残念ながら隅にニューのある傷ものでした
しかし、出来がいいのとめったにないごく初期の落款のものでしたから
貴重な資料として皆さんにお見せするために買い求めました
雄山は昭和47年から小鉢の製作を始めたといわれていますが
この落款の作品は昭和49年のものとされています
雄山自身が制作年代が識別できるように、その落款を変えています
「雄」の文字を四角で囲ったものー昭和49年
「雄山」の文字を四角で一重に囲ったものー昭和52年
「雄山」の文字を四角で二重に囲ったものー昭和54年
「雄山」ー昭和60年
「雄山造」ー昭和62年
と年譜に有ります
ですから、この落款はまさに最古の印しになるわけで
これらの落款を頼りに雄山鉢を詳しく検証すると、作風の一貫性と微妙な変遷も辿ることが出来ます
普通、作品のの制作年代は作風から推測するほかはないのですが
雄山の場合は時代区分をはっきりと判定できるのです
藤掛雄山作 間口9.5×7.5×3.3cm
この時期からボディーは安定していて、雄山鉢作家としての非凡さ表れています
足の形状も後世の作品の原形がうかがえます
後世の手馴れた感じよりも素朴さが感じられる絵付け
しかし、繊細な筆のタッチは雄山生来の資質であることが証明されています
裏正面
面白い事に二面とも構図の比重が左に寄っています
つまり右半面に余白をとっているのです
これは後世の作品には見られないことです
その後の作品の山水画は、表裏が必ず反対向きの構図になっています
これは面白い発見です!
同じ向き(構図)の絵を両面に描いているのは何故でしょう、疑問が残ります
実に安定した美が感じられるボディーです
それにしても、この作品が鉢を製作し始めてわずか数年の作品とは思えませんね
やはり、本人の努力だけでなく、抜群の才能にも恵まれていたのでしょう
驚きです
この項明日へ続く
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