2008年1月6日日曜日

山ずみの魅力

ふつう盆栽界で、「ずみ」といえば山取りの黄色い実成りの「山ずみ」のことをさし
おなじ仲間の紅い実のかいどうは「深山かいどう」と呼び、きっちり区別しています

「深山かいどう」はもちろん「ずみ」にも改良園芸種がありますが
「ずみ」に限って盆栽人にはかなりのこだわりがあって、山取りものをわざわざ「山ずみ」とていねいな呼び方をします

このことは「山ずみ」の盆栽としての優れた特性が抜群であり
好素材が稀少である証拠なのです

さて、その山ずみの優れた特性を

1 鮮やかでありながらも通人好みの渋さも兼ね備えた小さい実成り
2 細かく分岐する優れた枝打ち
3 持込の古さととも寂びた野趣を感じさせてくれる木肌の荒れ
4 古木となっても元気で盆養に耐える強壮な樹勢
5 取り木や挿木、接木で多様な繁殖法

といいことばっかり並べましたが
たった一つだけ、なかなか実が成りにくいという、盆栽人によく知られた短所もあるんですね

この山ずみの実成りについては、おもしろい話がいっぱいありますよ

実を成らそう成らそうと何年も我慢辛抱したが成らないので、とうとう諦めて友人に譲ってしまったら
なんと翌年にはみごとに実が成って、じたんだふんで悔しがったがもう遅かった

私だって数年前に、同業者が長いこと丹精してがとうとう実がこない古い山ずみを2鉢買って(もちろんしっかり値切って)
1鉢は翌年、もう1鉢は翌々年と連続で実が成ったことがありました(大いに得した気分になる)

ですから、山ずみは実が成りにくいという先入感に支配されずに
「いいや、実が成るまでゆっくりと木作りしていれば、忘れたころに成るだろう」とゆっくり構える気持ちが大切です

山ずみには雌木雄木の区別はなく、いちど成ればその後は毎年花芽をつけるようになりますから
その点は枝性のいい野梅と同じなんです

盆栽は、根気、根気!!



愛好家さんが山取りの山ずみを取り木した好素材、完成予想サイズは樹高7.0cm

1 取り木予定の箇所をあらかじめ針金で1~2年間結束しておく
2 枝葉で作られた養分が針金でせきとめられて膨らんだ部分に環状剥皮の取り木をかける
3 さらに1~2年かけて親木から切り離す



赤点は将来の芯で、白点が枝の候補

萌芽力の強い山ずみにはあちらこちらに芽当りが見られるので、枝配りには不自由しませんし
枝の欲しいところ(青点)には呼び接ぎも容易です



枝配りの基本予定図

一度実がなっているので、ゆうゆうと木作り枝作りができますね
枝を作っている間に、根もしっかりと発達させて一歩一歩根気よく完成をめざします

0 件のコメント:

コメントを投稿