名品に出会った感激は盆栽の愛好家でなければ理解はしがたいものです。まして図録物となると、長い年月この世界で評価され続けてきた、つまりお墨付きというわけです。
その作家の代表作と云ってもいいわけですね。
しかし、この古鉢蒐集の高みを目指すには、冷静さも必要です。既に評価の固まっている名品であっても改めてしっかりと検証する必要もあります。
ボディーなど目立つところはもちろんですが、足などの細かい箇所は①傷 ②痛み などに注意して欠点を検証します。
1本目、2本目は大丈夫
???・・・・3本目の足の元に僅かに光るものが見えませんか?
このような場合はよく接着剤で傷を修理してある場合もあって、細心の注意が必要です。
対象がお墨付きの名品でも検証はしっかりやらねばなりません。
この場合はまだはっきりとはいえませんが、修理の可能性は考慮に入れておいた方がいいでしょう。
4本目は大丈夫ですね。
この角度から全体の形や釉薬の雰囲気を鑑賞しましょう。こちら側が窯変の激しい正面です。
高取釉のような重厚な釉薬の変化が魅力的です。さすが市川苔洲の最高傑作のひとつですね。
渋い蕎麦釉の持ち味が制作から100年近くの使い込みによって、渋い輝きを放っています。
さて先ほどの足の傷らしい箇所の再検証です。左の足元をよく見てください。元に細い線がかすか入っているような気がしますね。
この角度から見ても左の足の元には細い線らしきものが見えます。
他の足元には不自然な点は見あたりません。
こちらも大丈夫。以上、1本の足については一応傷の可能性をチェックしておくべきのようです。ただし、ごく軽傷の経年劣化レベルではあるようです。
たくさんの画像をご紹介しましたが、最後の2枚が実物にもっとも近い印象なので
敢えて掲載しました。↑が正面で↓が裏正面になります。
以上、どのような名品にも歴史があり、歴史がある以上実用物なので傷や痛みはまぬがれませんが、それらをきちっと検証することによって末永く保存していきたいですね。
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