2013年8月16日金曜日

中学生の復習・形成層

形成層、維管束(いかんそく)、道管(どうかん)、師管(しかん)
みなさん、これらの言葉をおぼえていますか?

いえいえ、盆栽用語ではありませんよ
じつは、中学前半で習う理科用語です(もうとっくに忘れちゃってますか・笑)

取り木や接ぎ木の原理に関係のあることなので
このあたりで簡単に復習しておきましょう

形成層は活発に細胞分裂を繰り返している部分で
木の幹や枝の表皮を剥くと、いくらかヌメっとした緑色の層がそれです

形成層の内側にあるのが道管(どうかん)といって
根で吸い上げた水分を葉に送る役目をします

外側にある師管(しかん)は、葉で作られた養分を根に送り返す役目を担っています
この形成層、道管、師管の3点セットをまとめて維管束とも呼びます


赤矢印の薄緑色の部分形成層で
その内側の白い部分が木質部


断面図

外側から表皮、その内側に形成層があり、その形成層と表皮の間に師管があり
さらに背中あわせの内側には道管があり、まとめて維管束(いかんそく)と呼びます


まずいイラストで申し訳ないが木の断面図を書いて
その構造をわかりやすく説明しましょう

1 表皮(ひょうひ)(からだを守る)
2 形成層(形成層)(成長する)
3 師管(しかん)(葉で作られた養分を根に運ぶ)
4 道管(どうかん)(根で吸った水分を葉に運ぶ)
5 木部

そして、2の形成層と3の師管と4の道管とをあわせて維管束といいます

ちなみに、私たちの世代では道管を導管と
さらに師管は篩管(ふるいかん)と習った記憶があります


さて、根から吸い上げられた水は形成層の内側にある道管から葉に運ばれると言いますから
試しに、もみじの枝を切って赤の水彩絵の具で着色した水を一時間ほど吸わせてみました

そして、表皮を剥いてみると、薄緑色の形成層の内側はご覧のとおりに赤く染まっています
たしかに、水は形成層の内側にある道管を揚がっているのがわかりました


枝を半分に割った断面図でも、表皮の内側に縦に走る道管が紅色にそまっているのがわかります
他の箇所、つまり深部にある木質部からは水は揚がっていないませんね


私たち盆栽の先人達は経験則で知っていたんですね
葉で作られた養分は表皮のすぐ内側にある管(師管)を通って根に運ばれることを

そして、取り木をかける前にあらかじめ針金で軽く結束しておくだけで
簡単に養分がせき止められて、発根が容易になることも

ここで考えてみましょう

もし、この形成層を含む維管束の構造が逆だったら
つまり、外側に道管で内側に師管という配列だったらどうなるでしょう

もっとも大切な水分を運ぶ道管が外側にあれば、樹木は傷つきやすく
そして、養分を運ぶ師管が深部にあれば、再生能力という点でもはるかに劣るでしょう

まさに、師管が外側にあり、命の水を運ぶ道管が内側に配置されているのは
進化の過程における植物の優れた自衛策であろうと推測されて興味深いですね

もちろん、この場合は、われわれ盆栽人にとって
取り木というこのありがたい手法は、そう簡単なものではないでしょうね

では

2013年7月21日日曜日

舞姫ボディー作り②

盆栽とはいえどその技術は
一昔前に比べて格段に進歩しています

現代のミニ盆栽人はただサイズさえ小さいだけでなく
迫力と風格にあふれた堂々たる模様木を日々夢見て、とうとうそれを可能にしてしてしまったようです

ですから、ミニ盆栽作りにとってますます重視されてくるのが、基本のボディー作りとなるわけでね
焦らずじっくりと骨格作りに時間をかければ、将来必ずそれが役に立ってくれますよ

さてそこで、前項で取りかかった舞姫もみじのボディー作り
頭の部分の切り戻しは来年の春かな、と思っていたんですが、作柄がよく肉巻きが図のように順調です


残るのはほとんど3mmほどで、今年中に完治も可能かも
そこで、足元から芯までの幹筋を作るため、頭の部分の切り戻しを敢行することにしました


管切り状態であった箇所を又枝切りを使用して幹模様に沿って斜めに削る


上部の枝や周囲に吹いている不定芽を傷めないよう慎重に
それらは傷口の肉巻きにとって絶対に必要なものですから


緑色の形成層が傷口の周囲にグルット露出するまで削り込む
最後に、鋭利なナイフで周囲を削り直すことも忘れないこと


傷口は癒合剤でしっかり保護する


作業終了の正面拡大図


全体図

徒長させている枝は秋以降の剪定時まで切らずに
ひたすら傷口の治癒のために順調な培養を心がけます


来春、植え替えと同時に全ての枝を切り込めば赤点の箇所から不定芽が吹きます
それらの芽を利用して本格的に枝作りに入ります


基本の枝つくり予想図
現在のボディーの高さが3.5cmなので、完成予想樹高は約6.0cmくらい


機会があったらその後の経過もご紹介したいですね
では、よろしく!

