2004年2月17日火曜日

湧泉と与平

盆栽界の絵付け鉢鉢の最高峰に君臨する月之輪湧泉
かたや京都の名門五代目清風与平、この二人は格別に親しい関係にあったようです

清風家は江戸時代から続く京焼の名門で、特に三代目は名工の誉れ高く
明治26年には帝国技芸員に任命されています

戦後の混乱期に家運が傾いたおり、五代目は湧泉の援助により
一時は去った陶芸の道に復帰したと聞いています

与平が湧泉の工房の一室を借り制作したともいわれていますが
これは二人の関係を美化する言い伝えではなく、事実であったようです

したがって、湧泉のボディーに与平が絵付けをした作品は
運命的なその出会いによって誕生したものなのです

これらの作品は二人の名工の友情物語と共に
盆栽界の歴史的な遺産となって末永く世に残ります


月之輪湧泉・清風与平合作鉢・染付輪花縁三面額入丸型樹盆(そめつけ・りんかえん・さんめんがくいり・まるがたじゅぼん)

湧泉の制作したボディーに、五代与平が三方に額を切りそれぞれ異なった山水画を描いています
与平の巧みな絵付けが、ロクロ作りの薄手の端正なボディー、やわらかい花形の縁の形と調和し
独特の雰囲気をもった作品となっています






柔らか味をおびた縁の形、湧泉の感性が光ります
一見おとなしい縁のかたちですが、ロクロ技術に加えバランスの取り方が非常に技術を要します


落款は月之輪湧泉造と釘彫り
清風与平の落款は絵の中に溶け込ませたように清風画とあります
与平の独特の手法です


月之輪


湧泉造


右から清風画

0 件のコメント:

コメントを投稿