2012年3月23日金曜日

作る・出猩々もみじ

手がけてから今年で6年目に入る出猩々もみじ

2010年からは、葉刈り後に出る節間(せっかん)のつまった短めの枝を使って小枝をふやす作戦に変更
昨年にはその効果がややあがって、ごらんのようになんとなく全体像がまとまりを見せてきました

向かって右の低い位置に欲しいと思っている枝も、まだ呼び接ぎをしていませんが
ただ芽摘み、葉切り、葉刈りなどの当たり前の手入れだけでも、それなりの成果は上がったようです

そこで、今年はさらにその方針を推し進めるために
鉢を小さくして小枝作りに重点をおいてみようと思います

今までの項を参考にしてください



まだ骨格は当初の理想的な域には達していない現在の姿ですが
節間(せっかん)が伸びやすい出猩々もみじの特性を考慮して、このあたりで一度姿を整えます

整った段階で気にくわなければ、またまた素材に戻して
また根本から改作することも可能ですからね

このやり直しがきくのが雑木類の便利なところですね



前項の「けやき古木」と同じように、根の底まできっちりと追い込みます



周囲の根も小さな鉢に収るように思い切り切り込む



足元のよごれもきれいに水洗い



間口14.5㎝の鉢に入れましたが、あと数㎝の短縮はゆうゆう可能です

現在の樹髙は11㎝
足元や木肌の古色感は抜群ですね



今年は無理な欲を出さずに、平凡に当たり前の手入れをくりかえし
画像のように小枝をふやし、全体の姿にまとまりを出そうと思っています



後ろ姿

それでは、入梅頃にまたご紹介しましょう

2012年3月22日木曜日

けやき古木の根さばき

春の彼岸前後は植替えの最適期
みなさんもがんばっていることと思います

とにかくこの冬はひどい寒さで、私も例年よりも植替え開始が例年よりやや一ヶ月も遅れたので
このところ連日作業に追われています

さて、今日の教材はけやきの古木

昨年の冬の初めごろ入手したものですが
用土が老朽化していて今春の植替えはぜひとも必要な状態でした


取木で作り込んだ根張りが特徴で、八方根張りが見どころ

根の状態はいたって健康ですから
思い切り根をさばいて若返りをはかることにしました


大胆に根をさばいて、一番大切な足元の根を裏側から検証すると
前回の植替えでは根の底の部分の追い込みが足りなかったようで、根全体がややあばれ気味でした

しかし、底部分に腐れはないし、不要根もそれほどおおくはありません
だいじょうぶ、きれいな根ですね、少々根を追い込めば合格ですね


根さばき完了
このように根の底が露出するまで切り込みます


根と根の間に詰まった古い土も水圧ポンプできれいに取り除きます


鉢底にゴロ土をたっぷり敷いて水はけよく植替えました
今年一年の成長が楽しみです

強く追い込まれた根先から新しい根が分岐し
木そのものがグーンと若返って元気が出るでしょう

ちなみに、けやきなどの雑木類は普通一年おきに植替えますが
このような古木であっても数回に一度くらいは、今回のように用土の全取替えをして樹勢を保つように心がけます

では

2012年3月20日火曜日

真柏ジンのお化粧

長年の風雨にさらされて白骨化したジンやサバのイメージは
真柏や杜松盆栽にとっては最大の見どころといって過言ではありません

しかし、せっかくのジンやサバでも、ときどきは手入れをしてやらなければ
汚れたり苔が生えたりして腐食してしまいます

ですから、一年に1回くらいは腐食とめの手入れをかねて
お化粧してあげましょう

時期は一年を通していつでもOK
でも、石灰硫黄合剤を使うので、冬期以外では薬剤が葉に触れないように気をつけましょう


用意するもの

石灰硫黄合剤と水彩絵の具のホワイト
くどいようですが、絵の具は水性にかぎりますよ、油性は絶対ダメ


ナイロン製の筆、大小数本
ちなみに、100円ショップで売っていますよ

これもナイロン製に限ります
動物性の毛の絵筆では、硫黄合剤のアクで痛んでいっかいこっきりになってしまいます


硫黄合剤は原液のままで使い、ときには白絵の具と混ぜたりします
また、この他に小さな容器に水を少々用意しておき、白絵の具を溶くときに使います


ジンやサバが汚れた真柏


こちらの真柏もかなり汚れていますね


幹掃除するための道具は、歯ブラシ、金ブラシ、千枚通しなどを使いますが
なんといっても高圧力の水圧ポンプが便利です(3万円くらいしますが、便利便利、欲しい片はお世話しますよ)