2013年6月21日金曜日

舞姫ボディー作り①

足元の幹径が4.5cmと、かなりの太幹超ミニサイズの舞姫もみじの素材
今年の春から始まったボディーの基礎作りの過程をご紹介しましょう

頒布コーナーでは将来図として、三幹体と単幹の二つの案をご紹介しましたが
実際には単幹への案を採用しました

とにかく、樹形作りに先立つボディー作りの段階は
盆栽人にとってなんともいえない「夢」があって、それはそれは楽しいものですね


芽の動く前の姿 樹高4.0×左右6.0cm(足元の幹径4.5cm)


現在の姿 

春の新芽は順調に徒長して15cmほど
ボディー作りの段階では、この元気すぎるほどの勢いを保つことが大切です


正面足元の拡大図
あれ、↑の画像とずいぶん違っているみたい?


そうですね

枝元に不定芽が吹いて伸び始めたのを確認してから
赤線で示した左右の太枝を切り飛ばしたんです

つまり、ヤケ込み防止と肉巻きを早めるためは
ぜひとも傷口の周囲に不定芽が必要です


向って右の飛ばし傷
おおよそ一ヶ月と少々でこんなに肉巻きが促進しています


もっと拡大して見ます
癒合剤に覆われていても、肉巻きしている様子はわかりますね

この調子なら、おそらく来年の今ごろには完治も可能
遅くとも来年一杯にはすっかり肉巻きが完了するでしょう


向って左の傷口も肉巻き順調
この周囲にも不定芽が残されています


ところが、削り込む必要のある切り残しの枝がボディーの背中にありまます
ここの周囲の不定芽がはっきりと伸び始めたので、やっと削り込みが可能になったわけです


赤線の位置まで削り込みます


反対側から傷口を見る

傷口の周囲をきれいに削り直して癒合剤を塗っておきましょう
周囲の不定芽をどんどん徒長させて傷口の完治に全力を注ぎます


これでボディーの周囲にあった切り残しの枝は3本とも切りましたが
しかし、ボディー作りが終ったわけではありません

上の独立した赤点で示した徒長枝を将来の幹筋の候補枝とし
赤の破線あたりで幹を削ってコケ順を作ります

また、その隣の青点は、枝の欲しい位置なので
将来呼び接ぎをして枝を作る計画です


ボディーだけを見る


現在のボディーのてっぺんに芯を立ててコケ順を作り
その左側に呼び接ぎの枝を作った予想図です

以上ですが、ボディー作りは盆栽の基本中の基本であり
その一生を左右する大切な作業です

後から直すことはできませんから
最初にじっくりと時間をかけて、優れたボディーを作り上げましょう

盆栽道は「急がば回れ」ですよ
では

2013年6月20日木曜日

舞姫取り木発根

5月23日から28日にかけて
20本ほどの舞姫もみじに取り木をかけました

5cm以下の超ミニに最適な小葉性の舞姫もみじですが
エンピツくらいの太さを求めるとなると、挿し芽から仕立てるにはちょっと年月がかかります

その点、種木の準備さえあれば、取り木はありがたいですね
わずか1ヶ月くらいでけっこうな骨格をゲットできますから

前項の「舞姫もみじの取り木」を参照してください

さてそこで、若い枝や幹の場合は、早ければ2週間くらいで発根するはずなので
そろそろだとな見当をつけて注意してたところ、昨日に数か所に発根を見つけました



双幹体の2本のてっぺんに同時に取り木をかけました

同じように施術していながらおもしろいもので、両方同時にというわけにはいかないもので
子幹にあたる方が先に発根しています

発根後の処置として次の3ツが考えられます

1 このままにしておき、もっと根がふえるまで待って、秋口または来春に切り離す

2 いちどビニールを外し、水苔または盆栽用土を補充してさらに根の充実を図り
  秋口または来春に切り離す

3 そく切り離し、仕立て鉢に仮植えし来春まで根の充実を促す

以上はすべて正解ですが



今回は「3」の処置をすることにします

その理由は

1 比較的発根の容易な山もみじ系統である
2 若木、また幹径も小さいために発根が比較的容易である
3 まだ入梅期なので、本格的な暑さが来るまでに1週間以上の猶予が見込める

それでは、作業開始!


