2020年9月19日土曜日

貴船滝石の鑑賞

水石のジャンルの中でも案外に少ないのが滝石の名品です。そこに表されている瀑布がまあまあとしても、全体の景情が物足りなかったりして、両者がバランスよく揃っている名品は少ないものです。
今日眺めて見ようとおもっているのは貴船の滝石で、間口が20cmほどの時代のいい中品です。滝石を飾るのにふさわしい季節は、水を連想させる夏だけでなく、新緑や紅葉の季節などほとんど一年を通して適しているといっていいと思います。


正面から眺めて見る。左半分はどっしりと安定した山容であるが、右半分は頂より7合目付近に深い滝口があり、その奥から流れ出る水の勢いには非常な迫力が感じられます。このあたりがこの滝石の第一の見どころでしょう。


山頂に近い滝口から流れ出る激流が滝壺に向かって激しく流れ落ちる様子がみごと。
まさにめったにない滝石の名品です。


正面を僅かに左に振ってみると、瀑布を抱えた山容もわずかにその姿に変化を見せるようです。


この滝石の特徴は、風景に厚みと云うか奥行きがあって遠近感が感じられることでしょう。


真上から見た滝石の様子。滝口が山頂の真下から発して約一周しながら瀑布となり激しく滝壺へと落下している水の流れがよくわかりますね。
貴船石の紫がかった優雅な質感と時代感を具えた品格に溢れた静と動の趣をお楽しみください。

滝石鑑賞のポイント
1 全体の景情と瀑布のバランス
2 滝の上流、特に滝口あたりから中流、さらには下流(滝壺)への変化や迫力
3 水石すべてに共通の古色と雅味



 

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