大正の末期から昭和の初期にかけて東京で活躍した市川苔洲。その作品には小豆釉(あずきゆう)とも呼ばれる独特の辰砂釉をはじめ、蕎麦釉、瑠璃釉などに独特の玄人好みの渋さで知られています。
形は鬼面足の鉄托(てっぱつ)型などが有名ですが、小品鉢から中品鉢まで作品のレパートリーは豊富です。
その作風は、小野義真の影響を強く受けているといわれています。
釉薬においてもボディーの成型のおいても、確かに義真の影響が感じられますね。
ただし、小野義真には苔洲のような長方鉢は見たことがありませんが・・・
辰砂釉が窯の中で表と裏では発色が変わって、緑色に変化しています(↓)
(↓)こちら側も緑色に変化しています。
(↑)(↓)とも辰砂釉が赤と緑に変化している様子がわかりますね。
じつに渋くて個性的です。
なお、苔洲鉢には無落款の作品が多いことで知られています。個性の強い作風なので見まちがえる心配は余りありませんが、初心者の方は勉強を怠らないよう、がんばってください。
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