです。彼は6月に開催される明治神宮での水石展示会へも毎回やってきます。


グリーンクラブで水石売店で品定めをするサンプソン氏と友人のウィル氏。彼はサンプソン氏の友人で
昔から通訳をしてくれています。そして、その影響からか、彼も水石が大好きです。

ところで、このサンプソンさんについては水石を含めて、もっとゆっくりいろいろ皆さんにお話をしたいと思っています。時間のある次の機会まで暫くお待ちください。

2018年2月16日金曜日

国風雑談

国風盆栽展示会の審査の雑談記事(複数)が私の過去の盆栽徒然草にありました。
既に10年以上前に書いたものですが、参照してお楽しみください。

とりあえず主なページへリンクしておきますので、いろいろ捜してお読みください。
普段みんさまでは見ることのできない珍しい光景もあるかもしれません。
どうかお楽しみください。

こちらからどうぞ

2018年2月15日木曜日

国風盆栽展第一回③


戦前の糸魚川産真柏の中でも屈指といわれた名木ですが、現存しているという話は耳にしたことない。他のこの白糸の瀧に比肩するような数々の名木も、培養技術の未熟さや戦争による社会の荒廃のために十分な手当てを受けられないままに、失われた例もかなりの数になるのでしょう。

それにしても、見れば見るほど凄いですね。力に溢れ、まるで天から舞い降りて来た龍か魔物のように生命をもった生き物そのもののようです。次には、一陣の風とともに再び天に向かって駆け上がって行ってしまうような感じがします。
戦前の盆栽史によく登場する「尾形雷園」と言うのはこの人でしょう。巧みな技とセンスで現代までも語り継がれている盆栽人です。小品棚飾り、杉、真柏。

天然彫りの高卓(こうしょく)に載った五葉松は、当代随一の名人といわれた斉田金作翁の長男・泰正氏の作品です。私は金作翁の次男の展司氏とはかなり親しく、さまざまな教えを受ける機会がありましたが、残念ながら泰正氏とはそういうチャンスを持つことはできませんでした。

右は三本足の卓ですが、まるで蝋燭たてのようで、いまでは見たことがありません。上には蔓性の植物が螺旋状に下がっています。
左のように平卓にバラバラと小卓を置いて無造作にミニ盆栽を飾るのを観たことがありますが、今ではこんな風にはやらず、もっと気取って飾るでしょうね

左右に真柏を置いて中央に更紗木瓜の一席です。現代では同樹種の飾りは避けるでしょうが、それでも木瓜との取り合わせは明るく綺麗な席になるでしょう。

野性味あふれた蝦夷松の寄せ植え。寄せ植えとは思えないほどの力が感じられます。

中央は五葉松の大懸崖、戦前の盆栽は葉がさが少ないので、現代の盆栽よりもややボリュームが小さく感じられますが、骨格はしっかりしていて骨太です。みごとですね。

一位の古木と左は真柏の一席です。

2018年2月12日月曜日

国風盆栽展第一回②

国風展の今年の入選率はおおよそ80%位だったように聞きました。ここ数年ではちょっとばかりですが、厳しさは持ち直したようです。この数年入場者数は伸びている感じなのに、一方出品数は伸び悩んで業界でもレベルの低下を恐れ危惧する声がだんだんと大きくなってきました。

というのも、つい10年ほどまえまでの競争率は驚異的で、国風展は落ちて当たり前の世界で、入選率は50%前後があたりまえで、厳しく高いハードルが当然と思われていたのです。ですから、国風展は何度も挑戦した挙句の10年選手が初入選することなど珍しくはなかった時代が続いていました。さらに、これほどの難関だからこぞ国風文化のレベルは維持される、と信じられてきた面もあります。

それでは、この国風盆栽展のごく初期のころの盆栽界ではどのような様子だったのでしょうね。
出品者の身分や職業、出品数や樹種、それに樹形の傾向など、推測すれば興味はつきません。

左から石榴、五葉松、真柏の順の一席。現代では三点飾りの場合、一点は草を入れて総体のバランスをとったり季節感を演出するのが常套になっていますが、このころではまだ席飾りの定石の完成度が未熟だったような気がします。

