2005年11月14日月曜日

再び甲羅吹き

前項で甲羅吹きの話題を取り上げたとたん
数日前にこの山もみじの甲羅吹きに巡り会いました

甲羅の直径は約11.5cmあり、古いものなのに傷や腐れがなく
おまけにいいところに芽吹きがあります

気に入って(木も値段も)たちまちゲット!

みなさんに今後の改造計画をお知らせいたします


正面から
うまく山形になっていて、頂上の芽が4分6のいいところにあります
左端の細い芽も流れを表現するのに貴重ですね


真上からの図


来春には各芽をこのように短く切り込み
再び吹いた芽でおおよそこのように仕上げるつもりです

もちろん小さめで浅目の鉢に植え替えますよ
完成予想樹高は10cm以内と考えています

2005年11月11日金曜日

楓甲羅吹き

盆栽屋にとって、仕入れた盆栽がすぐに売れるとことはもちろん嬉しいことですが
もっと嬉しいことは、手塩にかけた盆栽がみんさんの目にとまって求められたときです

やっぱり同じ嗜好の愛好家さんがいらっしゃったんだ!
この盆栽のよさをわかっていただけたんだ!

価値観を同じくする方に巡り会えたという感じでしょうネ
盆栽屋が冥利に尽きるのは、そんなときです

盆栽を商品として鑑定する冷静な目と、自分の好み
盆栽屋はそれらを共有する趣味性の強い職業です

自分の好みが強すぎて、愛好家のみなさんに理解していただけない場合だって多々あるし
趣味性が強くなりすぎて、売りたくない、なんて言い出す業者さえいる世界です

もっとも、「売りたくない」なんて、商売の駆け引きに使うふとどきなな盆栽屋もいますが
これはもっての外のことです

ともかく、盆栽の胸中はなかなかに葛藤の多いものなのです

さて



板状の甲羅から細幹が何本も立ち上がった、独特の風景です

どのような生い立ちでこのような樹形ができたのでしょう?
不思議な感じがするほどです

主幹の足元だって直径やっと3mm
なのにこの幹肌の古さ、甲羅から立ち上がって何年くらい経っているんでしょう?

少なくとも私の棚に3年くらいは居たでしょう

どこで求めたのものか思い出せないのですが
この甲羅吹きの楓を手にしたときの、ひ弱くて、繊細で、それでいて一種の神秘的な力を秘めている
それらに強く魅かれた瞬間の記憶は、しっかりと胸に残っています

ところで、この甲羅吹きの楓も求められ嫁入りすることになりました
ともかく、末長くこの細幹の繊細さと神秘的な魅力をいつまでも失うことのないよう、祈っています

2005年11月9日水曜日

信濃寒桜

数日前に盆栽棚をぼんやり眺めていると、あれ?、小さな白い花が咲いているのに気がつきました
今ごろ何の花だろう?

葉の形や幹肌からして、どうも桜のようですが
しかし品種がわからな

富士桜ではないし、一般にいう十月桜でもないし、えーと、何ていう名の桜だったっけ
思い出せないのです


半懸崖式の樹形です
2年くらい前に求めた記憶があります

全体の枝先にびっしりと花芽がついていますが
真っ先に、後ろ向きの2本の徒長枝の花芽が開いています


咲き出しは純白です
清楚な一重咲きですが花びらの形に優雅さがあります


花弁が開いて日に当たると、数日できれいな淡紅に変化してきました
これがこの桜の特徴のようです

とするうちに、やっとのことで思い出したこの桜の品種名は「信濃寒桜」
晩秋から来春までぽつりぽつりと咲き続ける四季咲き性です

名前を思い出したら、こんどはこの「信濃寒桜」のもっと古い小品盆栽を手に入れたくなりました
どっかで見つけてきます

2005年11月8日火曜日

山もみじ株立ちの正面

盆栽はまず「正面」が大切
しかし、一度決めた正面は見慣れているので、新しい正面には変えにくいですね


この山もみじも、入手したときから双幹と決め込んでいて、この角度から見ていました
それでいて、牛の角のようでうまくない、とは思っていても手をつけないでいたのです

子幹を切ろうと何度も思いましたが、大きな傷になるし
それに第一、子幹の愛嬌がいいのでもったいなくて我慢してきたんです

葉を刈り落としてみると、1年間の培養でけっこう小枝が増え
特に、親と子の左右の枝の張り出しにいい表情が出ています


さて、ぐるぐると廻しながら見ると、どうもこの角度あたりに個性が感じられます
うーん、いけるかな?