ジンやサバや水吸いにこびりついていた汚れが落ちました
このまま半乾きの状態まで待ちましょう


乾いたところでお化粧の始まり
まず、石灰硫黄合剤の原液を塗ります

硫黄合剤は木材の腐りどめのためですが、このまま乾くと真っ白には仕上がらず
やや黄色っぽくなります


硫黄合剤が生乾きのうちに、水彩絵の具のホワイトを上塗りする
生乾きだと絵の具がよく伸びます


仕上げりはこんな感じ
白骨化したジンのイメージが強調されまさいた


絵の具が水吸いの部分にはみ出さないように、ていねいに塗る


こちらの真柏もきれいにお化粧がおわりましたので
絵の具をよく乾かします

簡単でしょ

ジンやサバの腐りとめを兼ねたお化粧
グーンと鑑賞価値がアップしますよ

2012年2月25日土曜日

楓植替え

盆栽用語で「この盆栽は根がよくできている」という場合
根張りがいいという意味でなく、土の部分に隠れて見えない根っ子がいいということです

人間に例えれば、根は内蔵にあたりますから
腐った根や植替え不足で走り過ぎたりゴツゴツした根はいけませんね

盆栽を選ぶときには、幹や枝ぶりばかりに気を取られていてはいけません
根の健康状態まで推測するように訓練しましょう

枝ぶりや根張りは外側から観察できますが、根っ子の状態は鉢から抜いてみないとわかりませんね
しかし、注意深く観察すれば、落葉期であっても、根の健康状態は枝先や芽の色つやから判断できます

さて、今日はその「根の状態がいい」見本のような楓のミニの植替えをご紹介しましょう
樹髙は6.5㎝です


定期的な植替えによる根裁き(剪定)と適切な管理のおかげで
走り根やゴツイ根がなく細かく分岐したいい状態です

このような場合は
いきなり下半分の根をスッパリ切り落として、仕事を短縮してもかまいません


これでかなりの手順が省けました
どうです、根の色つやがきれいですね


肥料の残りカスやらで汚れた表土も根と共によくぼぐす
盆栽では上根(うわね・鉢の表面の根)をよくほぐし、走り根などがないようにする心がけが大切です

この作業を繰り返すことにより
上根がよく発達して盤状の根張りの基礎になるわけです


幹の真下の太い根は完全に肉が巻いています
その他の根はすべて細かいひげ根なので、これらの先端が水を吸い上げる力となっていて、非常にいい状態です


さらに土をほぐして根の剪定もしっかり実行します


根裁き完了です
従来よりもさらに盤状の根張りが大きくなりました


今までの仕立鉢から浅い楕円の化粧鉢に入れますから、ゴロ土を十分に敷きます
浅鉢は案外に水はけが悪い場合があるんですね


1.5㎜と1.0㎜のフルイでふるった中間の赤玉土に、桐生砂を10%ほど混ぜたもので植付けます


植替え完了

表面に少々の水苔を敷きますが
これは土の落ち着きをよくするのが主目的です

乾燥を防ぐために厚めに水苔を載せる人がいますが
それは過湿のもとになるので「御法度」ですから注意して下さいね

2012年2月14日火曜日

紅千鳥(取り木3年目)

この紅千鳥の取り木素材に出会ったのは昨年の夏ごろ
いつも寄る親しい同業者の棚に、他の盆栽たちと離れて1鉢だけポツンと置かれていた

仕入れしたものではなく、何となくここの主人公が作り込んだ素材のように感じられたのは
ここの園主がなかなかの腕利きで目筋も利いているせいだろう

「この紅千鳥、売りものかい?」
さりげなく聞いてみると

なんとその返事が、「あれ、見つかっちゃった!」
なのであった

昨年の取り木素材の中でも飛び抜けていい素質なので、すぐに売り物にするにはもったいなかったのでしょう
「宮本さんに持っていかれないように、1年間隠しておいたんだよな」

それで早いところ手入れをして、また目立たないところへ
ひっそりとかくしておこうと思っていたらしい(笑)

何時も思うことは、盆栽との出会いはまさに運次第
あの日に彼のところへ寄らなければ、まだこの紅千鳥とは出会っていなかったかもしれません

まさに、一期一会ということばがぴったりです


とにかく立ち上がりがすばらしく力強い
それに加えて、八方にまんべんな発根しているので、将来の成長が非常に楽しみです

また、量感のあふれたボディーも
立ち上がりから芯に至るまで、きっちりと微妙な模様が入っていて動きがあります

さて、今年の冬は寒さが厳しいので、時期はちょっと早い気がしますが
術後の管理さえ気をつければ大丈夫です(凍らない程度の置き場)

