トリクンはフリースクールの最年少で、参加するようになってまだ1年半くらい
とはいえ、その人なつこく素直な人柄からごく自然に仲間にとけこみ、急激な速度で進歩をみせている超新人です
特に水石の台座作りでは、試作品第一号を見せられたときから
「この子は才能あり」と強く感じました
その後は、紫檀の本格的な材料で4から5作くらいの段階ですが
私は彼には、高いハードルのプロ並みのアドバイスをと心がけてきました
彼は現在の段階においても、早くもすでにアマチュア作家としては十分な制作力を持っていますが
ただ、彼の潜在的な能力からすると、この段階で合格点をやってしまうのはまことにもったいない
もちろん、プロの台師になれとは勧めませんが、プロ、それも達人並みのセンスと技術を持った
アマチュア名人になってもらいたいと期待しています
これからたくさんの水石に出会い、いろいろな経験を積んでいけば
必ずそれは達成されるでしょう
では、実際に彼の最新の作品をご覧に入れましょう
佐治川の山形石小品(間口8.0×奥行き3.0×高さ3.4㎝)
以前に付いていた台座の画像
トリクンはこの佐治川石の彫り込みが中途半端であるため、台座から石が浮いて見えるので
練習のために紫檀の台座を新調させてくれ、と言ってくれました
この台座もアマチュアの作品とは思われ、紫檀や花梨ではなく
雑木類のありふれた材料ではありますが、石の映りはよく仕上げもまあまあ
後ろ姿
確かに彼の指摘のようにちょっと浮いた感じですね
もう少し台座を彫り込めば、据わりがよくなり落ち着いた感じになるでしょうね
さて、↓でトリクンの紫檀の台座をご紹介する前に従来の台座をよく観察しておいてください
左側半分の拡大図
右側半分の拡大図
台座作りはセンスのほかに非常な集中力と根気の要る作業
これくらいのものができれば、アマチュアの台座師としてはかなりイイ線いってるんですよ
さあ、これからがトリクンの作品ですよ
↑の従来の台座とよく見比べながらご覧下さい
トリクンの紫檀台座(間口8.0×奥行き3.0×高さ3.1㎝)
約3.0㎜ほど深く彫り込んだため全体の高さが3.0㎜ほど短縮され
石と台座に格段の一体感と落ち着きが出ました(とにかく0.5㎜がものをいう世界)
このように水石と台座が吸い付いたように感じられることが肝腎
石を引き立てながら目立ち過ぎないように、地味にしっかり自己主張する台座が優れた作品といえます
また、正面に2本あった足が1本除かれたため
左右の広がりが演出され景が大きく感じられるようになりました
やや角度をかえて正面より
周囲の側面にやや変化をつけたデザインにより
変化と動きが巧みに演出されています
従来よりも深めに彫り込んだことがわかります
右側、至近距離に足が2本配されています
台座の足の本数や位置は制作者がかなり神経を使う箇所です
仕上げの研磨も大切
木のぬくもりと硬質で精緻な線の融合が紫檀台座の魅力です
正面より
台座内部の彫り込みのようす
トリクンの精緻なノミの痕跡をご覧下さい
ノミの痕跡が美しく感じられるようになってきましたね
後ろ姿
足の数、足の位置
石との一体感を演出するためには、非常に大切な要素です
内部のノミ跡をもっと見る
内部拡大図
内部で石が安定するように石底の凸凹を正確に捉えています
足の形や大きさ、高さも重要な要素
みなさん、トリクンの台座、いかがでしたか?
トリクンはもっともっと上手になりますよ
またご紹介します
ご意見お待ちしていますよ
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