2005年7月24日日曜日

水石道の真髄

水石の世界では天然ものを「ウブ石」といって尊重します
「ウブ石」に対し一部でも人工的な修正が加えられていると「直してある」「いじってある」などと呼び
できれば避けたいとの思いを共通に抱いています

しかし、天然もので理想的な姿形をもった石
これはめったにないのです
そこで、石底の加工については認めざるを得ないというのが、偽らざるところでしょう

そんな水石界のなかで、数少ない例外として
茅舎石については加工が大っぴらに認められているのです

1 天然で茅舎の形を表現した石は稀であること
2 茅舎石は単体で鑑賞するよりも盆栽席飾りの添え物として登場することが多く、またそれに適している

このような理由からでしょうね

世に名石と呼ばれる茅舎石の中には加工されたものも数多く存在します


ご紹介する茅舎石は加茂川産です
屋根の部分意外はほとんど加工して作り出したものですが
持込の古さが際立っていて豊かな情感を漂わせいます

茅葺(かやぶき)屋根の日本の昔の家屋そのものになりきっていますね
おそらく半世紀からの持込がすっかり人工の匂いを消し去り
観るものをしてもはや「石」との感覚を抱かせなくなっています

その存在自体が鑑賞する者に対し「石」としてせまってこない
これが優れた水石の最大の条件です

遠山、荒磯、滝、水溜り、そして茅舎など、そのにあるものは「自然の景色」そのものなのです
石であって石でない
このことこそが「水石の道」の真髄なのです


後ろ側より


アップ、優れた石質と時代感がよく見て取れますね


華麗な細工の技巧が見られます




左側面より

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