もっとも好きな樹種の一つである山もみじの、ちょっとばかり自慢のできるやつに出会えました。このクラスを逃すと後から夢に出てきてなかなか往生が悪くなるので、こんな場合は話がこじれないうちに商談は即断即決するのが定石であり、精神衛生上にも健康的であります。
さて、ご覧のように模様はきつ過ぎず緩るすぎず、足元や幹もかなり太くて力があるけれど、太すぎてグロテスクだとけちをつけられるほどでもない。まずはバランスの取れた正統派模様木で、品格も備わっています。
ところで、今までの所有者がこの山もみじを仕立てている道程で、まだ素材の段階だとご自分にいい聞かせていたと強く推測できることがあります。それらは、例えば間口も奥行きも深さも、かなりサイズのゆったりした鉢を使用しているところでしょう。5年から10年先の将来に期待しているはずです。
根張りから立ち上がって最初の模様の位置に一の枝、次の強い模様の位置に二の枝、次の模様に三の枝と、この三段階の幹の動きとコケ順が理想的です。まさにこの山もみじの最大の美点はこのあたりに集約されていると言えるでしょう。
やや上方からの鳥瞰的な角度から眺めてみましょう。この画像から見ると、根張りのよさが目立ちますが、それも単なる整ったきれいさでだけではなく、躍動感にあふれた力強い生命力の裏づけ十分です
ちなみに、整い過ぎてきれいなだけの根張りというのも見飽きるものであって、やはり根に動きがあって、しっかりと大地を掴んだ実感が伝わってくるようなデリケートな動きが欲しいですね。そんな高度な要求さえも満たしてくれる素晴らしく有望な素材です。
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