2021年1月5日火曜日

鉢の検証「白泥丸」


正月の3日に、親しい市内の愛好家さんから鉢の買取を依頼されました。この愛好家さんとはもう何十年のお付き合いで、若い頃には他の盆栽仲間も交えてずいぶんと飲み歩いたポン友でもあります。
さて、そのあたりはともかくとして、中の一枚が今日検証するこの白い土の丸鉢です。
サイズは、間口22.8×奥行き22.8×高さ9.0cmの反り縁(ソリエン)で、これだけの時代感がありながら小さなホツレひとつない完品です。ただ、一目では産地(中国鉢か日本鉢)が特定しにくいのです。
ではその点をポイントにして、いろいろな角度から見たままを箇条書きに列挙してみましょう。



1 正面からの見た場合、形からだけでは中国か日本かは断定不能ですが、ボディーの胎土は日本鉢らしくのっぺりした質感です。


2 全体の形から受ける質感ですが、中国鉢の場合はもう少しどっしりとした重量感が感じられる印象ですね。


3 縁の作りも柔らかな感じで、どちらかと言えば日本鉢の印象です。
ただ穴の数は、大穴が1個で小穴が2個の合計3個で、不思議なことにすべて本穴なのです。


4 この3つの水穴はすべて本穴。後穴(あとあな)なら納得できますが、日本鉢でも中国鉢でも、こんな本穴は見たことないですね。



5 この水穴が後穴であれば文句無く日本鉢と断定できますが、お話したようにこの水穴の開け方は中国鉢の特徴がはっきりと現れているのです。
ちなみに、鉢の内側のロクロメも日本鉢の特徴を示しています。

という訳で、胎土や作風からは中国鉢、水穴は本穴で中国式ということになります。
ちなみに、前の所有者は中渡りの中国鉢として入手したそうですが、私は日本鉢として評価しました。さて、貴方の見立ては如何でしょうか?


 

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