素材から本格的な盆栽への道への船出のための
根の整理を目的とした最初の植替え実行です


昨年の入梅ごろに、将来の枝配りを考慮して貫通式の呼び接ぎがされています

赤線と黄線で示した2本で
入り口と出口を色分けしましたが、わかりますか

もっとも、この段階での呼び接ぎは、芯や利き枝は別として
補助的な枝は将来使わないものも案外ありますから、あまりムキにならない方がいいと思います


スッポリと鉢から抜いてみる

深い仕立鉢を考えに入れて
底から半分くらいは粗いゴロをたっぷり使っています

水はけがいいので
根の色も健康的でツヤツヤしていますね


恐れずに根は短めにどんどんとさばいていきましょう
ビクビクして沢山の根を残そうとすると、将来ちょうどいい大きさの鉢に入りません

「盆栽作りは根っ子作り」です
これをまず実行していて下さいね

親木から切り離した幹の真下の傷口が見えるまで
根の追い込みはまだまだ続きます


根と根の間に詰まった古い泥は水で洗流す
このように、根の発達を促進するためには周辺を清潔にしておくことが大切


幹の真下の親木から切り外した傷口の処理は一番大切なこと
この素材はきっちりと処理されていましたが、再びカットパスターを塗っておきました

周辺の根っ子もかなり追い込んでおきました
これが正解、これだけの根があれば十分に活着します


正面から


なるべく小さめの仕立鉢に植え込む
大きすぎると「過水」になっていい結果は得られません


将来の予想図

幹元の太さは約6.5㎝ほど
完成の予想樹髙は10㎝くらいです

2012年1月17日火曜日

スクール速報・けやき

何年か前に、このけやきの古木の骨格をクロちゃんから見せられたとき
これはひょっとすると意外な大もの君になるぞ、と思った記憶があります

素材の骨格を見抜いたクロちゃんが
大手術を施してまったくの種木から仕立て上げたものです

「けやきは箒作りと段作り」が定番で、模様木などそれら以外の樹形は盆栽界で認知されにくい
そんな風潮が存在するのは確かなことです

しかし、足元の力強さといい、幹模様の自然さといい、繊細な味わいをみせる枝振りといい
古木感にあふれた堂々たる風格はみごとで、決して不自然さは感じられません

樹種により自然界にはありにくい樹形であっても、そのような例は他の樹種ではいくらでもあって
何の抵抗もなく盆栽界に受け入れられています

このけやきは、盆栽界の固定観念に対して
こだわらない自由な精神で挑んだ力作であり、みごとな成果を上げていると思います

けやきばかりが何故故に定番樹形でなければならないのか、そんなのおかしい、もっと積極的に評価すべきだ
そう思うのは実物の迫力と持ち込みのよさが放つ風格のせいでしょう


2011年の12月撮影

昨年の暮れのスクールにクロちゃんが持ってきました
おもに鉢あわせの相談です


ボディー正面の拡大図

大手術の傷はほとんど癒えて、肉巻きの痕は幹味を醸し出すほどになっています
盆栽においての持ち込みの古さの大切さを、改めて思い知らされますね


後ろ姿


盆栽屋.comからのアドバイス

一、二の枝にもう少しボリュームをつけて予想図のような輪郭線にする
鉢は極力コンパクトにし、次の植替え時には根の底を攻め、現在よりもやや低めに植付ける(もう少し深めの鉢も可)

その2点でした

あと数年で展示会に飾れるレベルに成長するでしょう

ちなみに樹髙は23㎝くらいですから、けやきを主木とした三点飾りか
中品の添えとしてもいいでしょうね

クロちゃん、自信を持ってがんばってください
みなさんも参考に

では

2012年1月12日木曜日

姫柿取木素材

今年はじめてのつれづれ草です

気がついてみたら、昨年の12月中のつれづれ草は皆無
新年早々怠慢の我が身を恥じてしきりに反省しているところです

今年「も」ではなく、「は」がんばりますので
お見捨てなく、どうぞよろしく


昨年の10月にPart199でご紹介した姫柿の取木素材
(過去に販売した商品です)

松戸市内の親しい愛好家・Mさんが、数年前に私のアドバイスに従って取木をかけたものです

ところが、アドバイスした方の私はすっかり記憶喪失(笑)
でも、忠実に実行した愛好家・Mさんはしっかり覚えていました

さて、譲ってもらった当初はこちら側を正面にして作り込むつもりでいたんですが
スクールのクロちゃんが、反対の正面もある、そう言うので結論は植替えまで待つことにしていました


クロちゃん推奨の正面

植替えと剪定の段階になったので、すべての葉を落としてみると
どうもクロちゃんの意見が正解のような気がしてきました

私は樹髙の短縮ばかりに拘りすぎていたようですね


まず土を全部落として根の具合を確かめます
八方から発根しており、素晴らしい根張り、これを見たから嬉しさ倍増


ここが一番の急所である台木から取り外した箇所を検証すると
1.5㎝ほどの台木の切り残しがありました


白線にしたがって切り残し部分を元までしっかり削り込みます
取木素材ではもっとも肝腎なことですから、決して手を抜いてはいけませんね


新しく見出したクロちゃん推奨の新正面です

図のように、各枝は先端に水揚げのための芽をいくつか残したままの荒切り状態にしておき
春になって芽が動き出す直前に、↓のように再び切り込み直します

その理由は、寒中よりも芽出し直前まで待って切り込んだ方が
不定芽が多く吹きやすいからです


再剪定の予定図

切り込み位置の高さは12.5㎝


骨格の予想図

こちらの正面の特徴としては、傷っけの少ないやわらかな幹模様
枝順のよさなどが上げられます


後ろ姿

みなさも姫柿の取木(環状剥皮)で、姫柿の素材をゲットしてください
このような素晴らしい模様木が短期間で手に入りますよ

それでは