2004年3月3日水曜日

涌泉鉢ポイント

月之輪涌泉のすばらしい丸型の鉢に出会いました
直径は9.5cm、実用にも向く大きさです

絵付け鉢の最高峰といわれる涌泉でも、すべてが傑作というわけではありませんから
出来栄えのいいもの、つまりAクラスの作柄のものに出会うことはめったにありません

涌泉の鉢を鑑賞する場合、まずはその生地の胎土を見てください
きめ細かいきれいな磁器です

それから白磁の色艶です
透明感のある美しい白さ、これも見どころです

丸型の場合は、肉の厚さ、これも大切なポイントです
肉薄のみごとなボディー、涌泉の精巧なロクロ技術に改めて感動します

それらを見極めてから、鉢の形や絵やデザインを堪能すれば
鉢の鑑賞の奥行きも一歩進んだものになるでしょう

つまり、涌泉のような貴重な小鉢に巡り会うと、それだけで感動してしまいがちです
冷静に綿密に鑑賞、そして検証することが大切です

小鉢を勉強する態度として、何より大切なことです


落款
涌泉とあります

他に月之輪涌泉造とか月輪山涌泉造などの落款がありますが
すべてこのように釘彫り落款です

赤い釉薬と白磁の透明感も見られますね
この画像が一番正確に、実物の特徴を表しています


胴のデザインは横に白い帯をいれて三層に区切り
各層の文様はすべて違えてあります

窓は三方に切りそれぞれに異なった三様の山水画を描いています

鉢全体の総合的なデザインもかなり凝っています
変化と調和が感じられます

赤絵の精巧な筆致といい正確なボディーといい、丸型として最高峰の出来上がりを示しています






三様の山水画は周囲の文様を意識して、あっさりと仕上げています
このあたりが涌泉の感覚の優れたところ、統一感が抜群です


足は雲足、繊細です

以前にご紹介した涌泉の赤絵長方鉢の画像を参考に載せました
この画像の色彩は実物により近いですね
今回の丸型は、撮影時の条件でやや黄ばんで見えます



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