明治から昭和の中期ごろまでに盆栽界と縁のあった唐木細工の名手・名人を挙げてみましょう。するとまず大名人と云われる小川悠山をはじめとして、日比野一貫斎、白井潤山、葛木香山、金子一彦、本郷昇・寿山兄弟などの名が挙がります。
彼らの多くはいわゆる大家・通人と呼ばれる盆栽愛好家や盆栽園主の依頼を受けて飾り卓や飾り棚を製作しました。ですから、今日私たちに残された旧い盆栽諸道具などはは、それらの注文主の優れた審美眼と職人たちの技術の賜物であるといえます。
さて、今日みなさんにお見せするのは、大名人といわれた小川悠山の弟子であった白井潤山作の、紫檀小品飾棚(間口48.5×奥行き20.6×高さ)
白井潤山は昭和初期から中期にかけて活躍した唐木細工師で、重厚というより日本的なやさしさにあふれた柔軟な感覚の作品が多い印象です。
「紫檀菊透天拝机卓」が代表作として盆栽界に知られています。
潤山作品はいずれもよく吟味された材料が用いられていますので、製作後100年近い年月を経ていながら、割れヒビなどの痛みが全く見られません。
箱型の飾棚ですから5点飾りが定石になりますね。間口と中段と高さのバランスが絶妙です。ほどよい緊張感と力強い構成です。
昭和初期から中期にかけての製作と思われます。
隅々まで神経の行き届いた細工師の息吹が伝わってくるようです。
中段にも安定感あり。
年月を経るごとに光沢をます唐木の魅力。
製作よりかなりの年数を経ていますが、天板等に痛みはありません。そもそも原材料の選択が並ではない証拠でしょうね。
木綿のボロで根気よく磨き込むんです。それに置き場所も大切ですね。できれば箱(ダンボールでもよし)に入れて直射日光に当たらないところがいいでしょう。盆栽の道具類も生き物と同じで、可愛がって大切にしてやることですね。
腕が痛くなるほど乾拭きします。
天板の裏側に捺されている「潤山」の焼印。昔、潤山の贋作に出会ったことがありましたっけ!その時もこの落款が真贋の決め手になりました。
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