市内の親しい愛好家さんから黒い実の姫柿(老爺柿)を譲ってもらいました。以前から頼んでおいたのですが、なんでも秋になって柿の実が色づいてこないと真っ黒い実成りの特徴が出てこないそうで、ずいぶんともったいぶって今まで待たされました(笑)。
この方はかなり以前から姫柿のいろいろな種類の蒐集や繁殖が得意で、実生や挿し木で新品種を作出したり繁殖したり、また園芸の範疇に止まらず盆栽としての樹形作りまで手がけています。
入梅から夏ごろでは黒実の特徴はまだ見分けがつきにくいが、秋になると多品種に先駆けて赤っぽく色づき始めます。さらに実の形が図のようにやや細長くなっているのが特徴です。名の知れた楊貴妃や都紅などの赤系統の品種とは形が違いますね。
朝晩の気温が下がり始める今頃になると色が濃くなり始めます。肥料がよく効いていると実の艶も一段と冴えてくるようです。すると、次第に図のように墨を吹きかけたような細かい斑点が現れてきます。これが下地となって霜のころには真っ黒い艶のある実成りへと変化していくのです。きれいですよ。
最初はゴマ状ですが、次第に墨を塗ったような艶のあるみごとな黒色へと変化していきます。
日当たりのいい箇所ほどいい変化が見られます。また、実の形は丸や楕円ではなく、このようにやや胴のくびれた細長い形をしています。
まあ、私達盆栽人は、実の色に強い拘りをもって品種の蒐集に一番の重心を置いている、いわゆる「姫柿専門愛好家家」ではありませんから、あくまで植物の盆養と造形を優先させる盆栽作りの気持ちを忘れてはいけませんが、たまには珍種奇種の面白さを無邪気に喜んでみるのも一興かと思います。
そんなわけで今年の秋は、黒い実成りの姫柿を鑑賞してみるつもりです。
0 件のコメント:
コメントを投稿