2020年9月23日水曜日

鉢の時代感

盆栽に出会った20代のあるとき、自らの盆栽の師匠に真正面から尋ねたたことがあります。「盆栽で一番大切なことは、何ですか?」
すると師匠が即座に「古さだよ」と答えたのをはっきりと覚えています。とはいえ、言葉は覚えていてもその意味を悟るまでには、以来かなりの年月が必要であったことは皆さんもお分かりになるでしょう。


左右12cmほどの和鉢の焼締め楕円鉢。昭和の時代の作柄ですから既に50年は経っているでしょう。まとめて買い取った小鉢類の中に入っていたものです。


鉢の内側は何十年も培養土が入っていたので、まるで出来たてのホヤホヤです。比べて外側は年月の想像がつかないくらいの時代感で、盆栽界で云うところの”時代で真っ黒”


切り足の底の部分も元々の土の色のままですね。やはり日の当たらない部分は古色感が出ないのですね。


何の変哲もない普及品ですが、これくらい見事に古色感がつくと、盆栽の真髄である「古さ」に思わずうっとりとさせられますね。
どのような鉢でも傷をつけずにていねいに使い込めば、10年20年先には深い味わいが出てくるものですよ。
 

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