2008年11月18日火曜日

五葉松双幹取り木素材

盆栽人にとってはめったに人の持たない稀少な名品と出会うのが夢
その強い衝動が非常な困難や辛抱を乗り越えて、盆栽界に名品を送り出しているのですね

今回紹介するのは、取り木による10cm以下のミニサイズの五葉松
まさに辛抱の賜物といえましょう

ご存知のように、黒松や赤松、真柏や杜松など他の松柏類に比べて
五葉松は追い込みの難しい樹種ですね

そのうえ成長も遅いなどの理由から
人気抜群の樹種でありながら、10cm以下のミニサイズは極端に品薄です


私の親しい友人(業者)が5年前、実生五葉松に取り木をかけました
雑木類に施す環状剥皮ではなく、根の欲しい箇所を針金でやや強めに縛っておき水苔を巻いておく方法です

この方法は環状剥皮と異なり時間はかかりますが
発根しにくい松柏類などに有効です

気長に辛抱してまる2年ほどで発根したしましたが
急いで親木から切り離さず、根数が殖えるのを待ったのです

5年の歳月が経ち、樹形も五葉松らしい温雅な双幹体として立派に成長しました
いよいよ親木から独立の時期がやってきたのです

しかし、ここで慌てて失敗しては5年間の辛抱がフイになってしまいます


現在の樹高(鉢の面から)樹高11×左右17cm
親木から独立した後の樹高は、うれしいことに8.5cmです

やや下方から覗いてみます、主幹の模様がいいですよ
向って右が子幹、左は主幹の一の枝です

白点のあたりが発根の予想される位置
その下は水苔を山盛りにしてあり、無数の根が鉢の中まで伸びています

さて、親木からいきなり切り離してせっかくの樹勢を損なってはいけませんから
来春、この山盛りの水苔を丁寧にすべて取り除きます(ピンセット)

そして、鉢の上にビニール網(鉢底用)で土手を築き
赤玉土と砂の混合用土を入れます

そのまま来年1年間はしっかりと根作りに励み
再来年の春に親木から切り離し、そのときにほんとうの独立をするわけです

に時間をかけて慎重にやれば、樹勢を損なうことなく
独立後も順調な生育をみせるでしょう


足元の拡大図

葉の炭酸同化作用で作られて形成層を伝わって根に蓄えられる栄養分は
針金でせき止められて発根につながるのです

また、せき止められた針金の上の部分はごらんのように太って
盆栽としての理想的な立ち上がりとなります


(×)針金の縛り方
悪い例、一重だと上下がつながってしまうので二重に撒いた場合
一箇所で締めると隙間が空きやすく、圧力が一定にならない


(○)針金の縛り方
良い例、二本の針金を左右から締めると
隙間が空きにくく、圧力が一定になる

こんな小さな工夫も取り木成功へ道につながります
参考のために

では

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