一晩の間に、蝶や蛾の幼虫にくちなしの葉をすっかり食われて丸坊主にされた
そんな経験のある愛好家さんは大勢いるでしょね
それがちょうど、くちなしの葉刈り時期5月から6月ごろならまだしも
秋口になってからだと、寒々しくてちょっと惨めな気持ちになりますね
しかしくちなしの場合、もうひとつ気をつけることは、くちなしが罹りやすい病気です
その症状は、根元や幹の表皮が茶色く冒され、気がついたときには病菌が木質部まで達しており
次第に樹勢も衰えていき、しまいには枯れ死に至ります
カビの菌による病気らしいのですが、いまのところ特効的な治療法はないようです
盆栽人にとっては、五葉松の葉ふるい病とならんで怖がられていますが
対策としては、とにかく予防が大切なので、ふだんから培養管理に気合いを入れ、樹勢を旺盛に保つことがいちばんです
その上で、次のことがらを注意点としてください
1 健全なくちなしでも殺菌剤による予防消毒を行う(毎年5~6月ごろと秋口の2回ほど)
2 病原菌におかされたくちなし盆栽の隔離と殺菌消毒(5~6月に植替て腐った根は幹の患部を切り取る)
3 病原菌におかされたくちなし盆栽の用土や鉢などの殺菌消毒および廃棄
4 病原菌におかされたくちなし盆栽を手入れした道具や手の殺菌消毒
いいですか、病気に罹った盆栽を手入れした手や同じ道具で
健康な盆栽に触ってはいけません、かならず殺菌消毒してからにしてくださいよ
さてそれでは、健康な盆栽はどうしたらいいのでしょう
ちょうど葉刈りの時期なので、それを実行しながら予防殺菌の作業もやってみましょう
健康なくちなし盆栽
甲羅状の座元から複数の幹が立っています
主幹の充実と子幹作りの最中にある好素材です
葉刈りをし、不要枝の剪定も行い、部分的に針金もかけました
さて、こちらは甲羅状の座元から主幹が力強く立ち上がり
それに添った子幹もすでに整いつつある古木です
葉刈りを実行
かなり小枝も密になっていますね
画像はありませんが、このくちなしは植替えも行いました
主幹の頭部に部分的な針金かけ
くちなしの枝や根の剪定の際に用意する傷口癒合剤は「トップジンMペースト」がいいでしょう
傷口の癒合と殺菌とのに効果があります
くちなしの病気予防の殺菌消毒には、稲のいもち病などに用いられる農薬が有効です(今回はヘルシードT)
一般の園芸店には置いていないでしょうね、各地農協ならあるでしょう
効能書きに従って消毒液を作ります
注意点は、盆栽が頭までもぐる程度の深さのある容器を用いること
葉刈りや植替えを行ったくちなしを、鉢ごと頭まで消毒液に漬ける
このままで一晩消毒を続けます
大切な注意点
健全なくちなしの予防とすでに病気に冒されたくちなしを
同じ液の中に同時に漬けはいけません(伝染の恐れあり)
病気に罹ったくちなしの消毒は
健全なくちなしをすべて消毒したあとの消毒液でやればよろしい
それでは
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