2019年11月11日月曜日

長方鉢の鑑賞

鉢の形には、長方や正方や六角、八角など、角のあるものから丸や楕円など、円形を基本にした形のものなどがあります。さらにそれらを複雑に組み合わせた木瓜(もっこ)や剣木瓜(けんもっこ)などに発展した形もありますね。
しかし何と言っても、われわれ盆栽人にとって、鉢と云われてまず思い描くのは長方鉢でしょう。丸や楕円形も鉢には違いありませんが、やはりオーソドックスな本格派の模様木がよく似合うのは長方鉢であると思います。


平安東福寺(初代)のごく前期の黒泥の長方です。この鉢の正式な呼び名は「平安東福寺焼締反縁隅切長方」と呼びます。


わずか間口10cm未満のミニ鉢ですが、東福寺鉢としては比較的初期の作品で、基本に忠実で肩に力の入っていないバランスのいい作品です。


基本に忠実でさらっと作った感じですが、いつ見ても東福寺の作品は肩の力が抜けていて、見る者に癒しの感覚を与えてくれます。


見慣れてくると、足のつけ方にも東福寺ならではの個性があることが分かるようになってきますよ。東福寺の真贋を見分けるポイントは、その足にあるとさえ云えるほどですから。


市橋和雀の梨皮泥の撫角(なでかく)の長方です。この形の鉢は基本に忠実と云うよりも、太くて短いズングリしたような個性派の模様木などが似合うでしょうね。


基本に忠実な外縁長方形でありながら、極端におしりの出っぱた姿がミソなのでしょう。個性派の木が似合うと思います。



市橋和雀の作品はそう多くはありませんが、そのゆったりとしたフォルムにはいつも感心させられます。↓の作品も白釉の外縁で珍しい作品ですが、端正でゆったりとした作風は相変わらずです。


和雀・白釉外縁隅入雲足長方


釉薬ものですから実物か花物のがっしりとした模様木が似合うでしょうね。


正面からだけではなく、裏側や真上などから眺めて見ると、バランスのよさや端正なフォルムがかえって際立って見られます。このような検証の仕方もたまには必要でしょう。



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