2011年2月16日水曜日

スクール速報・山もみじ取り木その後

盆栽を始めてまだ未経験の山もみじの取り木に挑んだべーくん
一昨年に施術して、昨年に発根状態を調べたら、あまりかんばしくない結果でした(シュン)

そこで、ベテラン先輩のハシやんが患部を削りなおしたり、発根剤を塗ったりの手直しを指導し、1年が経過しました
ところが、今年こそはと意気込んであけてみると、やはり周囲の半分には発根がみられません(また当惑のベーくん)

やはり、発根しやすい樹種の山もみじでも、
古木の場合は発根が偏ってしまうことがよくあるんですね

しかし、ここでくじけてはいけませんぞ
災いを転じて福となすのが盆栽人の根性です

ということで、2月13日の盆栽フリースクールの当日
一挙に根接ぎに挑戦することのなりました

手順をご覧下さい

重ねて申しますが、ベーくんは盆栽歴数年で
取り木はもちろんでしたが、根接ぎも初体験です


土手を築いていた底網を外して、表面の水苔と赤玉土を取り除いてみる
幹の周囲の手前半分には発根なし

そこで、発根のない箇所に3本の根を接ぐことになり
さっそく施術開始!


幹径5~6ミリの山もみじの苗の太さにあわせ、親木の足元のあたる箇所に電動ドリルで穴を開けます
最初の1回目に私が手本を示すと、ベーくんびっくりしてました(ぼくのもみじクン、だいじょぶかな?)


図解するとこういうこと

親木の足元(裾)に○に近い溝を彫る(ドリルが便利)
その溝に苗をはめ込む感じ(溝が浅いと癒着せずにはじきだされてしまう)

事前に、苗は外側の根だけを残すように処理しておく
内側の根はじゃまになって親木と台木との接着を妨げます


何度も試して密着の具合を確かめます
成功の秘訣は、はめ込む溝の深さを十分にとること

溝の深さの目安は、少なくとも苗の半分以上が埋め込まれるくらい
↑の画像では、まだちょっと浅そうですね


3個の溝はおおよその見当がついたようです
ベーくんも飲み込めたようで、2個目3個目の溝はきっちりと仕上げました

次は、元の台木からの正式な切り離しと切り口の処理(ノコギリやノミなど大型刃物が必要)
独立した山もみじの根の底部は、しっかり削り込んで完全癒合(肉巻き)を目指します

カットパスターやオイルジンなどの癒合剤を必ず塗りましょう


ここまでくれば、作業の8割でしょう

ここでもう一つのポイントはすでに発根済の根の処理です

怖がって徒長根をそのままにせず、短めに切り込みましょう
また、幾重にも上下に重なった根は、高さを揃えてできるだけ一重にまとめます


しっかり溝にはめ込まれクッション付の釘で止めます
指で試してみて動くようだと失敗の可能性あり

なお、今回は、穂木(苗)の接着面を削って形成層を露出させてはいませんが
親木に溝を深く彫って、くわえ込むような施術法であるため、活着の成否にはなんら差し支えありません


部分拡大図


部分拡大図
苗は半分以上埋め込まれていますね(ここがポイント)


水はけのいいようにゴロ土をたっぷり入れて植え込めば作業終了

深めに植え込んだので、一、二の利き枝や立ち上がりが見えませんが
典型的な単幹模様木で将来大いに楽しみな逸材です

今後の管理

1 春までは他の盆栽と同じように冬囲いの中に置く(乾燥と冷たい風に注意)
2 接いだ苗は1年間徒長させるが、親木の木作りはどんどんやりましょう
3 肥料は根付きを確認後、5月ごろまで控えた方がいいでしょう
4 苗木の切り離しは、完全癒着を確認してから(おそらく来年の入梅ごろ

ベーくん、よくがんばりました
名木にしあげてくださーい!

みんさんもイイ素材を探して取り木をかけましょう
不完全な発根でも、根接ぎというすばらしい矯正法がありますよ

0 件のコメント:

コメントを投稿