2004年12月18日土曜日

展示会出品マナー(第28回千葉県盆栽名品展より)

12月3日より開催された第28回千葉県盆栽名品展
出品された盆栽の中からもっとも優れた作品には千葉県知事賞が贈られます

毎回その審査では頭を悩ませますが、今回も非常に大切な示唆を与えてくれる作品例がありましたので
(所有者のお許しをいただいた上で)、忌憚のない検証をしてみましょう


糸魚川真柏(山採り)樹高50cm

5~6年前に私が市内の愛好家Tさんに買っていただいた糸魚川産の山採り真柏
樹齢数百年の天然のジンと捻転した水吸の芸が魅力です

将来「国風展」に入賞することを夢見てKさんが購入したお宝で
もちろん適切な培養を続ければ「国風展入選」は間違いなしとの太鼓判を押した私です

ところが今回Tさんは、千葉県盆栽名品展に出品のつもりはなかったようで
不意の出品要請のため、掃除や化粧が間に合わなかったようです

私は展示会場で審査をする段になって
この真柏がこの姿で出品されているのに気がついたのですが、もう間に合いません

私も審査員の一人です
即刻この真柏を審査対象外にすることを申し出ました

一般からの扱いでしたら大目に見るところですが
私の扱いとして登録されているのでは、立場上辞退申し上げるしかありません

私もうっかりしました
(展示はしました)



他の審査員も「こんなにいい木なのに、惜しいなー」と嘆いたのですが

まずジンの部分の汚れが気になりますね
湿らせた上で歯ブラシで汚れを掃除し、必要なら石灰硫黄合剤の薄めの液で化粧するのが普通です

内懐の幹や枝、そして水吸の部分の表皮の掃除もせねばなりませんね
真柏の魅力は赤褐色の水吸と葉の緑と白いジンの色彩の対比にあるのですから

鉢もなんだか汚れたまんまの感じ
さらに鉢の表土ももっと丁寧な化粧が必要ですね

以上は展示会に出品する際の最低限のマナーなのです

また、枝葉の整理も出来ていないので、全体の姿に緊張感と統一感がなく
幹筋や足元など見所のポイントがはっきりしていませんね

登場する役者のように、自分のいいところや個性は目いっぱい強調すべきなのに
普段着のまま晴れの舞台に上っちゃったという感じですね

ここでTさんの名誉のために申し上げますが
彼は展示会のマナーは充分に心得ている方で、今回のことはまったくのアクシデント
込み入った事情でこんなことになってしまったのです

展示会出品に際しての心がけは「観て頂く」という姿勢が最も大切であって
「観せてやる」「出してやる」 「仕方ない」という考え方ではいい展示はできません

以上展示会出品のマナーについてでした

さて、この真柏の将来です
今年一年掛けて映りのいい時代感のある素晴らしい鉢を探し
同時に、もう一度骨格を見つつめなおし、最終的な正面を決め、必要なら整姿をします

丹念な培養を1~2年繰り返して国風展に挑戦
もちろん入選の自信は満々ですよ

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