2012年2月14日火曜日

紅千鳥(取り木3年目)

この紅千鳥の取り木素材に出会ったのは昨年の夏ごろ
いつも寄る親しい同業者の棚に、他の盆栽たちと離れて1鉢だけポツンと置かれていた

仕入れしたものではなく、何となくここの主人公が作り込んだ素材のように感じられたのは
ここの園主がなかなかの腕利きで目筋も利いているせいだろう

「この紅千鳥、売りものかい?」
さりげなく聞いてみると

なんとその返事が、「あれ、見つかっちゃった!」
なのであった

昨年の取り木素材の中でも飛び抜けていい素質なので、すぐに売り物にするにはもったいなかったのでしょう
「宮本さんに持っていかれないように、1年間隠しておいたんだよな」

それで早いところ手入れをして、また目立たないところへ
ひっそりとかくしておこうと思っていたらしい(笑)

何時も思うことは、盆栽との出会いはまさに運次第
あの日に彼のところへ寄らなければ、まだこの紅千鳥とは出会っていなかったかもしれません

まさに、一期一会ということばがぴったりです


とにかく立ち上がりがすばらしく力強い
それに加えて、八方にまんべんな発根しているので、将来の成長が非常に楽しみです

また、量感のあふれたボディーも
立ち上がりから芯に至るまで、きっちりと微妙な模様が入っていて動きがあります

さて、今年の冬は寒さが厳しいので、時期はちょっと早い気がしますが
術後の管理さえ気をつければ大丈夫です(凍らない程度の置き場)

素材から本格的な盆栽への道への船出のための
根の整理を目的とした最初の植替え実行です


昨年の入梅ごろに、将来の枝配りを考慮して貫通式の呼び接ぎがされています

赤線と黄線で示した2本で
入り口と出口を色分けしましたが、わかりますか

もっとも、この段階での呼び接ぎは、芯や利き枝は別として
補助的な枝は将来使わないものも案外ありますから、あまりムキにならない方がいいと思います


スッポリと鉢から抜いてみる

深い仕立鉢を考えに入れて
底から半分くらいは粗いゴロをたっぷり使っています

水はけがいいので
根の色も健康的でツヤツヤしていますね


恐れずに根は短めにどんどんとさばいていきましょう
ビクビクして沢山の根を残そうとすると、将来ちょうどいい大きさの鉢に入りません

「盆栽作りは根っ子作り」です
これをまず実行していて下さいね

親木から切り離した幹の真下の傷口が見えるまで
根の追い込みはまだまだ続きます


根と根の間に詰まった古い泥は水で洗流す
このように、根の発達を促進するためには周辺を清潔にしておくことが大切


幹の真下の親木から切り外した傷口の処理は一番大切なこと
この素材はきっちりと処理されていましたが、再びカットパスターを塗っておきました

周辺の根っ子もかなり追い込んでおきました
これが正解、これだけの根があれば十分に活着します


正面から


なるべく小さめの仕立鉢に植え込む
大きすぎると「過水」になっていい結果は得られません


将来の予想図

幹元の太さは約6.5㎝ほど
完成の予想樹髙は10㎝くらいです

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