2019年11月6日水曜日

祥石鉢鑑賞

20枚ばかりまとまった売り物にぶつかった中に、石田祥石(初代祥石)の外縁雲足長方が1枚混じっていました。祥石と云えば丸系統が多く、長方や正方の角ばった作品はごく少数派です。ましてや本格的な外縁で雲足の長方鉢は極端に少ないので、じっくりと鑑賞してみましょう。


サイズは(間口16.8×奥行き12.8×高さ5.0cm)ですから、小品棚(間口80cm)飾りの席に似合うタイプです。深さもたっぷりあって、培養面にも十分配慮がはんされているのはさすがです。
正面には木瓜型(もっこがた)に窓を切って釣り人を描き、その窓の周囲は日本の伝統文様をあしらって、巧みにまとめ上げたデザイン力は秀逸です。


反対正面にも同じく窓を切って遠近感のある山水図を勢いよく描いています。大胆といえば大胆な意匠で、祥石の技術はもとよりはつらつとした制作意欲のほとばしりが感じられて爽快です。


左右の側面は萩と菊と思われます。


わずかに彩色あれた垣根の菊。


強すぎず弱すぎU,全体として安定感のあるボディーは、植物との調和において抜群の効果を発揮するでしょう。
大胆な余白をとりながらもハリのある意匠の力が光っています。


適度な余白が作品に緊張感と清涼感を感じさせます。


鉢裏と落款。


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