昨年の入梅前に取木(環状剥皮)をかけ
30~40日間で親木から取り外して4号鉢にいれておいた素材が約30本
いよいよ根さばきと樹形の基本を見きわめる時期がやってきました
将来の基本樹形を想定しつつ、発根の状態をよく調べながら
必要な根張りは残し余分な根は除く作業です
各々の将来を左右する大切な段階ですから,楽しみも大きいんですが
選択に迷うような悩ましい局面もあり、なかなか難しいこともあります
この作業の適期は、各樹種の植え替えの適期にやればいいので
もみじ類であれば、今ごろから3月中旬くらいに行います
今ごろだとまだ寒いさなかですから、植え替え後の保護はキッチリしましょう
保護設備のない方は、ちょっと時期をずらした方が安全ですね
昨年の入梅ごろに取木をかけて発根した舞姫のつれづれ草を参考にしてください
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発根して親木から親木から切り離された素材は
現在こんな感じで保護室に囲われています
深めに植え込まれているので
足元は見えないので、どのような樹形かは判別ができませんね
何が出てくるかは
蓋を開けてのお楽しみ
注)幹枝についた白い斑点は
石灰硫黄合剤の消毒液が乾いてこびりついたものです
作業が始まってから何本か目のこの素材
む、む、なんかいい予感がしますよ
はじめは株立ちと思っていたんですが
どうやら単幹で、それもかなりの太もののようです
このような樹形と根張りを見きわめる作業のときは
上からばかりの攻めにこだわり過ぎて失敗することがあります
途中で方向を変えて、今度は下からも攻めて
慎重に少しずつ素材の全容を明らかにしていきましょう
途中で水で洗ったりもして、どうやら概要が見え始めましたね
どうやら、太幹の本格的な模様木のようです
しかし、ここで嬉しがって先を急いではいけませんよ
これからが繊細さが要求される段階です
こんな感じの模様木でした
根張りが八方に張っていて立ち上がりが抜群
幹の模様とコケ順もイケてるし、枝数も多いので姿を出しやすそう
こりゃ、間違いなく逸品素材だ!!!
頂上の赤線あたりの高さが約6.0cmです
最終的な樹高は7.0cmが目標
赤線で記した枝は荒切りしておく箇所で、将来不要と思われます
一方、赤点で示したのは、将来にわたり重要な役目を果たすと予想される枝や根です
いずれにしても、この段階では明らかに不要と思われる枝だけを除去し
全体にやや多めに枝を残すのが賢明な方法ですね
さて、取木箇所の処理にかかります
この作業も大切ですよ
環状に剥皮した箇所の下部にカルスが巻き過ぎないように巻きつけておいた針金が見えますね
この針金を取り除く作業から入りましょう
又枝切りやコブ切りなどのハサミを使って
えぐるように親木(台木)の残存部を切り取ります
この作業を怠ると、この部分にいつまでも肉が巻かずに
しまいには、この部分から木質部の芯が腐れ込んでしまいます
必須の作業
こうやっておけば1年で傷口に肉が巻いてしまいます
傷口はカットパスターで保護しておけば万全
ただし、ペースト状(ソフト)だと乾きが遅いので向いていませんね
さらに根を整理します
枝は荒切りでもいいのですが、根はやり直しが利きにくいので
この段階できっちりと追い込んで、あとで後悔しないようにしておきましょう
植え込み前には赤線あたりから根を短く切り詰める
怖がって根の切り込みをためらうと、根が走り過ぎて化粧鉢に入らなくなりますよ
いよいよ植え込みです
この場面でのポイントは、植え込んだ素材が揺れないようしっかりと固定すること
用土は赤玉土を主体にして砂を少々、底にはゴロ土も忘れないように
正面拡大図
ボディー
いやー、取木ってお得感がありますねー
たった1年間の辛抱で、こんな素晴らしい本格模様木がゲットできちゃうんですからね
足元が隠れるくらいに多めに用土を入れます
湿気の多い保護室へ入れるので、トップジンの乳剤(1.000倍液)で消毒しておきます
カビ類などの病原菌対策です
幹や枝も消毒
ビニールハウスの中に作ったトンネルが置き場所
気温は零度近くになりますが、凍結はしません
春まではこの保護室で春を待ち
いよいよ本格的な木作りに入ります
そのころになれば頒布コーナーに掲載できるでしょう
楽しみにお待ちくださいね
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