ポイントは親幹と子幹の流れの調和です
親幹の流れを内側(右)方向へ向くように剪定し、子幹も同じような流れに切り込みます

親の左に張り出した枝と子幹の右に張り出した枝、この調和も大切です
どうです、まとまったかな


現在の姿では、ちょっと苦しいけれど、なんとかまとまりました
左右に広がりのある樹形が特徴です

後ろに数本の細い幹が立っています、将来これらを太らせて株立ちに仕上げましょう
また、親の左の枝の力が弱いので、来年以降の課題にします

盆栽は、正面を決めてその角度からの整枝を繰り返せば
1~2年で自然な感じに仕上がってくるものです

みなさんの身の回りにも、このように正面がカッチリと決まらない素材はあるものです
さあ、新正面を探して「樹格アップ」といきましょう!

2005年11月7日月曜日

湖東焼

琵琶湖のほとり旧彦根藩の藩窯(お庭焼)の「湖東焼」
京焼や九谷焼の影響を受けた雅た作品で知られます

陶芸界では知られた湖東焼ですが、いざ盆栽鉢の湖東焼作品となると
極端に数が少ないのはさびしい限りです

私自身は、15年ほど前に湖東焼の名品で「染付丸鉢」を入手したことがありました

その染付鉢は、「湖東」のほかに「永楽保全の落款」として有名な「河濱支流・かひんしりゅう」の二つ落款の入った作品で
それはそれは稀少なものでしたが、いまはさる有名な収集家の愛蔵するところとなっています


この黄釉の六角鉢も数少ない「湖東焼」として盆栽界に知られる作品
最近入手したものなので、私の手元を離れないうちに、みなさんにご紹介しておきましょう


6面に浮彫りされた蟹と柿の文様と蕨(わらび)形の6本の足に特徴がありますね
釉薬はぽってりと濃厚です


内側に炎が飛んだ痕跡が見られ、温度の高い登り窯で焼成りされた作品であることがわかります

ともかく非常な珍品で、盆栽界でもめったにお目にかからないものなので
「湖東焼」、覚えておいてくださいね

2005年11月2日水曜日

山もみじ大好き

私の大好きな樹種、山もみじのミニサイズを一挙に入手
合計22鉢、ちょっと嬉しい仕入れです

盆栽は流通経路が単純でないため、普通はこれだけの仕入れにだって
一日や二日では済まない手間隙がかかりますし

第一、手ずるなしに歩いたって、これだけ持ち込んだ筋のいい山もみじが
そうそう転がっているわけではありません


すべて樹高は7~8cm以下、落ちこぼれなく揃っていて
これがまたまた嬉しいことです

片方の篭の10鉢は、早くも葉を全て刈り取ってありますね
樹勢のいいものは秋早めに葉を刈り取ることにより、春の伸張を制御する効果があるといわれています


見てください
丸幹の傷なし、木肌だって山もみじ特有の縦縞が入って古さも抜群


さらに欲張って根張りをさぐってみます
さぐるにしたがって、まだまだ立ち上がりは太く逞しくなってきます

ここで注目
植え土がよほど吟味されているのでしょう、粒子がしっかりしていますね
これは見習うべき大切なポイントですよ


この角度が正解でしょう
すっくりと立ち上がった本格派の模様木になりました

来春の植え替えどきが楽しみです
枝順を決め、頭の方の枝の整理をすれば
いよいよ本格的な雑木盆栽としてのスタートラインの立つことになります

2005年10月24日月曜日

佐野大助名作

先日、盆栽つれづれ草のファンの方から「最近のつれづれ草は掲載商品の宣伝でしょうか?」
とのメールを頂きました

これはまったく忌憚ない率直なご指摘で
私も汗顔のいたりという心境で、謹んでお受けした次第です

それがきっかけとなり、懸案だった「赤松大改作スペシャル」の重い腰が持ち上がった訳で
ともかく、HP開設当初の新鮮な気持ちを取り戻しさせていただいたこと、改めて感謝いたします

ところで、きょうの話題はまたまた掲載された商品からですが
既に売約済のものなので、ご理解とお許しをいただきます


大助については、ある時には一杯の酒飲みたさに絵筆を執ったこともあった、と巷間に伝聞されているほどで
それは、作風の多彩さの魅力と同時に名品と並品の差が激しいという、後世に残された事実もあります

