挿木の幼苗を育て、徐々にミニ盆栽に仕上げていく楽しみは
経験した盆栽人でないとわからない、と断言できるほどのものがあります
第一に、お金がかからないから、まったくのお得感あり(笑いごっちゃない、切実な問題ですね)
第二に、自らの手で、切り捨てるはずの小枝に命を吹き込む作業から始めるので
ひとしおの愛着感を経験できる
そして第三に、取木にも言えることですが、これらを経験することによって
植物の命の秘密、つまり生理についての知識が深まって、盆栽の培養におおいに勉強になる
さて、前おきはこのくらにして
舞姫の挿木苗の育て方のポイントの勉強、始めましょう
前列左は舞姫当歳(とうさい)(一年生)苗、寸法は10~15cm
今年の3月に挿木をしたものです
その右側が舞姫二年生苗、寸法は30~40cm
昨年の入梅時期に挿木したもので、勢いよく繁茂しています
後列中央のの仕立て鉢に入った2鉢が舞姫三年生苗、寸法は50~60cm
一昨年の入梅時期に挿木をし、今年の春に仕立て鉢に植え込んだものです
挿木をする時は10cmくらいの穂木は、その年には数cmくらいしか成長できませんが
次の年には30~40cmの立派な二年生苗となっているのが印象的ですね
今年の3月中旬に挿木をした苗
活着率はおおよそ70%くらいの感じです
暑い夏が終わり秋口になって再度新葉が展開し始めたのは
過ごし易い気候が訪れたので、土中でも新しい根が活動し始めた証拠で、とても喜ばしい現象です
さてここで改めて、今年の春に挿木をした当歳苗(とうさいなえ)と
隣の二年生苗の成長ぶりを比較して見ましょう
当歳苗は背の高いものでやっと15cmほどで
状態としては、暑かった夏を乗り切り、秋口になってやっと新しい葉が展開したところですが
言うなれば、まだ将来の展望は見えず、とにかく生き抜くことに精一杯の感じですね
それに、厳しい冬の到来も一刻一刻近づいていて、ぐずぐずしているわけにはいられません
比べて二年生苗の方は、いかがですか、この勢いのいいこと!
背丈は30cmを超えて40cmにもなっています
太さだって、ほんのマッチ棒ほどの当歳苗に比すると
すでに4~5mmあって、しっかりと木質化して頼もしい限りです
よろしいですか、みなさん!
たった一年間ですよ
一年間でこれだけ成長させることができるんですよ
その秘訣を勉強するのが今日の課題だったのです
そして、秘訣はたった一つ
★挿木当歳苗は、二年目(翌年春)には植え替えず、挿木したままで育て
三年目になって初めて一本ずつ仕立て鉢に移して独立させる
理由は
発根した当歳苗を翌春に植え替えても、根付くのに精一杯で
この段階では、成長するためのエネルギーが、根にも幹にも養分が十分蓄積されていないのです
もしも、無理をして二年目の春に仕立て鉢に移すと
1~2年間は現状維持が精一杯で、じっとウズクマッテしまい、かなり成長が遅れてしまいます
もっとも、それを逆手にとって年月をかけるのを惜しますに
味のある超ミニに挑戦している愛好家さんもたくさんいらっしゃいます
まあともかく、先を急ぎ過ぎてはいけないのが盆栽作りですが、幼苗の時代に根と幹をある程度充実させておき
その後のサイズの短縮は切り込みの技術でカバーするが現代流でしょう
と云うわけで、今日のポイントは
舞姫挿木当歳苗は、二年目の春に植え替えせず、三年目に仕立て鉢に独立さる
右側が二年生苗、隣の仕立て鉢が今年の春に独立した三年生苗
この三年生苗だって、今年一年間は根付くためにエネルギーを費やしたため
成長の比率は二年目にははるかに及ばないことは画像から一目瞭然ですね
ですが、今年中で鉢内にかなり根が回ったはずなので
来年は著しい成長をとげるはずです
そして、立派なミニ盆栽になるためのトレーニングが始まるわけですが
それらはまたの機会に
では!
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