2020年6月4日木曜日

古鉢の磨き方Ⅱ

長く使い込んだ鉢についた古色感(こしょくかん)をさらに引き立てるには、ちょっとしたコツがあります。


焼締(やきしめ)ものは水洗いしただけでは土の艶が表へ出てきません。木綿の布や亀の子だわしで根気よく磨いてもかなり艶が出ますが、それでは時間がかかり過ぎて一日仕事になってしまいます。



ドラックストアーへ行くと純正の「天然の椿油」が売っています。100cc入りの瓶で1,000円くらいですから案外値は張りますが、機械油ではベタベタと掌にくっついて、たまったもんではありませんから、ね。
ティッシュか木綿の布で少しずつ伸ばしていきます。高価な油ですから一度にたくさんはつけないで、徐々にすり込みます。


油を塗ったところとまだこれからの場所では土目の艶がまるっきり異なりますね。


この図は境目がはっきりしてさらによくわかりますね。


縁の部分も艶が出て色彩に深みと高級感が滲み出てきました。


油を塗っただけでは単に「テカッテ」いるだけですから、次の段階では木綿のボロ布でよく磨きこみ、必要ならもう一度新たに油を薄く追加してもいいでしょう。


「テカリ」が取れて鈍い貫禄のある光沢が出てきました。100年以上を経た支那鉢は、さらに年を経るごとにますます美しい輝きを放って、私たちの目を楽しませてくれます。


支那鉢だけでなくよく使い込んだ古い和鉢でもしっかり磨き込めば支那鉢に負けないくらいのいい味が出せるものもあります。みなさんの身の回りを見回して、古い鉢を探して美の再発見をしてみてください。

では

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