中国では青華磁、日本では染付けや呉須と呼ばれる
素焼きされたものに直接顔料で絵を描く技法は
染め付けられた絵が施された透明釉薬の下になるため
釉下彩技法とも呼ばれます
その点、素焼きの後に透明釉薬を施し、さらに本焼された上から彩色する五彩や赤絵とは技法が異なり
一発勝負の難しさを伴うといわれています
地味で渋い持ち味の呉須絵
その渋さゆえに玄人好みといえるでしょう
1)
三本足の丸鉢でしかも廻り絵ですから
原則はどの足を正面にしてもさしつかえありません
図5を正面とするのが一般的な感覚的でしょうが
私はこの図1の角度がたまらなく好きです
深さがある鉢なので、下に近景、さらに中ほどの景、そして上部に遠景と
画面をいっぱいに使い充分に遠近感を表現しています
呉須絵独特のしっとりとした情感も画面に溢れ
涌泉の作品群の中でも群を抜いたトップクラスの出来栄えです
2)
この角度は見付けではありませんが、遠景に白帆、近景に岸辺の樹木と
たっぷり余白をとったみごとな構図です
3)
人物の登場で一気に物語性が醸し出されてきました
馬上の主人が荷を担ぐ従者を振り返っていますね、このあたりも涌泉独特の温かみのある画面です
4)
力強い画面になってきました
岸壁を過ぎて馬の向かう松林の中には目指す宿があり
馬の足並みも軽やかで、絵全体に躍動感のある画面です
5)
この角度が一般的な正面でしょう
絵全体の重心がこの画面にあることは、みなさんにもお分かりですね
理屈ではなく、感覚的な判断でいいと思います
また松など樹木の描き方が非常に巧みです
涌泉の繊細な筆使い、やはり天才ですね
6)
ひと回りしました
ロクロ作りのボディーです
鉢裏と足のようす
涌泉の共箱です
「青華磁山水図・樹鉢」
箱の裏書
さて、みなさん、いかがでしたか?
前項の「赤絵長方鉢」と併せ、ご感想およせ下さい
よろしく
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