2017年8月26日土曜日

山もみじ超ミニ

およそ3年くらいは我が園の棚にいると思われる山もみじ
棚の掃除をしていたら、しばらくぶりで目に付いたのでとりあげて見た

たしか取木をした素材を友人から分けてもらったもので
足元はかなり太って木肌も古ぶるしく、すでに縦縞が出かかってきています

今は長方鉢に入っていますが、雑木なのでやはり色物の楕円鉢が似合うでしょうから
来春には鉢を替えてやるつもりです


見たところ、将来の幹筋と枝配りなどの基本を決める時期が来ていますね
さあ、どのような計画になるでしょう!?


向かって左側の太い枝を芯として採用することも考えられますが
真ん中の赤点付近に不定芽が吹くでしょうから、その芽を頂上の芽として木作りします

そうすると、左右の太めの立枝は不要になりますから
芽当たりの関節を残して追い込みます(左枝は元から切る)


(左枝は)切った枝元の細い枝を使います
(右枝は)来春以後に出る不定芽を当てにしています


新しい芯として採用する不定芽付近に、太めの不要枝があります
もちろんこれは切るんですが、来春のことにしますよ


葉を隠してボディーだけ見てみましょう、けっこう貫禄があってなかなかですね
切り込みによる古傷もすっかり癒えて、今ではかえって幹味となってイイ感じです



次の3点がポイントです

・左右にバランスよく利き枝があります
・後ろ枝もあるので姿に奥行きがあります
・芯となる芽は、間違いなく予定地ふきんに吹くと推測されます

そして楕円のやや浅目の鉢に入れてやれば
根張りが強調されてかなりの出世が見込まれます

よろしいですか、みなさん!

たまには、盆栽棚の隅で置き去りにされている盆栽くんと、目を合わせてあげましょう
気が付いてみるとしばらくみないうちに、案外にがんばって成長しているかもしれませんよ

それでは

2017年8月21日月曜日

雄山鉢真贋

最近手に入れた藤掛雄山鉢が
贋作であったというお話しをいたします

つい一ヵ月ほど前、しばらくぶりに立ち寄った親しい同業者から
分けてもらったものです

お店の床の間に置いてあったこの雄山鉢にお目にかかった当初は
かなり絵がまずいなあ、雄山としたら下位の作柄だなあ、と思ったくらいで大して関心は湧かなかったのですが

その後で何気なく聞いた値段がバカに安かったので
急に興味が湧いたのでした

商売人というのは卑しい生き物で(笑)、当たり前のものが当たり前の値段で売っていても
正直、ちっとも面白くは感じませんが、それが破格の値段となるとたちまち興味津々です

「安けりゃ絶対値切れ!」とばかりに
一生懸命に値切りにかかり

そして最後には
市価の三分の一まで値切り倒してしまいました

ところが、後になって振り返ってみると
この場合、普通取引の際に感じられる高揚感がまるでなしなんですね

そうなんです

盆栽屋が一番の幸せ感を感じるのは
自分の好みの商品を格安で仕入れられた時なんですが

金額にばかり目が向いている私は
一番に拘るべき品質には全く目を留めてはいなかったのですね

だから普段は感じられる喜びが
感じられるわけがありません

家に帰って冷静になった私の目には
この雄山鉢は、できの悪い偽物にしか見えなくなっていました

もちろん、これを売った同業者が悪いのではありません
彼ははっきりと、贋物だよねと言いながら安値を提示し、値切りにも応じた訳です

それを私が勝手に希望的な印象のもとで
自らの気に入った価格まで値切って商談したのは明らかです

だから皆様にここで私が言いたいのは、ものに安い高いはつきものだけど
もっとも大切なのは品質ですから、とにかく感動を伴ったいい買い物を心がけましょう、ということです


藤掛雄山・五彩外縁撫角長方  間口11×奥行き9.6×高さ3.8㎝

一見よくある雄山の五彩長方
ボディーの感じなどはまるで本物だ



正面の拡大図

アップで絵柄を見ると

1 真作に比べて描写力や筆致力などの不足が感じられる
2 青、赤、黄色など釉薬の鮮明さが物足りない
3 特に動物(馬)の描写に躍動感が感じられない


馬の描写が物足りないですね
雄山はこんな狐みたいな馬の顔描くかな?