さて、絵鉢作家の評価は呉須(青い釉薬)絵により定まるともいわれていますが
歴代の名人たち、月之輪涌泉、市之倉石州、宮崎一石等々の作品を見ればそれも頷けることです

単色の絵の具だけで遠近感や絵の興趣を表現するため
誤魔化しがきかず、実力がたちまち表に出てしまうのです

ところで、特に五彩画で知られる大助作品ですが、ご紹介するような呉須絵の名品も存在し
そして、不思議とこの磁器のボディーのものに多く見かけるのです


やはり大助といえども、彼の目標にした作家は天才・月之輪涌泉であり多大な影響も受けていますが
この作品は、涌泉に迫るほどの画境に達しているといっても過言ではないでしょう

繊細な筆致によるしっとりと情緒豊かな画面
みごとな遠近感の表現など、まさに大助最高の名品といえましょう


没後急速にその名が再評価され、盆栽界の隅々まで名を知られるようになった大助作品
こんごはさらに評価が進み、真にその名に恥じない名品が選別される時期に差しかかっているといえましょう

2005年10月23日日曜日

作風展審査風景Ⅱ


入選作品全体の中より各部門から3点ずつが選ばれ特別賞が決められます

上の画像は審査員11名による審査を開票しているところ
ある部門のトップが決まったのでしょう、選考委員も拍手していますね


全入選作品の中でもっとも優秀と認められ「内閣総理大臣賞」に決まった五葉松
樹齢と培養の古さ、力強さ、優美な姿、葉の美しさ、培養の確かさ、鉢の選定など、全てにおいて優れていました

さて、小品のほかでもっとも私が注目したのは、中品の部でした
この部門の3点の力が拮抗していると見たからです


米栂(こめつが)
山採りの素材を変化のある樹形にうまくまとめ上げた審美眼と技術はすごかった
鉢がやや軽い気もしますが、そのために自然の味と迫力とが強調されているのは確か


黒松
幹の古さと培養の確かさ、そして枝配りのみごとさは目を見張るよう
豪快さと繊細さが同時に感じられる作品、鉢映りもグーです


素質的にはかなりのものを秘めた真柏、鉢の映りもグー
落ち枝の作りにもう少し時間が欲しい気がしましたが、ともかく逸材です

この3点での決戦は、僅差で「黒松」が「環境大臣賞」に選ばれました
さて、みなさんはどれがお好み?

2005年10月22日土曜日

赤松大改作スペシャル

さて、昨日で基本の骨格が出来上がりましたので
今日は枝配りと樹冠の位置を決め、仕上げの作業に入ります

骨格を決める作業が土台作りとすれば
枝や芯の整枝は、美しさを演出するような気持ちで臨んでください


懸崖の一番の見どころになる枝(手前側)に針金をかけました


後ろ枝にも針金をかけました

改作前のニの枝は全体の雰囲気になじめず、天井を向いたままです
これは思わず切りたくなりますが、短気を起こさず、ジッと我慢(この我慢がなかなか難しいのだ)


正面から見た現時点の姿
枝が天井を向いています


切らずに我慢し前方に引っ張り出すことにしました

掛けた針金が指先で曲がらないときは、ヤットコで局部(針金)を捻ると強い鋭角の模様が可能です
これはちょっとした隠し技です(凄い効果あり、試してください)


うまく前方に引っ張り出して全体の雰囲気に溶け込めました(飛び出した芯の左下の枝です)
成功です(切らなくってよかった)

ここまでくればあとは芯の部分に雰囲気を出して作業完了!


どうです、当初の面影はありますか?
樹高はたったの12cmですよ

根上がり懸崖らしく、根に面白い模様があり、幹模様にも隙がありません
赤松らしく荒々しさに加え優美さも備えた姿です

こう上手く出来ると、改作はやめられない!

