2014年5月27日火曜日

五葉松模様木鑑賞

関西地方のリピーター・Oさんから五葉松の買い取りを依頼されました
ネットオークションで落札しがのだけれど、実物を手にしてみたら思ったよりも大きいのだそうです

もちろんOさんも事前に樹高などのサイズは確認してはあったはずですが
ボリューム感まではなかなか掴み切れなかったのですね

木姿に力があり葉がさもあるので
実物を手にしてみると想像よりも大きく感じられたのでしょう

ともかく、お伝えする側としては、できるだけ実物に近い情報を心がけてはいるのですが
数字で表しにくいボリューム感や質感のイメージは難しいことです

ところで今日は、Oさんから譲っていただいた五葉松模様木を見ながら
私が関心を持った点を挙げてみましょう


樹高15cm×左右25cmの五葉松模様木

渡辺正山の雲足長方鉢を使って足元をコンパクトにまとめてあるので
力強い足元と幹筋がさらに強調されて、木姿が大きく見えます


拡大して幹筋を見てみましょう

いっけん山取りと見間違うほどの木肌の荒れ
さらに、やや暴れぎみの根張りが効果をあげて、さらに力強さを増幅させているようです


足元の拡大図


足元をもっと拡大して見る

いわゆる「きれい過ぎない」感じがいいですね、自然界の力が溢れています
このような数字に表せない迫力が、この五葉松をサイズ以上に大きく見せているのです


側面から検証してみましょう(右が正面)

樹高と左右のサイズは表記されていますが、奥行きはわかりませんでした
実物を見るとちょっとばかり裏枝が長くて奥行きがあり過ぎですね

このことも、この五葉松が画像よりも大きく見える理由の一つになっています
↓の画像を見てください


雑木類と異なり、簡単には枝を切れませんが
追い込みや針金による矯正などで、小枝の先端を一芽分(理想的には二芽)だけでもコンパクトにします

かなり小さく感じられるはずですよ



真上から見た図

矢印が正面です

裏枝が長いために真上から見ると円形ですね
これでは大きく見えてしまいます


裏側を二芽、正面を一芽追い込めば
輪郭線は楕円形になって理想的です

Oさんが思ったよりも大きすぎると感じてしまった理由は
こんなところにあったのかもしれませんよ


後ろ姿


裏側足元の拡大図

ということで、表記された樹高や左右のサイズだけではなく
木の奥行きのサイズも盆栽の大小のイメージにかなり影響するということです

それでまた!

2014年5月23日金曜日

舞姫取り木発根

昨年は入梅前の5月下旬に取り木施術をした舞姫もみじでしたが
素材の揃っていた今年は、芽出し前の3月中旬に作業をしました

そして・・・もうそろそろかも、と思いながらちょくちょく覗いて見ている間は
案外出てこないもので

やがて、覗くのに飽きて、やがて忘れたころのある日突然ん発見するんですね
さて、今年のそのある日は5月9日でした

昨年の入梅前の取り木が一ヶ月未満で発根を認めることができたのに比べて
やや日にちがかかっていますね

これは、時期的なこと、つまり気温の高い時期の方が発根が早いのと
昨年は、事前に針金の結束して「クビレ」を作っておいた箇所が多かったためでしょう

参考事項必ず見て!


同一の幹を三段に取り木しまたが
まず発根したのが一番上

やっぱり枝葉の多い方が早く発根します
発根の養分は葉っぱで作られる(炭酸同化作用・光合成)んですからね


三段に施術した一番上の拡大図


二段に取り木した別株の舞姫
不透明で見えませんが、こちらでも枝葉の多い上段の方がたくさんあ発根していました


紅葉のように比較的発根しやすい樹種の場合は
このように表から見て数本の発根が見られれば切り離し可能です

さて、取り木未経験の方は
是非とも入梅前にチャレンジしてみましょう

2014年4月24日木曜日

五葉松復活作戦

先日、親しいある同業者の棚の隅で、1本の五葉松が目につきました
↓のように、葉の緑色もかなり褪めていて、さらにその一部ははっきりと黄ばんでいます

全体が平均して褪色している場合は、肥料不足を解消しただけで立ち直れることもありますが
このように、部分によって褪色の程度がまだらな状態は、復活がかなり難しいですね