上下三尺七寸(約1.1m以上)の真柏の大懸崖と木瓜と山桜桃。
この時代ですから、真柏は間違いなく山採りものでしょう。現代盆栽の方が葉数は多く作る傾向にありますから、もっとボリュームのあるすごい迫力になるでしょう。

昔はこのような飾り席も設けたようです。左は内村保夫氏の五葉松で、右は斉田金作氏の寒木瓜石付となっています。ちなみにこの斉田金作という方は、現代における木村正彦氏のような存在で、針金掛けによる整形の名人といわれた戦前の先駆者です。

大貫忠三氏といえば戦後のかなり長い時期まで活躍された盆栽史上有数の収集大家です。
左より真柏懸崖、富士桜、蝦夷松の三点飾りです。

それにしても、100年もまえの盆栽の写真を見ながらブログを書いていますが、それらの幹筋のいい、そして、しまりのある枝ぶりの盆栽たちを見ていると、ほとほと感心させられますね。

五葉松と真柏の一席ですが、山採りらしい上品な持ち込み品には感激です。
100年も前に盆栽がこんなに洗練されていたのです。感動!

九霞園の席。赤松の文人と蝦夷松の根連なり。
清潔感と優雅でゆとりのある美しさで溢れています。

佐竹義春公の五葉松の一席。

戦前の盆栽会において蝦夷松の収集家としての挿話が現代まで語り継がれるほどに有名な頼母木桂吉氏の一席。左は蝦夷松の根連なりの石付けと右は五葉松の懸崖。

2018年2月8日木曜日

国風盆栽展第一回

本日から第92回の国風盆栽展が開催されます。一世紀の長きに渡り戦中戦後の数年以外はずっーと途絶えることなく国風の文化を世に伝え続けてきました。
日本文化の特徴であるもののあわれや無常観、哀愁や情趣など、現代の日本人に通じる精神性がかたちづくられたのが、国風文化の時代といわれる平安の時代です。花鳥風月、雪月花など日本人特有の美意識の基礎も、この時代にかたちつくられた日本人独特の感性です。

昭和9年に開催された第一回の国風盆栽展の写真帳です。30年も前にオークションに出品されたのを落札したんですが、なんと10万円の高値でした。でも今となるといい資料にもなって、落札しておいてよかったです。先日ご紹介したのが第二回目のやつですから、この二冊から戦前の盆栽界の様子はかなり推測できる感じです。ちなみに、国風盆栽展写真帳の真ん中に全という文字が入っているのが、第一回という意味のようです。

現在のように日本盆栽協会という法人がありませんでしたから、編者発行人は現代盆栽界の恩人と言われる小林憲雄先生、発行所は先生が主催した叢會(くさむらかい)になっています。

上が会長・松平頼壽伯爵の席飾り。向かって左側の席の5点は、すべて伯爵夫人が自然採取して自ら培養したものであるとの解説があります。このことにより、安価な草木でも気軽に楽しむことが盆栽精神の真髄であると考えた会長夫妻の本意が率直に伝わってきます。下は副会長・酒井忠正伯爵の席飾り。

蝦夷松2鉢に石菖の三点飾り。現代の感覚でいうと石菖の位置が微妙ですが、強弱、高低のバランスなどは抜群です。

蝦夷松に白寒木瓜に草の三点飾り。蝦夷松のしゃれた模様が秀逸です。

蝦夷松の寄せ植え、現代から見ると素朴な作品ですが、自然で好感の持てる作品です。

第一回目の出品点数は約95点ほどですが、レベル的にはかなり高度な印象です。故にできるだけ頑張ってなるべく多くの作品をご紹介したいと思っています。どうぞよろしく。

2018年2月5日月曜日

水石の世界

水石の台座作りの名人・鈴木広二(広寿)さんと、国風の売店席でバカな世間話をしたのは昨年だったか一昨年だったか。

年と経るに従い、親しかった人たちとの別れも多くなるにしたがって、次第に慣れっこになってしまったようだ。たった数年前のできごとでも何故か昔の思い出話のように遥か遠くのことに思われて、まるで雲を掴むような頼りない記憶のかなたの出来事に感じられてしかたがありません。

これは確か一昨年、明治神宮の水石展示会の搬入の日に広二さんと話し込みながら製作を依頼した記憶があります。石の産地を訪ねると、おそらく九州地方の産だよ、との返事でした。産地よりも姿と大きさと味わいに惚れたもので、自分としてはかなり気に入っています。