反対正面

人物の配列にリズム感が感じられない


ボディーや土目からは贋作の匂いは希薄です


鉢裏と足の様子
落款からの決定的な判定も難しいと思われます

ですから、この鉢の場合は、雄山の通常作品における総合的な絵画力に重点を置いて鑑定した結果
真作とするには力量不足であると言わざるを得ないのです

2017年7月8日土曜日

スクール速報・舞姫もみじの取木

3週間前に取木をかけたクロちゃんの舞姫超ミニ
ためになる話題なので皆様にご紹介いたしましょう

クロちゃんが超ミニをゲットする目的で素材の2箇所に取木をかけたのが6月11日
この写真を撮ったのが3週間後の7月2日です

今までの経験から、発根が始まるのが3週間くらいとおおよその目途を立てておいたのでしょうね
クロちゃんが発根もよく確かめずに案外無造作に水苔を取り去ってしまうと

ご覧のように当然発根はまだまだ状態ですから
水苔部分はもろくも簡単に崩れ去って施術箇所が剝き出しになってしまいました


そして、まだカルスが未分化状態のこの時期に
親木から切り離して挿木をするような感じで植え込んでしまいました


ありりり、発根まだじゃん、ちょっと気が早すぎじゃん
とみなさんは思うでしょうが、あまり心配することはありません


環状に剥皮した箇所のカルスが形成されています
そこから数本の根が分化しています

すでに分化した立派な根ですから
親木から切り離しても十分に生きいけるでしょう


発根部分の拡大図


矢印の先が分化した根です
根数を増やして生き残ろうと必死に頑張っています

他の場所からも再生のための新しい根が
続々と出てくるはずです


仮にもしこのあと2週間ほど放置したとすると、このように発根過多となり
立ち上がりの整理に手間がかかると同時に、きれいな仕上がりが難しくなると思います

ゆえにクロちゃんは、根の数よりも後々の段取りと仕上がり具合を考慮して
あまり根が出過ぎないうちに親木からの切り離しを敢行したのです

舞姫のように根の出やすい樹種では、発根の時期を逆算して推測し
あまり発根数が多過ぎないうちに親木からの切り離しを図ることも大切な技術の一つです

それによるメリットは先ほど申し上げたように
仕上がりのきれいさ、作業の段取りなど、計り知れないものがあります

では!

2017年6月29日木曜日

舞姫もみじ超ミニ(本格模様木)

舞姫もみじに出会ってすでに5年ほどになります

そしてこの数年、挿し木と取木に励んだせいで量的にはかなり殖えましたが
しかし、仕立て中の素材の質となると、前途にやっと微かな明かりが見えてきたという段階です

挿木苗も取木でゲットした素材苗も、ある種の癖というか個性がほしいのですが
面白さが感じられるものは案外にすくないのが実情です

ですから、わずかにでも何かが感じられる素材には積極的に手を出して
その癖なりをいい意味での個性として伸ばしてやることが盆栽作りの道といえるでしょう

というわけで、昨日も目についた一本の舞姫もみじを
超ミニの本格模様木にすべく手を加えたところです


切り戻しによる新しい模様木の樹高は約6.0㎝.
足元の幹径が約1.8㎝くらいの舞姫もみじの超ミニ模様木の素材です


拡大図

足元に一曲ありますね
挿木苗などではこの程度の一曲ですら希少ですよ

足元に一癖ある素材はありがたい
その理由は↓をごらんください


上に不定芽があって新しい芯になりそうです
思い切りよく赤線で切り返す


これで二曲目の模様ができました
ちょうどいいところに一の枝がありますね


表と裏を取り換えてみました
こちらが正解にようです


向かって右に一の枝で緑色は裏枝となります
赤点の箇所に二の枝があれば理想的ですね、後日呼接ぎなどで補充するつもりです


予定の樹高は約6.0㎝以内です
超ミニでも本格的な模様木です

ポイント

超ミニの利き枝は一とニ
曲は二曲あればいい

2017年6月1日木曜日

実物盆栽

葉の緑色が日ごとに濃くなるに従って
その葉陰に、あれっと思うほどに大きくなっている実成と出会う季節になりました

盆栽屋は木姿の能書きは好きなのですが
実成盆栽は総じて苦手な人が多いようです(私もその一人)

