参考資料として適当な大助鉢を入手しましたので
またまた窯傷の話をしましょう
佐野大助 五彩山水図丸鉢(磁器作品) 間口10.7×奥行10.7×高さ4.2cm
なだらかな峠の上り口の風景でしょう、これから上りにさしかかる馬子、下りてきた篭かきなど
茶屋らしき建物をポイントに画面全体に8人の人物を巧みに配した構図の妙
背景の中心を占める穏やかな丘陵も美しく、大助の五彩画として秀逸の出来を示す作品で
使い込みの時代感も抜群です
ところが、水穴の縁に数ミリのわずかな傷を発見
検証の結果、焼成過程での窯傷と断定しました
この水穴付近はもっとも窯傷の生じやすい箇所であって
焼き物の宿命ともいえるでしょう
しかし、傷は傷です
この場合問題なのは
1 将来の実用に耐えうるかどうか
2 傷の性質
3 大きさ、それに深さ
なのです
傷の大きさはおよそ3ミリ
また、長い年月の使い込みに耐え、窯出し以後に広がった形跡が見られないことから
性質はごく良質であることが理解できます
内側に達しているかどうかを見るためによく検証する必要があります
大丈夫です
これでかなり軽微であることが判明してきました
もう一度鉢底の面から傷の深さを調べてみましょう
画像からも傷は底の肉の厚さの半分までしか達していないことがわかりますね
この検証の結果、前項でもお話したように価格面の評価は下がるのは当然としても
「大助の傑作鉢」としてきっちり評価すべき作品であることがわかりましたね
さらに、売り手の業者側にとっては
買い手のコレクターさんに対し「窯傷あり」との説明責任があります
(認めることは辛いけど) 傷は傷なのです!
欠点を認め説明した上での再評価、それが盆栽界の将来のために欠かせないことであると肝に銘じましょう
それではまた
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