裏側です。

完成して送ってくれた梱包の中に、逆さまの副台座がはいっているではありませんか。そして、小さなメモ用紙に、あまりにかわいいのでサービスで作りました、と走り書きされていました。

広二さんと私のお付き合いは直接ではあまり古くはなく、日本水石組合が正式に発足して同じ役員として活動するようになってからです。

しかし、なんとないほのぼのとした人柄と真面目さ、水石と台座作りにかける熱意は、話ぶりや外見の柔和な印象よりもかなり自分に厳しい人だと思われました。

メインの台座。

プレゼントしてくれた副台座にも「広」の落款が入っています。

ありがとう、さようなら、広ちゃん、もうちょっと長くつきあいたかったね。
もうあと2~3回でいいから上野で飲みたかったね。
そしてなによりも、もう広ちゃんに仕事を頼めないのが辛いねー!

2018年2月4日日曜日

盆栽フリースクール

以前は月に2回くらい、スクールで朝から晩まで盆栽と対峙して止まなかったトリ君でしたが、昨年あたりから会社の部署が変わったらしく、頻繁な海外出張などで盆栽三昧という境遇はしばらくお預けのようです。
そのトリ君が、しばらくぶりに検証して欲しいということで、5年ほど前に先輩のクロちゃんから譲り受けた荒皮性のイボタを持ってスクールに見えました。















樹高は17cmくらいでしょうか、幹模様がなかなか荒々しく躍動感に溢れています。基本をやや外した自由な枝つきにはかえって闊達な奥行きが感じられます。

クロちゃんが持っていた当時よりもやや太ったようで、梢の先まで気合が入っていて、漲った気力が感じられます。

使用鉢は新渡の黄釉古鏡型ですが、これがよく似合っています。派手な樹形ですから鉢も華やかな雰囲気のものが映るようです。

それにしても荒皮イボタは不定芽が多く、案外にまとまりにくい樹種ですが、力強さを維持しながらよくぞここまで纏め上げましたね。おみごと、いうことなし!

ということで、次は兄貴分のクロちゃんの番です。














甲州野梅の中型よりちょっと大きめくらいの模様木。幹枝の模様や構えは素質的にいってもいうことはありません。梅盆栽で一番に注目される古さだって申し分ありません。

あとの課題は、芯に至る幹筋上部の肉づきが加速されて、全体のボリューム感や力感が増すことですね。まあ、それには時間のかかる梅ですから、とにかく根気よくということですね。

もうひとつは、鉢の選定でしょうね。このくらいの古色感あふれる野梅の場合、花ものだといって、決して釉薬鉢に拘る必要はありません。使い込んだ泥(でい)もの鉢の方が木の古さが引き立つことが多いようです。クロちゃんのことですから、イメージに合ったいい鉢を探すでしょう。

2018年2月3日土曜日

均釉外縁袋式半月足楕円

天気ははっきりせずに朝の気温もかなり低めでしたが、エイ、ヤア!と気合を入れ,セットしたアラームより10分も早く寝床を飛び出しました。こんなことって一年のうちでもめったにないことですが、たまには爆発させないと盆栽シーズンが始まっているというのに、仕事が一向に捗りません。

ということで気合のせいあってか、早起きはの効能はたちまち具現して、今日の収穫は以下のお買い得の支那鉢を格安価格で手に入れることができました。




均釉外縁袋式半月足楕円
間口40.5×奥行き27×高さ6.3cm

盆栽界では昔からこの袋式の鉢を、愛閒型(あいがんがた、と呼んで非常に珍重しています。愛閒型の名称のいわれは、同型の泥(でい)ものの場合は側面に愛閒老人製の刻文が記されているとことから、そう呼ばれています。












例えばこの鉢が朱泥ものであれば、朱泥外縁袋式半月足楕円と呼ばれ、その側面には愛閒老人製の刻文が記されています。


見た目には優美な曲線に囲まれているのでやさしい感じですが、構造的にはしっかりしていて、以外にがっしりと堅ろうな作りをしています。このあたりも観賞鉢だけでなく実用的にも高い評価が続いている所以だと思えます。


