日本人にとって桜や梅に次いで親しい樹種である椿ではありますが、さて盆栽の名木となると、そう簡単にはお目にかかれないものです。現に私なども、この数十年を振り返って満足のいくような優品を記憶の彼方に探してみても、そのような椿の盆栽は僅かに2~3本しかありません。
そんな中で、10年ほどまえに山取りから仕立てた半懸崖樹形の藪椿がいたく気に入って大切に何年も愛倍していたことを思い出します。幹の太みはさほどではありませんでしたが、灰褐色の古い幹肌と野生的な自然模様に、とっても魅力がありました。
その薮椿も親しい業者仲間のIさんに請われて手放すことになり、そのうちに買い戻そうと思っているうちに、次の持ち主が現れて、とうとう買戻しのチャンスは永久に失われてしまいました。
何時かまたあのような野趣味あふれた趣の椿に出会いたいものです。
ちなみに薮椿の場合、自生する地方によって葉っぱや花の個性がことなります。そんなことも椿盆栽の面白さの秘密の一つでしょう。
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