先日まとめ買いした中に、サンザシのミニが入った10cmくらいの二代目東福寺の長方鉢を見つけました。支那鉢でいえば均釉(きんよう)の外縁雲足長方です。出来栄えとしては上々で、初代の初期作品かと見まごうほどのレベルです。
ところで、東福寺の評価鑑定をするときには、まずは初代か二代の作品であるかを見きわめる必要があります。そして二代目であっても各々出来栄えはピンキリですから、作柄に順じて区分けをしておいた方がよろしいでしょう。
これはどの作家にも云えることですが、特に二代東福寺の場合、作品によってかなり優劣の差がある場合が多いと思えるからです。
二代東福寺の本名は水野勇といいますから、「水野勇作」とか「ゆう作」などの落款も見受けます。作柄は上々と申し上げましたが、土目を見ると間違いなく初代の用いたそれとは異なり、二代目の土目です。
二代東福寺には作品の優劣が著しい、と申し上げましたが、その理由として昔から言い伝えられている逸話があります。
代々モノづくりのを業とする家系の場合、未だ次の代の評価が定まらないうちには、当代は自らの作品に次の代の落款を捺して市場へ売り出し、世間の評価を維持しようとすることがある、などとまことしやかに云われます。
東福寺・水野喜三郎も二代目かわいさのあまりその例にもれず、自らの作品に二代目の落款を捺した作品と思えるものが存在する。そのように断言する権威ある大家・研究家も大勢います。
土目と落款は二代目そのもののですが、作柄と作風においては初代のイメージが濃厚ですね。大切に使い込んで時代感さえつけば、風格のあるいい感じになるでしょう。
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