盆栽屋のそんなにいいことって何だとも思います、みなさん?
それはネ、自分の気に入った盆栽を手に入れたとき
盆栽屋が至上の歓びを感じるのは、まさにそのときなのです
おまけにその盆栽の価格が「思い切り安かった」りすると
歓びは数倍に膨れあがり、ほとんどハイな気分となってしまいます
この楓の寄植えが手に入れたお気に入りの盆栽
樹高約70cmで樹齢40年(私の前の持ち主が自ら寄せたものですから間違いなしです)

7本の根は長い間に癒着し盤状になっていて木肌も真っ白
幹の配列と太細も申し分なく、枝のゆすりにも古色感が表われています
もっとも、欠点がないわけではなく、枝先の繊細さが足りないことは画像でもわかりますね
それに、植え付け角度がやや狂っているようです
しかし、どちらも矯正できることであって、致命的ではありません
およそ5年の培養で国風盆栽展入選も充分可能と踏んでいます
ところで、、先週の土曜日のこと
ある(正直、あまり上物を当てにできない)小さな盆栽のセリ市に
遠方からみえたご隠居風のおじさんが、この寄植えを持ち込んできたのです
年をとって大きな盆栽の手入れが大変なので、惜しいけれど手放すそうです
この他に、アケビの老木と岩しでの双幹のなかなかの上物が一緒でした
私の観察では、その3鉢の中でこの楓寄植えがだんとつ
上物とはいえ、他の2鉢は素質的にぐーんと落ちて、国風盆栽展には100年経っても無理です
ともかく「今日は、この楓狙いだ」と朝一番に決意しました
こういう場合は、この「何が何でも競り負けないで買ってやる」と思い込むことが肝心なのです
でも、この決心は顔には出さずに、心の奥底に秘めておくのです
私が狙っていることを知って「俺も買おうかな」と、突然に真似っこおじさんに変身する商売人がいるんですよ
で、関心のないアケビや岩しでの双幹を誉めちゃったりして
前哨戦の駆け引きにも、けっこう能がない頭を使いまっせ
それやこれやで、嬉しいことに邪魔も入らず
立てた胸算用の半分以下で落札!
やったー!
「楓根洗い」へつづく
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