2011年3月22日火曜日

安部性もみじ・正面の交換と根さばき

大震災発生から今日で11日目

被災地への官民あげての支援が懸命に行われていますが
まだ被害状況の全容は掌握しきれていません

福島原発も、わずかに光明が見えはじめましたが
依然として予断を許さない状況は続いているようです

テレビの画面を通してそれらの情報に接しても
私たちにはせいぜい節電に協力するなど、ささやかな行動しかできませんが

ともかく、日本がんばれ、と言いたいですね
みなさん、戦後最大の国難ですが、元気を出しましょう

それでは、今日は大震災から2回目のつれづれ草です
教材は安部性もみじで、一昨年に取り木をかけ、昨年に親木から取り外し、1年間根作りをした種木です

ちなみに、安部性もみじとは、かって盆栽研究家として名を知られた安部(あんべ)氏が発見した小葉性の山もみじで
昔、安部氏の薫陶をうけた愛好家が大切に受け継ぎ培養していたものです

優れた枝性と端正な葉形に非常に優秀な特性が見られます

今では実物ににはめったにお目にかかれなくなりましたが
ぜひとも後世に伝えたいと思っています


今までの正面に100%満足していたわけではありませんが、根さばき作業をしているうちに
少々疑問の疑問と大きな欲が芽生えてきました(笑)

この正面が正解なのかなー?
もっといい正面があるような気がしてきたんです


手の平であちこち転がして見ます
赤矢印方向が従来の正面(この画面は側面からの画像です)

鉢内で見ているのと、このように根をさばいている素材状態で見るのとは
またひと味違った感覚が芽生えるときもあるのです


ありました、ありました!
ここに正解の正面が見え始めましたよ

根作りのために、徒長させていた3本の枝に隠れて見えなかった幹の筋が
素材状態になったため、先入観に惑わされるもなくなったせいで、よく見えるようになったようです

おまけに赤矢印で示した、ちょうどピッタンコの位置に、芯となるべき芽当たりが存在
なんと、この新しい正面は、従来の正面の真裏、つまり180度の回転ということになりました


新しい正面が決まったので心うきうき、根さばきにもいっそうの張り合いが出てきましたよ
赤矢印と白矢印の2本は大切な根張りですが、上下に重なっていますから、上の根を切ります


左の赤矢印は上の画像で示した不要の重なり根の側面
右の赤矢印は、方向が悪い真っ直ぐ根なので、これも切ります


思い切った根さばき作業が続いています


根の底はきっちりと処理されており、取り外した切り口の周りは肉巻きが順調に進行中です
切り口には改めて癒合剤を塗っておきました


幹筋を通すため、左の肩にあたる部分の徒長枝を切りました
やはり同じく徒長させていた裏枝も落としました

芯のある幹筋だけは残します

理由は、希少な安部性の繁殖のために
上部を取り木して新たな種木とするためです


さて、根さばきを終えて植え込みました

白線で示した下枝は不要なので、入梅までには切ります
先ほども言ったように、芯のある幹筋の上部は今年の入梅ごろに取り木をかけて種木にします


後ろ姿

従来の書面であったため裏枝がありませんね
適当な箇所に芽が吹かない場合は、呼接ぎすれば簡単ですから、ご心配はありません

この姿からはまだまだ時間がかかりますが
この逞しいボディーを活かして是非とも安部性もみじの逸品を目指したいと思っています

では!

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