昭和30年代の後半を皮切りに40年代から50年代にかけても
何度か五葉松八房ブームの盛り上がりがありました
その結果、山が高ければその分だけ谷が深いように
ブームの熱が過ぎたあとの盆栽界における虚脱感は強く残りました
しかし
1 樹勢が強壮で仕立てやすい
2 短い美しい葉性で容易に姿を整えることができる
3 フトコロの葉や芽が蒸れにくい性質があるので、小品やミニ盆栽が作り易い
等々優れた美点も具えているので
現在では、小品向きの品種として那須娘や明星、福娘などが受け継がれ
九重や瑞祥なども代表的な品種としてひろく仕立てられています
ところで八房五葉松のもう一つの問題点は、繁殖のために避けられない接ぎ木の痕です
それらを克服する方法としては
1 挿木苗から仕立てる
2 接ぎ木苗で促成栽培を行ったあと取り木をかける
3 接ぎ木の台木に、従来の黒松苗でなく五葉松を使用する
などが実行されていますが、五葉松の挿木苗の成長の遅いのは
経験された方ならよくお分かりですね
また2の方法による取木もなかなか手間暇と
時間を必要とするものですね
3の方法は、これも時間がかかりますが
まずは確実な方法でしょうね
いずれにしても盆栽は時間のかかるものですが
根気よくいい種木を見つけてチャレンジするのが早道でしょうね
さて、そんな八房五葉松事情ですが
今回巡り会った八房系中品のようなものもあるんですよ
五葉松らしく典雅な姿が印象的です
枝葉に隠れてフトコロが暗いので見えずらいですが
幹模様は下から上まで弛みなくバッチリ決まっています
正面よりもっと拡大する
葉性から見て八房系と思われますが
足元付近に接ぎ木の痕跡はありますせん、これが嬉しい!
もっと近づいても痕跡は見当たりませんよ
後ろからみても、これが接ぎ木の痕だと思われる痕跡は断定できません
もっと若木のころに取り木をかけたのでしょうか?
それとも、五葉松の台木を使った苗から仕立てものでしょうか?
いずれにしても断定できる所見はありませんが
盆栽人としては、葉性が八房系でありながらこのように接ぎ木の痕跡がないのはうれしいことですね
たまにはこんな珍しいことに巡り会えるのが
盆栽人の最高の喜びといえるでしょうね
では
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