むかし、大量に製作を依頼した大手の盆栽商の二代目の倉庫の奥に眠っていた木工家・本郷昇(昇が兄で寿山が弟)の小品卓や、画像のような足の巻いた小さな巻卓(まきじょく)。
間口7.5cm×奥行き5.0cm×1.0cm
引き出しの片付けをしていたら9枚も出てきました。以前に盆栽商の二代目から本郷作品をまとめ買いした残りに違いありません。おおよそ20年くらい押入れの机の引き出しに眠っていたので、懐かしくもあり、また儲かったような気にもなり暫し眺めいりました。
まず目につくのは材料の良さですね。これはどんな小さな作品にもいえることです。
昔から木工師は自らの家財よりも手持ちの材料(原木)を大切にしたそうで、家の引越しのときなどは、家族の寝食する座敷よりも材料の置き場所を第一に考えたそうです。まさに木工師にとっては「材料命」と云ったところであったのでしょう。
よく寝かせた無傷の紫檀のこの光沢は見事です。
裏面から見ると製作途中の刃物の痕跡が見えて、作者の捜索への息吹が伝わってきます。
造形的に堅すぎず柔らかすぎずみごとなバランスのミニ卓です。手に取って眺めると巻き足の出来具合のよさが一段と伝わってきます。
どんな小さな脇役でも出来のいいものはいいですね。おしゃれです。
なお本郷昇作品には「昇」という彫り落款が記されているのが普通ですが、これらの作品は大量生産のため落款を省いたのでしょうが、間違いなく本物です。
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