2020年7月20日月曜日

二代平安東福寺

東福寺と云えば盆栽鉢のなかでもっとも知られた鉢作家です。少なくともみずからの趣味は盆栽ですと云うような方で、東福寺の名を知らない人はまさかいらっしゃらないでしょう。ところでこの名工の作品でややこしくて始末の悪いことがひとつだけあるんですね。
それは、初代と二代目の作品の区別と真贋の問題です。
もちろん簡単に解決する問題ではありませんが、おりに触れて話題にして、少しでも皆様の楽しみのお助けができればと思っています。


この作品は二代平安東福寺・梨皮泥外縁額入切足長方で、間口14×奥行き10.7×高さ4.8cmです。二代作品である証拠は作風はもちろんのことですが、楓の落款の下に二代と記されていますから、間違いありません。
ということは、この梨皮泥は本物の二代目作品であるということですね。


さらに胎土は白泥や桃花泥に近い二代目特有の梨皮泥ですから、ベテランが見れば迷うことなく二代目作品であると鑑定するでしょう。


ボディーは安定していて構造的にもしっかりしています。


切足のできは初代に似てバランスよく出来ています。

楓落款をやや深めに捺していますが、初代は落款の捺し方が非常に上手くて、浅からず深からずどの鉢を見ても程よく決まっています。このあたりも二代目の物足りない点でしょう。


この画像のポイントは、ややめり込みぎみの落款と、水穴の周辺の時代感です。
驚いたことに水穴周辺の時代感は長年の使い込みによる本時代(ほんじだい)でした。推測するに、この鉢は二代目と親しかった盆栽愛好家さんが丁寧に長年使い込んだものだったのでしょう。まことにていねいな使い込みは、余程に身近な関係の人だと思えてなりません。




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