というのは、ちょうど実がとまるころ、つまり5月末から6月中旬ごろに
新梢の伸びも一層盛んになってくるため、乱れた枝先に我慢しかねてハサミを入れてしまうんですね

するとせっかくの花芽が葉芽に化けちゃって
花が咲かなくなってしまうんです

ですから、ほとんどの実物樹種が、夏の7~8頃にかけて花芽が分化するので
剪定はそれ以後の10月から12月頃にかけての落葉期が適期なのです


姫りんごの超ミニ
やっと実をつけることができました


姫りんごは深山かいどうなどのりんごの仲間と交配するとよく成ります
同じ姫りんご同士でいくら交配しても実は成りませんよ


珍しいゆすら梅のミニ盆栽
ルビーのような真っ赤な実成がきれいです


宝石のように輝いています


サクランボにも似てますね


姫柿のミニ盆栽


雌雄異株ですから雌木でないと成りませんね
また雄木を近くに置くと実どまりがいいようです

実物盆栽で他に注意すること

1 実が安定するまでは強い肥料をやらないことl
2 水切れはぜったい禁物ですよ

2017年5月25日木曜日

山もみじ寄せ植え

この山もみじの細い寄せ植えがウチへ来て何年になったかな?
うーん、はっきりとは覚えていないけれど、少なくとも4~5年は経ったと思います

種子を鉢にじかに播いて2年目ほどの、まだ幼い寄せ植えだったのを
ある盆栽屋仲間から譲ってもらったかすかな記憶があります

その後何年もほとんど手を入れることもせず、たまに少々の肥料をやるくらいで
まったく冷たいご主人様でしたが、昨年あたりからさすがに気が咎めてきました

そこで、今年の春に多すぎる幹立ちを切って本数を減らし
風景に奥行きと流れを演出してみました

複数の、しかもこのように何十本のグループの場合
いっぺんに面倒見る気になると訳がわからなくなりますから

まずは全体を、大まかな2つないしは3つのグループに分けて
各グループ同士のつながりと関係性をはっきりさせます

この場合もちろん、バラバラにして植えなおすのではなく
頭で構図を描いて認識しておくという意味です


作業前は全体が漠然と一叢の植栽という感じで
まとまりはあっても風景に流れや動きが感じられませんでした


そこでまず正面から見て、やや真ん中から半分ずつに分ける意識をはっきり持って
中央の奥にある数本を間引きました

左右に分けたらおかげで
中央部分に奥行きが出てきたようです


赤点の幹はそれぞれ奥行き(遠近)や流れを演出するために
大切な役目を担う幹です

寄せ植えの場合、近景から遠景になるに従って、次第に細い幹のものを使います
さらに両端にも細い幹を使って左右への動きを表現します



足元の拡大図

あと数年は構図を見ながら毎年少しずつ減らしていき
風景が安定した時点で本数をきっちりと決めます

それとこの寄せ植えは、全体に細幹であることが最大の持ち味ですから
いたずらに太らさないように、少なめの水と肥料でじっくりと育てるべきです

このように実生から作り始めた盆栽でも
年数を経るに従い次第に愛着が湧いて樹格も向上していきます

盆栽はとにかく根気と愛情が大切ですね
がんばりましょう!!

2017年4月30日日曜日

画像からサイズをイメージする

みなさんは通販で小品盆栽や小品鉢を注文されて
梱包をほほどき商品に対面したとたん

あれ、こんなに小さかったの(大きかったの)!?

こんな感想や叫びを口にした覚えはありませんか?

サイズは表示されていても
自ら描いたイメージにぴったりといかないことが、ほとんどでしょうね

世の中の傾向はますますネット通販化が進み
これなしではやっていけないほどです

さらに、消費する日常品だけでなく、盆栽のような趣味の鑑賞物までが
当たりまえ化していますから

われわれはできるだけ、正確な情報の伝達術に(発信も受け取りも含めて)
熟練する必要があると思う今日この頃です

そこで、実物ではなく画像を見て盆栽のサイズのイメージを推測するときの
ポイントを考えてみましょう


最近手に入れた真柏

樹高は6.0㎝で左右の幅は9.0㎝です
みなさんが想像しているイメージよりも実物はかなり小さいと思います


正面の拡大図

よろしいですか
樹高は6.0㎝で左右の幅が9.0㎝ですよ


後姿です

この6.0×9.0㎝の真柏を基にしてが画像を見て↓の杜松(11.5×17㎝)を
イメージしてみましょう


この杜松の樹高は11.5㎝で左右は17㎝です
樹高も左右も先ほどの真柏のやや倍のサイズです


正面の拡大図


後ろ姿

さて、みなさんが頭に描いた杜松のサイズのイメージを
真柏と比べてみましょう


真柏のサイズは樹高6.0×左右9.0㎝
杜松のサイズは樹高11.5×左右17㎝

ですから、だいたい真柏は杜松の半分の大きさになりますね


両方を並べて正面から比べてみます
ずいぶんと大きさが違う感じがします・・・!?

そうそう、画像の面積でいうと杜松は真柏の2倍ではなく
4倍になるんでしたね

つまり、サイズが2倍でも平面の面積なら4倍
さらに立体をイメージ(↓)すれば8倍になっちゃうんですね


ですから、小さい方を基にして大きいものをイメージする場合は
やや大きめなものをイメージし

反対に大きいものを基にした場合は
やや小さめにイメージする

このような感覚を訓練する必要があるようです
みなさん、いかがですか!?

