花物盆栽の王者といえば、やはり梅
なかでも野梅は、小枝が繊細に作れるし木肌もよく荒れ、盆栽としての優れた要素を持っています
清楚で侘び寂びの趣があり、これも盆栽人の好みにピッタリです
ところが、小品盆栽界には野梅の盆栽が極端に少ない
まして木肌の荒れた優れた素材はなおさらのことです
実生から育てるに非常な年月がかかることがその原因で
普通野梅の小品素材は、大きなサイズの盆栽の頭の部分を取り木から得ることが多いのです
ですから、実生の優良な素材は大変な貴重品ですが
幸いにも私はこの春先、20年以上にわたって実生から仕立てていた10cmサイズの優秀な素材を10本手に入れました
今回は、現在たいせつに仕立て中の一鉢をご紹介しましょう
ボディーの高さは約8cmほどで、完成予想樹高は10~11cmを目指しています
春にほとんどの枝を切り落とし、まったくの素材に戻し根本から木作りに入りました
春の新芽を芯、左右の利き枝と振り分けて、芽の柔らかい入梅前に針金で誘導しました
枝先は徒長させたままで、秋までこのまま充実させます
正面拡大図、肌の荒れとサバ状になった幹肌の雅味がみごとでしょ
入梅が明けた頃に針金を外しました
これからは来春の作業予定です
白線のあたりから切り詰めます
手前にしっかりとした芽当りがあることを確かめてから切りましょう
それと、将来しまった枝振りを作るためには
今年の枝を、ある程度思い切って短めに切り込むことが肝心です
来春に枝を切ったあとの予想図
今年の新しい枝に表情がありますね
のこされたこの枝元が基本になります
来春、残された枝先から吹いた新芽(濃い茶色の部分)に2芽ほど針金をかけて誘導します
その枝先は今年と同じく、再来年の春までは切り込まずに充実させます
それによって、枝作りの基本部分はまずまず出来上がりかけてきますね
再来年の春にも、もう一度、新芽(薄い茶色の部分)に針金をかけます
つまり、今年を入れて三年間で枝作りの基本作業が完成します
四年目以降は、枝先に針金をかけず、ハサミでの切込みにより枝先を密にし
野梅盆栽の完成品と同じように管理していきます
0 件のコメント:
コメントを投稿