「この五葉、もったいないね、幹筋はいい子なのにね」
「去年お客さまからお引き取りしたんだけど、根っ子が痛んでボロボロだったよ」

「なんとかなんないかな、もったいないよ、この子」
「今年は昨年よりも芽が動いている感じがあるんで、ちょっとは望みがあるんだけどね」

そんなやりとりをしているうちに、急にこの五葉松に愛着が湧いてきて、「よーし、俺が面倒見てやろう」
まるで親になっちゃった気分になった私は(笑)、さっそく値段の交渉にかかりました

向こうさんの仲間相場は1.5万円
えー!?、枯れちゃうかもしれないのに、高ーい、とおっしゃるでしょうが、本来なら10万円は下らない優良品ですからね

しかし、こちらも勝負は勝負
根切りマンの習性で1万円ではもう一息食い下がる(安い方がいいに決まってますよね)

決着値は1.3万円
まあ、もし万が一でも惜しくない値段ですね

さて、本題です

先ほど「棚の隅」と言いましたが、そうなんです
健康なら、本来この五葉松の居場所は「隅っこ」ではありませんね

化粧鉢に入って堂々と棚の目立つ位置に置かれているはずなのに
このような状態では、日当たりの良くない棚の隅で、まったく見捨てられた存在になり果てていたのです



樹高は15cm、足元の幹径は約4.5cm
スタイルのいい木なので細く見えますが、案外に太いですよ

幹の模様は言うところなしで、枝順もばっちり
本来持っている葉の性(しょう)もいいので。復活したら本格派の模様木ですね


足元を覗いて見る
木肌もかなり荒れていますね


向って右側の一の枝の芽先を点検してみます

今年の新芽が動いて徐々に葉になろうとしていますね
芽の色つやも気持ち回復傾向にあるような気がします

このように、冬から春先にかけての健康状態を確かめるときは
冬芽や動き始めた芽の色つやをよく観察することが大切です

古葉が少々痛んでいても
春の新芽が元気であればあまり心配はいらない、ということになります


向って左側のニの枝の芽先を観察
右側に比べて芽先の色つやはかなり劣っていますね、かなり重篤です

葉数も少ないし、動きもやや遅れているし
まことに心細い限りです

しかも、この五葉松の復活の成否は
ひとえにこの枝の行方にかかっていますから、なんとか頑張ってもらいたい

中心の芽がもっと緑色になってつやつやとして伸びてくれればシメタもの
今はそれを祈って辛抱するしかありません


後ろ姿です

で、今後の復活に向けての重要なポイントを挙げてみましょう

1 真夏になるまでは一番日当たりや風通しがいい棚に置く
2 水は控えめにやるが、水切れにも注意
3 油粕の置き肥を少々やって、葉の色つやをよく観察する
  葉の緑が濃くなるようなら根が動いている証拠ですから、しめたものですね

この三か条をしっかり守って、とにかく辛抱の培養管理
やっと動き出した根っ子に刺激を与えないように、じっくり守りの培養に徹します

復活できるかな?
私も自信はありませんが、とにかくやってみましょう

それでは、追って以後の途中経過もご報告いたします
うまくいってみなさんの参考になればいいですね

では!

2014年3月21日金曜日

安部性もみじ取木素材・骨格作り

かつて盆栽研究家として活躍した安部氏は
自他ともに認める「もみじ気違い」として有名でした

その安部氏が発見し命名した安部性もみじ
小さく端正な葉形と節間(せっかん)の短い繊細な枝先などが特徴です

今回のつれづれ草は、Part210で頒布中のその安部性もみじ取木素材
足元は古木感あふれており見どころがいっぱいです

是非とも斬新な構想をもって新しい命を吹き込み
常識にとらわれない個性的な樹形を目指したいものです


昨年の早春に取木施術し、入梅に親木から切り離して根作りをしてきた素材
そのため、主要な幹筋の芯は徒長させて樹勢の促進を図ってきました

まずは、左側に立ち上がった幹が将来の主幹と想定されます
次に、右へ斜めに立ち上がった幹は副幹として活用しますが
この副幹は総体の構図の中において、差し枝としての役目も兼ねることを頭においてください

目指すのは、この2本の幹を中心にしながら周囲に幾本かの子幹を配した株立ち状の樹形です
ですから、副幹は右方向への動きを演出する重要な役目を担うわけですね


後ろ姿


まずは主幹の足元付近の不要芽の整理をします

指で押さえている赤点付の2本の枝
どちらか1本を残したいのですが、あなただったらどちらを切りますか?