特に席飾りの段階に入った方や
サイズの好みに厳格な愛好家さんなどは気をつけましょう

では、また

2017年4月21日金曜日

椿(胡蝶侘助)

椿の盆栽はあまり一般的な樹種とは言えませんが、地味ながら根強い人気があります
一般的でないのは、逸品と呼べるような本格樹形のものが少ないせいかもしれませんね

ただ、真冬から春にかけて濃い緑色の葉陰でひっそりと咲く風情はたまりません
そのあたりが日本人の好みにあうようです

盆栽人がおもに好むのは単色系の藪椿や小輪系の侘助などで
枝打ちが細かくて樹形が整いやすい品種です

今日はその椿を採りあげてみました
つれづれ草ではおそらく初めてだと思います


椿(胡蝶侘助) 樹高40×左右50㎝  幹の直径約6.0㎝

隣市の愛好家Sさんが山取りした藪椿のボディーに
接ぎ木を繰り返して胡蝶侘助に衣替えしたもの

この椿の見所は、如何にも山取りらしく捻転した根上り状の根っ子から
強く曲がった幹筋の様子です


立ち上がりから根上がり状の幹筋は、1の矢印手前までは山取り部分で
それより上部の1以降の幹や枝は、すべて衣替えで作ったものです

1と2の幹筋付近にもっと強い模様が欲しいのですが
椿では針金で曲がりませんから、芯の付近に強い曲をつけてバランスをとりました

また1あたりに不定芽が出そうなので、切り込みを強行して
幹の芯を建替えるという手もありましたが、ちょっと時間がかかり過ぎるようですから

今回はこの手でいきましょう


後姿


Bの部分は呼接ぎの接合部分
目立たなくなるにはさらにあと数年かかるでしょう

Cの赤矢印は、山取りの際の古い切り傷です
この傷も完全肉巻きは難しい感じですが

ただ、辛抱して培養を続ければ
自然に朽ちた山取り独特の味わいが出てきます

椿盆栽の培養ポイント

1 4月から5月にかけてが植替えや切り込みの適期

2 この椿のように、今頃に葉刈りを敢行して枝を追い込むといい

3 肥料も忘れずに(多肥・多水)

2017年4月19日水曜日

作る・チリメン桂

育ち(太り)の遅い樹種の代表であるチリメン桂は、種々ある盆栽樹種の中でも
特に希少品とされ樹格の高い高級品とされています

培養技術の発達した昨今では価格もリーズナブルになりましたが
私達の若いころは現在とは比べ物にならないほど高価でしたね

とはいえ現在でも、木筋の通った優れた商品の数は少ないことは相変わらずなので
これと思ったものに出会えたとしても、そう簡単にはいかないでしょう(笑)

そこで皆様にお勧めするのが、優れた骨格の種木を探して
サイズダウンの切り込みを敢行し、本格的なミニの模様木を自ら作ることです

切り込みは4月の半ばから入梅前までが適期です
夏以後や秋から冬季は適していませんから、時期を必ず守りましょう


樹高20㎝で足元の幹径は2.0㎝くらい
樹令は不明ですがおそらく20年ほどは経っているでしょう

今月の初めごろに市内の小さな交換会で3,000円(安い!!)で落札しました
あまり太くはありませんが、足元から中ほどにかけての幹模様が器用で、枝順もほぼ順当です



1  一の枝候補

2  二の枝候補

3  三の枝を兼ねた裏枝候補

4  使える枝です

5  使える枝です

赤点で示した三つ枝は↓で解説します


後姿も幹模様が強くて魅力的です


骨格をよく見定めておいて先端の枝葉を思い切って切り落とします
その際、重要な骨格部分の剪定は慎重に行います

ここへ来て、今まで保留にしておいた芯の部分の剪定計画ができ上がってきました
樹高12㎝の位置に新しい芯を立てることに決定です


切り込み作業完成です

今年の切り込みを第一次として
来年再来年まで、第三次までの作業を行う予定です


後姿

この後の管理のポイント

1  切り込みご1~1.5ヶ月ほどして芽が吹き揃ったら
   多めの肥料と水やりで肥培する

2  原則今年一年間は芽の先端を摘まず
   来春以降に針金で枝棚を作っていきます

3  来春に現在の6号鉢から4号鉢に移します
   根さばき方法は改めてその時に勉強します

みなさんも売店などで掘り出し物の素材を探して
改作にチャレンジしてください