2010年12月2日木曜日

楓・三歩前進二歩後退

三歩前進というとうれしくなるが、そのあとに二歩後退とくると、あれあれと思ってしまいますが
雑木の落葉後の剪定は、せっかく元気に繁ってにぎやかになった枝や芽を減らす作業なので、それなりに思い切りが入りますね

でも、とくに5~7分目くらいの完成課程にある雑木類は
枝の基本作りや不要枝の整理などを毎年ていねいに行う必要があります

ですから、この場合、二歩後退とは単に葉がさが減ることをいうのであって
差額の一歩の前進は、大きな大きな一歩となるのです

盆栽は絵に描いたように、とんとん拍子に苦労なくできあがるものではありません
三歩前進二歩後退を繰り返すうちに、苦労の末に筋道がついてきて

気がついたらいつの間にか古色感も身についていた
そんな感じで盆栽に接するのも大切なことです


さて、この楓甲羅吹きも愛知県のKさんの所有物
先日の「もみじ落葉後の剪定」と併せてお読み下さいればよろしいかと思います

生育期間の手入れ(芽摘み、葉透かし、葉刈り)、また水や肥料の培養管理もうまくいったようで
枝先の勢いが過剰ではなく、芽や枝は適度な元気さを保ち、まさに三歩前進の感じです


後ろ姿


しかし、枝の細部を検討すると、二叉の枝分かれが基本形のはずが、赤点のように三つ叉だったり
徒長して伸びすぎた小枝や不定芽もあり、時間をかけて徐々に剪定しなければなりません


中には強すぎる枝(赤点)もあります
このような枝は周囲とのバランスによっては途中から切り取り、やわらかい枝に切替える必要もあります


ざっと主幹の剪定が終わった時点で、総体の姿を点検してみましょう
頭部に枝や芽が徒長して団子状になり、このままでは将来のためになりません


側面の角度より

赤点あたりを新しい芯として、団子状の従来の頭は外すことにしました
これも案外勇気の要る仕事ですよ


幹筋の線がすっきりと見えてきましたね
素材の頃から完成までには、何度か経験することになる芯の立替えです


同じような感じで利き枝の剪定も行います
枝作りの基本は「左右に二叉」ですね、根気よくこれを繰り返して剪定を進めます

赤点の枝は、現時点では除去するには迷いがあります
ですから、途中で止めておき一年後に再検討することにします

このように、現時点では結論を出さずに保留する自制心も大切
このことも覚えておいてください、「急がば回れ」ですね

一応これで剪定終了


後ろ姿

さて、三歩前進した楓の甲羅吹きも、大幅な剪定により二歩後退した感じですね
しかし、芯の切替えや不要枝の剪定などにより、将来に向けての樹形の基本が再検討されたので

差し引きでは大きな一歩を記録しました
来年が楽しみです

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