この数年大助鉢が中国の愛好家を中心に大炎上し、おかげで市場からまったくと云っていいほどに姿を消してしまいました。昔のツテや縁故をたよりの細々とした商品の調達ではとても市場の要求を満たすことは無理なようです。
まあ、盆栽鉢を商う業界人としては非常にはがゆい限りですが、加熱したブームが少しずつ静かになるのを待って、長い目で愛好家さんたちの収集意欲が持続するようにお手伝いしていきたいと思います。
佐野大助・赤絵玉縁撫角長方
間口7.5×奥行き6.4×高さ3.0cm
15年以上前に買っていただいたお客様から、下取りという形で譲り受けた大助鉢。「因幡の白うさぎ」の神話から題材を得た波とうさぎの赤絵。成型は心山です。
鉢底が焦げ茶色で足裏の明るい色彩と異なるのは、おそらく紅柄(ベンガラ)を塗って焼いたからでしょう。つまりこの部分だけはベンガラ焼ということになりますね。
渋い!!
大正8年生まれの大助は、健在であれば100歳を超えた年齢になっています。私とは親子ほどに歳が離れてはいましたが、壮年の頃の凄みのきいた表情は今でも忘れません。
「おい、そこのお兄ちゃん、どっから来たんだい?」って聞かれた時には、ちょっとばかりビビリましたっけ。
例えば大助が今生きていたとすれば、現在の大助鉢全盛の小鉢界の様子を見てなんと云うでしょうね?
まあ自信家でプライドの高い彼のことですから「当然、当然、遅すぎるくらいだぜ」くらいの憎まれ口は飛んでくるでしょうね。
旧い徒然草に、私の若かりし頃の逸話を載せています。キーワードは「佐野大助研究」で検索できると思います。どうぞ!
裏正面は寿。
闊達な大助の赤絵と安定感抜群の心山のボディー。
胴と外縁とのバランスが抜群です。心山のボディー成型の力量も秀逸です。
控え目でありながら存在感と重厚感を示す外縁のほどの良さには、目を見張るものがあります。実用鉢としての機能と印象も十分に具えています。
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