鉢の美しさは、表からと裏からとが半分ずつ評価されやがてひとつにまとまって、総合的評価とされます。ですからプロは必ず鉢裏のデザインや仕上がりや時代感を重視します。



製作からの経年はおおよそ100~150年くらいでしょう。丁寧な使い込みによりジンワリと落ち着いた趣が滲み出ています。こうなってこそ、樹齢50年とか100年の古い盆栽との調和がとれるようになるわけです。使い道としては、雑木の部類に始まり、実もの、花もの盆栽など応用範囲はかなり広範です。

2018年2月2日金曜日

簡易冬囲い

昨日までの天気予報通り夜半から未明にかけて数cmほどの積雪がありました。10日ばかり前のと合わせると、雪の少ない千葉県人にとってあと一回でも降れば、あの雪が多かった冬として暫くは記憶に残るくらいの感じになってきました。

気候のせいか、それとも年のせいか、この数年ばかりは寒冷紗による真夏の遮光はますます真剣に励行するようになりましたが、それに反比例して防寒対策はかなり甘くなってきたようです。


以前は、夜間はビニールとブルーシートで二重のカーテン状の覆いをしていました。それに比べて現在のムロはまるで「簡易ムロ」で、寒中はかなり凍ります。


木製のスノコの棚ですから、下から風が入ってよけい寒そう。でも樹木は凍結で死ぬようなことはめったにないんですよ。

樹液も水分ですから基本的には凍りますが、樹木の細胞はいろいろに守られていて、そう簡単には凍結しないそうです。また外側の凍結が簡単に細胞の内側へ悪影響を与えることもないそうです。

基本的には、一般的な樹種は暑さよりも寒さに強い。寒さよりも暑さ対策が優先のようです。


みやもと園の棚下の簡易ムロ。挿し木苗などの素材でいっぱいですが、これで十分に役目を果たしてくれます。植え替えたばかりの鉢でなければ、寒さで枯れるようなことはありません。


小型のビニールハウスムロ。このようにビニールが一重だとやはり凍りますが、盆栽保護用ならばこれで十分の役目を果たしてくれます。寒中の厳冬期の植替えの場合は、二重の覆いで凍結を防ぐことを忘れないように。

盆栽界には柑橘類など寒さに弱い人気樹種がありますが、それらはガッチリ守る必要がありますね。その他の一般的な樹種は、寒さよりも暑さ、という感じの培養でよろしいと思います。



2018年2月1日木曜日

楓超ミニの穴埋め

たまに行きずりで、盆栽らしきものを売っているお店に寄りこむことがあります。仕入に出たついでなどで時間に余裕があって、できれば顔知りでなければなおいい。こっちも向こうも気を使わないですむからです。なまじ知った顔だと仕事の手を休ませてしまうし、こちらも心置きなく好き勝手な行動をとりにくい。

掘り出し物を探すのには、(お店番の方には申し訳ない表現だが)吹き溜まりの感じがするなるべくお店の隅の方が第一の穴場です。どこのお店でも隅っこには、弱りかけたりした下取りものなどまとめて詰め込まれていたりするものです。

一昨日もこじんまりとしたとある盆栽園で、棚の隅っこから5,000円と値札のついた楓の超ミニを見つけ出した。

樹高は芯の頂上まで約8.0cmくらいで、幹筋の模様がおもしろく見る角度によってはなかなかに構えも魅力的です。ただし芯の手前に大きな切り戻し傷があって、1.0cm以上の深さの穴が空いています。

立ち上がりの幹筋の模様よし!


ポッカリ空いた大きな穴。切り戻しの傷を放置しておいたので、肉播きする前に木質部が朽ちてしまったようです。













それにしても姿としては魅力的なところを持っています。その魅力に賭けて、値切り倒してとうとう3,000円でゲットです。この空洞さえ肉巻きすれば、評価は桁違いに出世するはずです。


樹木の穴の補修にはいろいろな材料が用いられてきましたが、今回はボンド・ウッドエポキンという木材用の補修材を使ってみました。


二つの材料を均等に混ぜ合わせるタイプです。傷口より数ミリ低めに詰め込んで、将来はこの上に肉巻きするような処置を考えています。


本当の正面はまだはっきりと掴んではいませんが、3月の植替え時にははっきりするでしょう。
ともかく5,000円を値切ってたったの3,000円がどこまで伸びるかチャレンジしてみましょう。

よろしく。