もやしみたいな柔らかいきれいな白根
よろしいですか、この白根を絶対に傷つけてはいけませんよ(最重要)

ビニールをそーっと外します
また、無理に水苔を取り除こうとすると白根を傷めてしまいますよ

赤線が親木から切り離す位置
根元の処理は来春の正式な植え替えの時に行います


親木からの切り離し

この場合も白根を触ってはいけません
白根の先端には活発な細胞分裂が行われている成長点があります

無理に水苔を取り除くとせっかくの白根を傷めてしまいます


微小な赤玉土で仮植え

通常の植え替えのように竹棒で用土を突き込むと、やはり白根を傷めてしまいますから
鉢の縁を軽くたたいて用土を落ち着かせる程度でよろしい

また、底穴から針金を通して先端をフックさせて
下から引っ張って軽くとめておく


仮り植え完了

ご覧のようにやや深植えですね
水苔が隠れる程度の深さと思ってください

切り離し後の管理ポイント

1 切り離し後1週間くらいは半日蔭で
  その後は普通の棚上で管理

2 水切れに注意する(特に水苔部分)
  水苔部分からはまだ新しい発根が行われようとしています

3 秋までにはさらに新しい発根やその伸長が期待でます

4 秋口になったら少々の施肥を行い
  冬越のために耐寒性を強化します

5 来春までには、根張りの確認と根さばき、根底の処理など
  荒っぽい作業にも耐えられるようまでに成長しますから、それまでの辛抱ですよ
  それらの作業を経て、はじめて一人前の盆栽素材として独立するわけです

では

2013年5月29日水曜日

舞姫もみじの挿木

前項で勉強したもみじの取り木法のメリットは
なんといっても、ある程度の太みのある素材を短期間のうちにゲットできることでしょう

それに比べて挿木からの素材作りは、ちょっとばかり年月がかかります
だがしかし、この方法にだって大量に生産できるというメリットがあるんですね

とにかく欲張りのプロにとっては、太さのある舞姫もみじも欲しいけれど、数も欲しい
数があればみなさんに廉価で頒布できるし、さまざまな樹形の素材に挑戦も可能です

ということで、今年の早春に舞姫もみじの挿木を行い
その結果がかなり良好だったので、自慢かたがたみなさんに成功のポイントをお伝えいたします


2013/3/15 挿木 9号のすり鉢型仕立て鉢 用土 微細赤玉土5:微細鹿沼土5

いかがですか、ご覧の通り活着率は95%以上、ほとんどつついています
見事なもんでしょ、これくらいの活率で活着すると張り合いがですますね

では、今回の成功のもとはいったいどのあたりにあったのでしょうか?
次回からの参考とするために、振り返って検証し成功のポイントを整理しておくとします

1 置き場所はビニールハウス内だったが、防寒トンネル内には入れず
  また湿度を保つためのビニールドームも使わなかった(凍結はしなかった)

