2020年6月13日土曜日

海鼠丸鉢四態

懇意な同業者から4枚の海鼠の丸鉢を仕入れました。一番外側の大きいのが間口25.5cmで内側の最小のが18.5cmです。中渡りの支那鉢の中でも特に盆栽人になじみが深く、雑木や梅や草ものなどによく用いられているようです。
我々にとって親しみのある海鼠の丸鉢ですが、一昔前までは同形、同サイズならば白交趾の方が何倍も人気があって価格も高かったものです。ところがこの5年くらいの間にその立場が逆転してしまった感じです。地味ながら二重掛けの釉薬の流動がもたらす微妙な変化が楽しめる海鼠釉の魅力が再評価されてきたのでしょう。


大きさ、形、釉薬の発色などについて一枚ずつ眺めてみましょう。


間口18.5cmの一番小さな海鼠丸鉢。形もサイズも手ごろで用途が広い。釉薬の変化す様を観察すると、斑文様に微妙に変化しているのが見られます。土目は赤色です。


間口21.5cm。釉薬の二重掛けの効果で雲状の文様が絵になっています。土は赤色で形は標準的です。釉薬はやや明るめの発色です。


間口23.5cm。釉薬の発色はやや濃い目で形も大きさも標準的な丸鉢です。地中海の深い海の色を思わせる色彩です。土目は灰褐色。


間口25.5cm。やはりっ深い海の色を思わせる海鼠の釉薬。土目は灰褐色。
外に大きめに開いた縁は枝振りの大きな盆栽に似合う形ですね。

以上4点の海鼠丸鉢を鑑賞して見ましたが、微妙に個性が異なっていますから、おのずと使い道や鑑賞のポイントが異なってきます。
みなさんも身近にあるものをよく検証して見直してみましょう。おもしろい発見があるかも知れません。




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