ほとんど同じ位置から複数の枝が出ていて
そのうちの1本だけを残す場合の大切な基準のひとつは

節間(せっかん)の短い中くらいの勢力の枝を残す

その基準に従えば、↑の見本の2本の枝では
元に芽のない上よりも、枝元に芽がある下の枝の方が優れていることがわかりますね

このように、枝元近くに節があって、なお、節間の短い枝を残します


節間が伸び過ぎたり位置や方向の悪い枝を少しずつ除去します(消去法の精神で)


剪定が進んで少しずつ主要な骨格が見えてきましたね
そしてここらあたりでもう一つのポイントです

このような初期の段階での構図を決める選定の場合
枝数をやや多めに残しておくこと

これからの培養段階で構図変更も十分考えられますから
現段階で必要な枝をすべて決めることは危険です


前面のコブを又枝切りで削りました
このような大きな傷痕は切り出しナイフなど鋭利な刃物で丁寧に削り直しておくこと


枝数はまだまだ多すぎますが
あらかたの構図は決まりました



右の画像は剪定前、左が剪定後です
全体の枝数は半分ほどになりました

枝数をやや多めに残す意味は上記の理由だけでなく、樹勢の維持という面も考慮に入れています
ある程度の葉数があったほうが根は活発に活動しますね


剪定後の後ろ姿です
こちらから見てもまだまだ枝数が多く、不要枝がたくさんありますね


将来図を描いてみましたが、培養過程で計画変更も十分考えられます
木は人間の想定を超えた思わぬ成長をするのもですからね

「木は木なりに作る」という有名な先人の教えがありますから
謙虚な気持ちで自然と接する柔軟な心構えもたいせつですね

それでは!

2014年3月6日木曜日

長寿梅大量入荷!

盆栽屋の本格的な春は、何といっても2月初旬の「国風展」で幕を開ける感じで
作業もそのころから忙しくなり、人々の動きも活発になってきます

加えて今年から、同じく上野の都立美術館で日本水石協会主催の第一回「日本の水石展」が同時開催されことになったので
スケジュールの混雑は個人的にも覚悟はしていたのですが

日本列島をまるごと呑み込んだあの大雪のせいで
身動きはとれず、雪かきで疲れるわ、たいへんな2月になっちゃいました

そんなわけで、やれやれ2月の〆は下旬の第37回の「千葉県盆栽名品展」かな、と思っていたところ
30代のころからお付き合いのある隣市のYさんから突然電話があって

「おれだよ、しばらくなんで忘れちゃったかよ、おれだよ、おれッ
持ってる長寿梅、ぜんぶ売ってやるからすぐに遊びに来いよ」

そういって電話のむこうで笑っているYさんでしたが
一瞬のうちに記憶をたどってみると、そう、たしかにこの10年くらいは空白になっていました

まったく盆栽人の時間の観念は悠長なもので
年単位どころか、人生を長くやってきたせいもあって、とうとう何十年単位になってきちゃいました(笑)

