2008年9月3日水曜日

添配・曙山

盆栽界における唐金(青銅)の添配ものの作者として
英正と並び賞されるのが「曙山」

一説には英正の師であったとか弟子であったとかいわれますが
詳しいことは定かではありません

ただ盆栽や水石の世界との接触はかなり緊密であったようで
20年も前のことですが、私自身が手に入れた水石の台座が曙山作の青銅製でした

水石の台座は木製であるのが普通ですが
自らの愛玩用にか、それとも依頼されての注文制作であったか

あまりの珍しさに非常に感嘆したことをおぼえています
それはとりもなおさず、曙山の盆栽水石界との関わりあいの深さを表す事実です

ちなみに、盆栽界において、この曙山と英正の二人を最高峰の名人としますが
残された作品は曙山の方が圧倒的に少ないのです

作風は似通っていますが、添配を好む仲良しの同業者どうしで
曙山と英正とどちらが優れているかということが話題になり

やはり20年も前のこと、たまたま手持ちの似通った同じ題材を扱った両方の作品(そのときは童牛)で比べてみると
牛の顔や肢体の表現などにおいて、曙山の作品は、写実的な英正作品をより強調した力感があふれていました

これはお互いの優劣という問題ではなく、作風のわずかな違いととらえるべきであり
とにかく両者の写実力と表現力に改めて驚嘆したのでした

さて、今日ご紹介するのは曙山の「唐舟」です
見どころのポイントは二人の人物の動きの表現

ごゆっくりご覧下さい



曙山作・唐舟 間口5.0×奥行1.5×高さ2.1cm

古代中国に題材をとった作品、涌泉の作品にもよく描かれていますね
船中に座す高士と櫓を漕ぐ船頭両者の、体の動きの一瞬をとらえて絶妙です



私には、船中の高士が書見をしているように見え
そしてその右手は、今まさにページをめくらんとして一瞬宙に浮かされています

この小さな作品においても
人間の動作の瞬間を的確にとらえ表現しています



顔の傾き、両方の肩の位置、櫓を握るために伸ばされた両腕の角度など
櫓を漕ぐ船頭の肢体の動きも的確にとらえていますね



反対正面より

どこの角度から見ても絵になります



共箱が存在する英正ですが、不思議なことに曙山の場合共箱作品は存在しないのです
よってその真贋は、落款と作品のレベルで判断します

本作品はもちろんホンモノですよ!

唐舟の屋根の元(船頭の背中方向)に「曙山」の落款有りますね

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