来春は小さめの鉢に植え替えます
2作すれば枝葉も増え、風格は飛躍的にアップします

この大改作についてのご意見ご感想、そしてご質問ください

2005年10月21日金曜日

赤松大改作スペシャル

素材の長所を最大限に活かす
短所を消去する

2つのことを同時にイメージして実行に移すこと
これが盆栽の改作にあたって、まず自覚する一番大切なことです


樹高25cmの赤松根上がり素材

長所
根と上部の幹の模様に変化がある
わりとしまった枝で位置も悪くない

短所
腰高である
根元から幹、幹から芯までの筋に統一感がなく、だらだらした感じで緊張感がない
各枝の役割がはっきりしていない
寸法のわりに迫力がない

まあ、ハッキリ言えば、個性のないありきたりの「駄木」
棚の隅で小さくなって見捨てられてもしょうがない、みじめな存在の赤松君といえるでしょう

このままは可愛そう
ちょっと痛い思いはするけれど、そこは我慢をしてもらって、大改作をしてみましょう


だらだらっと立ち上がった根を試しに折り曲げてみる
かなり曲がりそう、こうしただけでいい雰囲気の予感がしますね


その前に、本来の根元付近と次の強い曲あたりまでの間が、だらっとして緊張感がないので
ここを針金で手繰ります


手繰った後の拡大図
一の枝が手前に来てしまうほどに、強引に締め上げました
両地点の距離は半分になり、幹模様にだらだら感が失せましたね


手順を踏んで、今度は当初の目的に戻る
根元と上部の幹とを連結し、おもいっきり下へ引っ張るのです


二人がかりです
小品でも指先に思いっきり力を入れ、ヤットコで締め上げます


拡大して見ます
締め上げが甘いとダメ、松柏類は粘りがあるので力の掛かる箇所が少々裂けても大丈夫


後ろから見ます
頭は90度以上の角度で下に向きました


当初の姿です


第一段階の改作完了の図

立ち上がっていた姿は、まるっきり背中を丸めまるでうずくまったようになりました
ただ根の部分から幹を倒しただけでなく、最初の作業が大きな意味を持っていたのです

あらかじめ「幹模様にだらだら感」を解決しておいたおかげで
このようにきちっとしまった骨格が可能になったのです

つづく

2005年10月15日土曜日

作風展審査風景Ⅰ

恒例の「日本盆栽作風展」の審査が、さる10月の13日に上野グリーンクラブで行われました

ご存知のように「作風展」は、日本盆栽協同組合員、つまり盆栽の専門家が丹精した盆栽を出品しその出来栄えを競う展示会です

小品盆栽部門の入選作の中からは、以下の3席が最優秀賞の候補として予備審査を突破

さあ、みなさんはどの席飾りがお気に入りですか?


最優秀賞に選ばれた席飾り

飾り棚に対する盆栽の寸法、これが際立っていました
程よく空間があって調和がいい
もう少し季節感を濃厚に感じさせる彩りがあったらなー!
まあ、これは欲目というやつですね


真飾りの黒松

葉に隠れて幹模様が見えにくいのですが、よく管理された優れものでした
鉢はおそらく「尚古堂」でしょう、いい感じです


楓模様木

これが素晴らしかったですよ
骨格といい作柄といい、文句の付けようのない逸品でした


僅差で次点に泣いた席飾り

樹種と樹形、また鉢もバラエティーにとんでいますね
まったくの僅差、審査員の好みという他はありません


この席も一鉢一鉢の盆栽は素晴らしかったのですが、ちょっと大きさが揃いすぎた感じです

真面目すぎたのでしょう、空間の遊びがほしかったですね

作風展審査風景Ⅰ

恒例の「日本盆栽作風展」の審査が、さる10月の13日に上野グリーンクラブで行われました

ご存知のように「作風展」は、日本盆栽協同組合員、つまり盆栽の専門家が丹精した盆栽を出品し
その出来栄えを競う展示会です

小品盆栽部門の入選作の中からは、以下の3席が最優秀賞の候補として予備審査を突破
さあ、みなさんはどの席飾りがお気に入りですか?


最優秀賞に選ばれた席飾り

飾り棚に対する盆栽の寸法、これが際立っていました
程よく空間があって調和がいい

もう少し季節感を濃厚に感じさせる彩りがあったらなー!
まあ、これは欲目というやつですね


真飾りの黒松
葉に隠れて幹模様が見えにくいのですが、よく管理された優れものでした
鉢はおそらく「尚古堂」でしょう、いい感じです


楓模様木
これが素晴らしかったですよ
骨格といい作柄といい、文句の付けようのない逸品でした


僅差で次点に泣いた席飾り
樹種と樹形、また鉢もバラエティーにとんでいますね
まったくの僅差、審査員の好みという他はありません


この席も一鉢一鉢の盆栽は素晴らしかったのですが、ちょっと大きさが揃いすぎた感じです
真面目すぎたのでしょう、空間の遊びがほしかったですね