2 ビニールハウス内でも地面に直接でなく
  約10cmほどの高いところに挿木鉢を置いた

3 ハウス内でも日の当たらない置き場所を選んだ
  
4 水やりはかなり控えめにした

5 葉水も最小限度にとどめ、鉢土が過湿に陥らないように心がけた

簡単ですが、しょうじき以上の5点くらいがみなさんに語るべきほどのことで
他には特別に変わった方法はやっていません

それなのにこの高結果です

そこで、私は過去の経験と今回のポイントから
今回の成功の要因を、推測も交えて次の3つに絞りました

1 冬芽が色づき始める直前(3/15)という時期がよかった
  
  ・この日付を忘れないこと

2 ハウスのトンネル内に取り込まず、しかも葉水も控えたので
  過湿にならなかった
 
  ・過湿になればべと病などのカビ菌の餌食になる

3 差し木鉢を直接地面に置かなかったので
  底穴から病原菌が進入しなかった

  ・地べたにはカビ菌やその他の細菌がうようよ
  ・だから次回からはもっと高い置き場所にするつもり
  ・それに、トップジン乳剤などで挿し床の消毒も有効だろう

つまり要約すると、挿木成功の秘訣は
「時期」と「病原菌対策」だということですね


ということで、今日(3/29)現在もビニールハウス内で培養中
ただし、ハウスのドアは開け放してあり、少々の直射日光にも当たってります

春の訪れとともに開いた冬芽が葉になり、ここで再び新芽が伸びてきました
これは挿し穂が発根した証拠で、おそらく地中では白根が急速に発達していると考えられます


念のために鉢底を確認してみましょう
ほら、ご覧なさい、鉢底から数本の白根が飛び出していますよ

そろそろ入梅が近づいてきましたから
曇りか雨の日を選んで外の棚に移動の予定です

そして、入梅が明けたころに
少々の肥料をやるつもりです

では

2013年5月28日火曜日

舞姫もみじの取り木

みなさん、あなたは取木をやったことありますか?

わずかの期間で、ある程度の太さの素材がゲットできちゃうんですよ
取り木ってすっごくお得感ありますよね

そこで、今日は人気急騰中の舞姫もみじを教材にして
取り木の方法を解説するつもりです

まず、取り木の適期は入梅ごろって解説している盆栽の入門書が多いようですが
プロはもうちょっとばかり早くやるようにしていますよ

この時期が入梅時期よりも特別に発根率がいいわけではありません

早めにやる理由は、うまくすると入梅中に発根し、土用前、遅くとも秋口には切り離しが可能で
培養の前倒しができるからです

時期の目安としては、春に出た新葉が固まった5月中旬からです
ちなみに、葉が固まるというのは、手で触ってガサガサとこわばった感じで判断します

この表現は盆栽では案外使いますから(葉刈りの時期など)
覚えておいてくださいね


エンピツくらいの太さの舞姫もみじの頭の部分を
今年の春にあらかじめ1mmのニューム線で結束しておきました


葉で作られて根へ下るはずの養分が針金でせき止められ
上部に溜まってクビレができています

若木なので、クビレから下へ幹の直径の約2倍ほど環状に皮を剥きましたが
古木の場合は直径の1~1.5倍くらいで十分です


赤矢印で示した切り口(クビレの部分)の周囲が発根予定位置ですから
この部分はもういちど最後にきれいに削り直す必要があります

皮を剥いた部分には、やや青味がかった薄い膜のような「形成層」が露出しましから
この部分をナイフの刃で木質部までていねいに削り込みます

形成層とは、根から吸収され水分や葉で作られた養分の通り道なので
木質部に達するまでよく削り取り、上下を遮断しておきます

なお、下の切り口は発根する箇所ではないので、少々粗雑な切り口であっても影響はありません


上部の発根予定位置にはルートン(発根促進剤)を塗っておく
さらに1mmのニューム線を図のように巻きつけておく

この針金は、上部で形成されたカルスが発達し過ぎて下部にまで達すると
上下の形成層がくっついてしまうのを防ぐためです

ちなみに、上下の形成層がくっついてしまうと
発根せず取り木は失敗します


水苔をくるむかたちになるビニールは、円錐形に切るといい
半円形に切れば丸めると円錐形になりますから、水苔を入れてからホチキスで止めればOK


上部が開いた円錐形なら、水やりも楽
下部はつぼんだ形にすれば水持ちがいい


水に浸した水苔をたっぷり入れ込むことと
削った箇所のやや上まで覆うことがポイントです


ビニールと水苔がずれ落ちないように紐で縛って、作業完了です

今後の培養ポイント

1 置き場所は通常通りの日当たりにいい棚上がよい

2 水やりと肥料は従来通り

3 ビニール内への水苔は絶対乾かさないように

4 また、発根を確かめるために、水苔をめくって削った箇所を覗いてはいけません
  その箇所の発根が悪くなること必定ですよ

5 おおよそ1ヶ月ほどで発根します
  発根すればビニールを透かしてモヤシのような根が確認できます

6 若木であれば、その時点で親木から切り離してもいい
  切り離したら、水苔をほぐさずにそのまま仕立て鉢に仮植えして、来春に本植えする
  (仮植え後は1~2週間半日蔭に置く)

7 古木の場合は、秋口まで根が増えるのを待ってから切り離し仮植え
  来春に傷口をしっかり処理して本植えする

簡単ですよ
みなさん、取り木にチャレンジしてくださいね

それでは