青々とした鉢土表面のコケは盆栽をより美しく見せる演出に必要なものですが
コケによっては、いいコケと悪いコケがあるので注意しなければなりません
ふつうコケは湿地や日陰を好んで生えるものですが
盆栽の健康のためには、乾燥と日当たりに強く、きめが細かく丈の短いものが好ましいでしょう
ヒゴケやビロードのような乾性のコケは、盆栽の時代感や美しさを引き立ててくれますが
幹の上部まで這い上り、松類や梅の荒れた木肌の裂け目に食い込む湿性のコケは歓迎できませんね
こんな悪いコケは木肌を腐食させたり、害虫の住みかになったり
さらには鉢内の通気を妨げるため、根の呼吸作用を不活発にしてしまうのです
最近愛好家より譲り受けた黒松、4階の屋上の棚場でしっかり管理され元気は上々
しかし、湿性のコケが鉢の表面にびっしりと生え、さらに根張りを伝わりじわじわと上部に這い上げっています
見るからに湿気を含んだ湿性のコケがじわじわと長い手足をの伸ばし
幹の上部や木肌の裂け目にもしっかり食い込んでいますね
これはしっかり退治しなければなりませんぞ
ピンセットの先端でつまんでも、裂け目に食い込んだコケを完全には取り切れません
無理をするとせっかく荒れた木肌も一緒に剥がれてしまいます
山もみじや楓のように木肌の滑らかな雑木類には可能ですが
松類や梅など木肌の荒れを尊重する樹種には、ピンセットでは無理なようです
そこでとっておきの方法があるんです
石灰硫黄合剤の0~5倍液を用意してコケの表面に容赦なく塗りつけるのです
ただし、薬品が木肌に触れるぶんには無害ですが、絶対に鉢内の根には染み込まないように気をつけてくださいね
もちろん葉に触れてもいけませんよ
塗り終わったら日に当て、なるべく早く乾かすようにします
次の水やりのときに、融けて流れて鉢内に染み込んではたまりませんから
コケ退治作業から数日経った黒松
原液を使用したので真っ白でちょっと目立ってしまい、鑑賞上は好ましくないですね(苦笑)
私は0~5倍液を使ってきましたが、おそらく10倍液くらいでも効くかもしれません
みなさんはまず10倍液くらいで試してみて、効き目を確かめてみたらよろしいでしょう
そうすればこんなに真っ白にならないですからね
拡大図では枯れた湿性コケの繊維がよく見えます
この枯れた繊維は、ピンセットの先端で木肌を傷めないようにていねいに取り除くか
自然に風化してなくなるのを待ちましょう
それでは
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