2017年10月23日月曜日

獅子頭もみじ筏吹き樹形





それほど多くはありませんが、筏吹きという樹形があります。自然界において朽ちかれた幹から複数本の枝が立ち上がり、やがて幹となってまとまった景色をけいせいしていきます。
それほど多くはありませんが、筏吹きという樹形があります。自然界において朽ち倒れた幹から複数本の枝が立ち上がり、やがて幹となってまとまった景色を形成しています。

その倒れた幹が横たわった筏のように見えるために「筏吹き樹形」と呼ばれています。

寄せ植え風な造形の面白さとともに、自然界に生きる不滅の生命力が感じられる樹形で、ベテラン好みの渋い樹形でもあります。

この樹形は、朽ち倒れた筏部分の動きと時代感がポイントで、奇観にふさわしい面白味のある景色が望まれます。盆栽人は、筏吹き樹形から不滅の生命力を感じ取って、それを愛でています。


堂下慶心作の色絵長方に入った樹高12㎝の獅子頭もみじ筏吹き樹形。筏の動きに照応して飄々とした造形の面白さが表現された双幹の動きです。


左から右方向に倒れた幹が画面右のギリギリのところで立ち上がっています。しかも大小の2本幹で、主幹と子幹の双幹体となってい秀逸な動きです。


もっと拡大して見ます。


1 主木となります。獅子頭もみじの場合はこのように傷っけのない幹は特に貴重です。傷の肉が巻きにくい樹種だからです。

2 子幹となります。主幹よりも模様が繊細なので、双方のバランスがよくとれています。

3 倒れた幹であり筏の部分となります。普通の模様木などでは根張りに相当するところです。

4 倒れた筏の先端部分です。この部分に根が出ているのが理想とされています。もちろんこの獅子頭の場合は根が下  りています。

5 根張り。

6 根張り。


裏側の根元付近の拡大図。矢印で示した付近にも適度に根張りが発達しています。もみじ類は取木が可能な樹種なので、持ち込みとともに筏部分から発根して次第に根の数が増えてきます。改めて傷っけのない筏部分に称賛ですね!

以上、希少な獅子頭もみじの筏吹き樹形の魅力を分析してみました。樹令はおおよそ20年以上は経っているでしょう。筏部分の時代感と双幹体のバランスのよさ、さらに傷っけのない古色感あふれた木肌の趣が最高です。

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