2017年11月17日金曜日

楓変わり木鑑賞

我が盆栽フリースクールの最年長のツカさんが、骨格の素材段階に手に入れて、8~9年作り込んだ楓の変わり木です。現在は故あって盆栽屋,comの棚に鎮座しているのですが、落葉時期でもあるので木姿をじっくりと眺めてみよう。

ちなみにこの楓の樹高は意外に小さくて、30㎝を軽く下回って28㎝くらいです。ご覧のように差し枝が暴れたような変形の構図なので姿が大きく見えるのでしょうね。


今年の秋は長雨のためあまり鮮やかな紅葉というわけにはいかなかったですね。ただこの画像からはこの楓の葉性(はしょう)と枝性(えだしょう)が細かく、優れた性質であることがお分かりいただけると思います。

松粕であれ雑木であれ作り込んでいくうちに、持って生まれた優れた素質には適わない、そんな思いをすることがよくありますが、とにかくそんな美点は何よりも大切にしたいものです。


きれいにすべての葉を刈ってみました。今年この楓にたいしてツカさんは、2回以上の葉刈り作業を施しているはずです。その事実はご本人から聞かなくともこうしてほぐれた枝先を見れば瞭然ですね。

ところで、いかがですか、このおもしろい変わり木樹形は?

幹筋は本格的な模様木風ですが、左の足元からそう遠くない位置に2本の枝があって、それがまず第一の個性ですね。そして上の右側の最大の利き枝は横へ伸びるのではなく、途中から隣の幹筋と並んでもう一つの樹冠を形成しています。局限すると、見たこともないような原始的で奔放な姿ですね。

これが雑記でなく松柏であれば、まさしく、双頭の龍のような構図とも例えられるでしょうね。いずれにしても躍動的な力にあふれた構図です。


いっぽう、実物を見るとあまり目立たないのですが、赤矢印で示した数本の枝の流れに違和感がある感じなので、指摘したいと思います。�↓で拡大してみましょう。�


下向きの何本かが流れを妨げているようですが、現段階では構想が固まっていません。ここでは一泊して次の段階で解決していこうと思います。大切でもあり難しくもあるポイントになる箇所のようですから慎重にいきましょう。


やや上方から全体の輪郭線を見ます。小枝のほぐれ具合から見て、早くとも3年、できれば5年くらいの長期計画でじっくりと取り組みたい逸材です。必ずや一流展示会で活躍できる逸材ですよ。

そのころになれば、現在はちょっと気になる幹の全面の傷跡などもなまなましさが消え幹味となっているでしょう。たいがいのことは持ち込みの辛抱が解決してくれのが盆栽です。


正面のやや視線を下げた位置からの撮影ポイントより見るとスケールが大きく見えます。力に溢れた迫力のある姿が見どころですね。

本格的な手入れはまだ終わっていないので、雑木盆栽独特のきれいさがまだ発揮されていませんが、じっくりと手を入れて磨き上げれば、見違えるような晴れ姿に変わるはずです。

それでは。











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