Yさんは五葉松や黒松、雑木類では長寿梅が好きなベテランの愛好家さんで
私の目から見ると、特に長寿梅の培養が上手で、年は私よりも半周りほど年上の静かな方です

むかし、上手に仕上がった長寿梅の株立ちを
しぶるYさんに無理をいって何度も分けていただいたのをよく覚えています

さて、そのYさんの電話の要件は、盆栽の数が多くて手が回らなくなったので減らしたい
ついては私にその処分を頼みたい、そういうことでした

数日後にお訪ねしたYさんの日当たりのいい盆栽置き場で
想い出話に華を咲かせながら譲っていただいたのが、↓の画像にある長寿梅20鉢

Yさんは私が長寿梅大好き人間であることを覚えていてくれたんです
それでお声をかけてくれたんですね、これには感激しました

「ミヤちゃんはおれの作った長寿梅、よくねだりに来たっけな」
Yさん、お声をかけてくれてありがとう、そして、こんども格安で譲ってくれてありがとう

それにしても、今年の2月はまたまた忙しくなりました、とても〆どころではありませんよ
これだけ大形の長寿梅、ムロ出しの時期が来たら、我が家の棚には置ききれませーん

樹高65cmの長寿梅株立ち
薄型の楕円鉢は間口70cmもあるんです(大きいなぁー)


枝のほぐれが凄いでしょ
培養管理もよく樹勢も最高


こんな感じの長寿梅が20鉢
Yさんが愛情を注いできた宝物です


長寿梅の魅力は、何といっても木肌の荒れと小枝のほぐれ
その点はYさんの培養は完璧、枝先の適切な摘まみ込みでご覧のように密な小枝がみごとです

樹形も、単幹、双幹、株立ち、吹き流しなどと多様で
あれこれとしばらくは楽しめそうです

そんなこんなで、とても忙しい2月となりましたが
さて、3月はどんな日々になるのでしょう

ともかく、がんばります!

2014年2月21日金曜日

植え替えのポイント(超初心)

水やりや剪定と並んで、盆栽が盆栽であり続けkるためには
植え替えがもっとも大切な作業であることを、すべての盆栽人が当然心得ていると思い込んでいる私ですが

この基本中の基本作業もまったく知らない超初心の愛好家さんに
ごくごくたまーに出くわすこともあります

つい最近も、盆栽に関心を持ち始めて間もない方から
なんのために植え替えをするのか、と真っ向から質問を受けてちょっとばかり面喰いました

1 植物の根を切ることにより、古く老朽した根を新しいものに更新し
  樹の勢いを保ち続ける(再生能力を利用した生命力の維持)

2 同じく、老朽した用土を新しくして
  水や空気の流通をよくして根の成長を促す(環境管理による成長の維持)

3 鉢内の根の不均衡を矯正し
  盆栽がバランスよく育つようにする(盆栽樹形の美しさの維持)

などなどルルご説明させていただいたが
果たしてご理解いただけたか?

そのことが契機になったのでしょう
ごくごく超初心の愛好家さん向きに、植え替えの超基本の記事を書く気になりました



植え替え作業のポイント
水穴をふさぐために底網

目の粗いものと細かいものが市販されています
用土の粒の大きさによって使い分けましょう



鉢の水穴から底網がずれて、用土が漏れている素材に出会うことがあります
ちょっと太めの針金で底網ずれ防止の止め金を作りましょう



こんな感じにキッチリ止めましょう



この止め金が本式ですが
ずれなければどちらでもよし

次に、根を固定するための針金を用意します
根を縛る針金が2本用と4本用



水穴が1つの場合



針金が2本
水穴の裏側のようす



水穴が2つの場合
縛る針金が4本だと植え付けがしっかりするのでお勧めです



水穴が1つで縛る針金が2本の場合、植え付けた盆栽が不安定になりやすい
そんな時は体裁にとらわれず、植えた盆栽が揺れないように、とにかくしっかりと固定するのが先決です

入梅過ぎるころには新しい根が鉢内で伸張して盆栽が安定しますから
補助の針金を切り取っても大丈夫ですよ



根の少ない挿木素材などは、水穴から通した針金で縛っても効果がありませんから
図のようにビニール紐で固定するのがいい

この場合も、入梅過ぎには苗も安定しますから
紐を切っても大丈夫です



水穴が1つで縛る針金が2本の場合で、取木素材で根が少なかったため
下方の枝に針金を持たせて固定しました

これも体裁よりも実質を重視した方法
かっこ悪いけれどこれが一番なんですね

以上です

最後になりましたが
とにかく植え付けにおいては、盆栽がぐらつかないことが活着の第一条件であることを肝に銘じてください

そのためにあらゆる知恵を出して
ご自分なりの方法も工夫してくださいね

では!